Consulting / Information Architecture / Designing

このページの先頭へ

Journal

クライマークス社員のノウハウを、コラム、ケーススタディ、インタビューなどでご紹介

コラム

デザイン部 デザイナー K

コンテンツだけじゃない!デザイン性にも優れたオウンドメディアサイトの事例

昨今、多くの企業が取り組む「オウンドメディア」の運用。オウンドメディアは、今や企業の規模に関わらず、さまざまな目的で活用されているように思えます。

まず初めに、オウンドメディアについておさらい。

オウンドメディアというと、日本国内では一般的にWEBサイトを指すことが多いですが、本来は、「企業や組織が自ら所有し、さまざまなステークホルダーに対して発信する媒体の総称」です。したがって、厳密には広報誌やパンフレット、カタログなどもオウンドメディアに含まれます。

Google Trendsで調べてみると、2014年ごろから徐々に注目され始めたことが分かります。
理由としては、次の2点が考えられます。

  • 1. 2012年ごろから各種SNSの利用が定着し始めたことで、膨大な情報が世の中に流通したこと※1。
  • 2. 1により、不特定多数の人にマーケティングを行う従来の手法では、集客効果を感じづらくなったこと。

こうした背景から、企業が消費者にとって有益なコンテンツを用意し、ステークホルダー自らが情報を取捨選択する「コンテンツマーケティング」の手段として、オウンドメディアが注目を浴びたのでしょう。

※1)参考:総務省 情報通信白書平成29年版「データ主導経済と社会変革」

オウンドメディアの増加につれ、求められる「差別化」。

オウンドメディアが増えるにつれ、課題となるのが「他社のオウンドメディアとの差別化」。
異なるメディアにも関わらず、似たり寄ったりな印象を受けることはありませんか?

もちろん、発信内容も重要なポイントですが、どのオウンドメディアも複数の記事を取り扱うという性質上、どうしても既視感を覚えることがあります。
せっかく良質なコンテンツを揃えても、ユーザーが興味を持ってくれなければ意味がありません。

そこで今回は、デザイナー的視点から、コンテンツだけじゃなくデザイン性にも優れた、独自性のあるオウンドメディアの事例を5つ紹介します。

1. More Life Lab. – 豊かで上質な暮らしの素晴らしさを伝える

More Life Lab.

https://morelifelab.jp/

「More Life Lab.」は、デザイン住宅を手がけてきたテラジマアーキテクツが運営するオウンドメディアです。「自分らしい家をつくること」の魅力、「自分らしい家で暮らすこと」の価値を、多くの人に知ってもらうことを目指しています。

デザインは、テラジマアーキテクツがVISIONとして掲げる「上質な暮らしの創造」をまさに体現しています。
明朝体、セリフ体に加えて、アクセントとして筆記体のフォントを取り入れることで、垢抜けたモダンな印象に。ところどころ使われている大理石のパターンも、フォントとの相性が良く、メディア全体に高級感を醸成しています。

建築士がデザインしたこだわりの邸宅の写真が雑誌のごとく豊富に掲載されており、見ているだけでも楽しく「こんな家で暮らしてみたい」と思わせるデザインです。

2. ほほえみごはん – ほっとできる安心感と機能性の高さ

ほほえみごはん

https://www.nichireifoods.co.jp/media/

「ほほえみごはん」は、大手冷凍食品メーカーのニチレイフーズが運営するオウンドメディアです。家庭でもできる「冷凍」テクニックや、「冷凍食品」を活用したレシピに特化したメディアとなっています。

自社の強みを存分に活かしたコンテンツ群ですが、それらを分かりやすく使いやすく表現したデザインにも注目です。冒頭でも触れたように情報を取り扱う以上、オウンドメディアではどうしても文字の多さが否めませんが、本サイトでは、文字の「ジャンプ率※2」が適切に設定されているおかげで、視覚的に情報の優先順位がつき非常に読みやすくなっています。アイコンも直感的で分かりやすい上に、角が取れたデザインが柔らかさや安心感を与えています。

また、本サイトをスマートフォンでアクセスした際に、PC/SPで表示する要素を取捨選択している点も見逃せません。閲覧する媒体によって適した情報に並び替えており、ユーザーへの細かな配慮を感じられました。

※2)一般的に本文の文字サイズに対するタイトル・見出しの文字サイズの比率を指す。比率が大きいことを「ジャンプ率が高い」、比率が小さいことを「ジャンプ率が低い」と表現する

3. B印マーケット – 欲しいと思ったらすぐ買える!遊び心満載のデザイン

B印マーケット

https://www.beams.co.jp/special/bjirushi_market/

「B印マーケット」は、株式会社ビームスが運営するオウンドメディアです。セレクトショップであるビームスの社員があらゆるアイテムを紹介しており、どれも「ビームスの太鼓判」が押された逸品です。

インタビュー形式の記事から単純なアイテム紹介まで記事の内容はさまざまですが、特徴的なのがどれも記事内に購入リンクが設置されていること。欲しくなったらすぐ手に入れたいというユーザーの購買意欲を後押しします。

デザイン面は、ビームスの世界観ともいえるポップな雰囲気が全面に出ています。「ほほえみごはん」では文字の密度が高くても読みやすくなる工夫を施していましたが、本サイトは文字の密度が高くならないよう文字数自体を削ったり、カラム※3数を減らしたりなど画面が軽やかな印象になる工夫が施されています。

さらに面白い点が、「セレクトショップ」と謳う通り、アイテムの上にカーソルを乗せるとその商品を選んだスタッフからの一言ポイントが吹き出しのように表示される仕掛けです。単純に商品を紹介されるのとは異なり、親しみを感じる上に、思わず詳細を知りたくなってクリックしてしまう粋な計らいだと思いました。

※3)WEBデザインにおいては「段組み」のことを指す。1カラムの場合は、メインコンテンツのみの表示形式となる

4. JAF Mate Online – オンラインメディアとしての新たなイメージの確立

JAF Mate Online

https://jafmate.jp/

「JAF Mate Online」はその名の通り、JAF(一般社団法人 日本自動車連盟)が運営するオウンドメディアです。元々は40年にわたってJAFとJAF会員をつなぐコミュニケーションツールとして親しまれてきた冊子でしたが、昨今のデジタル化の波を受けオンライン版としてリニューアルされました。

ドライバーにとって、ロードサービスといえばJAFが思い浮かぶほど馴染み深い存在じゃないでしょうか。そんなイメージが先行しているが故に、初めてこのメディアを見たときは「JAFって、あのJAF?」と驚きました。

掲載されているコンテンツは、JAFならではのカーライフ情報だけでなく、全国各地を巡る旅行記事やライフスタイルなど、車生活だけにとどまらないさまざまなエンタメ情報を発信しています。

肝心なデザインですが、まず初めに飛び込んで来るロゴの丸み帯びた形をモチーフにした写真のトリミングは、ユーモアを感じると同時にインパクトが抜群。さらに、そんな写真が自在に並んだ楽しげなレイアウトや、スクロールするたびに背景色が変わる仕掛けなど、すべてが読み手をワクワクさせてくれます。

これまで会員向けだった冊子をオンライン版にして間口を広げ、会員ではない人たßちにも興味を持ってもらえるものにしたい——そんなときには、新たなイメージ作りとして、ぜひ参考にしたい事例です。

5. In Use – 価値観を体現したデザインで、コミュニティを広げる

In Use

https://inuse.jp/

最後に、弊社実績をご紹介いたします。

In Useは、シューズメーカーの株式会社ムーンスターが運営するオウンドメディアです。ムーンスターのWEB担当者からは、「ムーンスター=「上靴」のイメージで、それ以外の靴についてご存じないという方も多い」とお聞きしました。ムーンスターに限らず、他企業でも主力の商品やサービスは知っているけど、それ以外は知らないというのはよくあること。

したがってIn Useでは、さまざまな切り口からムーンスターのものづくりや価値観をユーザーと共有し、既存のムーンスターのファンはもちろん、価値観に共感する仲間を増やすことを目的としています。

デザインですが、やはり主役はムーンスターの靴以外の何ものでもありません。不要なあしらいなどはすべて削ぎ落とし、職人基質がうかがえるシンプルな佇まいとしました。シンプルなデザインは、それだけで洗練された印象を与えますが、余分なノイズがないことで伝えたい価値観や世界観にユーザーがじっくりと没入できます。

最後に

いかがでしたでしょうか。自社の情報を発信することで、新規ユーザーを増やしたり、認知拡大を目指すことができるオウンドメディアですが、コンテンツはさることながらイメージや世界観を左右するデザインも重要となります。

発信内容が充実しているにも関わらず、デザインの訴求が弱いためユーザーの目に留まりづらいのは、非常にもったいないことです。
コンテンツにふさわしいデザインをしっかりと設計し、魅力的なオウンドメディア作りを目指しましょう。

Web制作

大規模コーポレートサイトからサービスサイトやサテライトサイトまで、アートディレクションと情報アーキテクチャ設計を融合した、クリエイティブで訴求力の高いサイトを構築します。また、フロントエンドのみならずバックエンドのシステム構築、デジタルマーケティング支援までを総合的に提供しています。

コーポレートサイト制作

ターゲットユーザーすべてを見据え、競合他社を圧倒する企業・サービスのブランディング確立を目的としたコーポレートサイトを制作します。

コンテンツ制作

さまざまな表現手法を駆使し、ターゲットに応じた効果的なコンテンツを実現。取材やワークショップなど通じて、0から企業や商品・サービスの魅力を抽出することも可能です。

Keyword