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Web制作のさまざまな情報をご紹介

Webサイトのターゲット設定・ペルソナ設計の進め方|「誰に向けたサイトか」で構成もデザインも変わる

「Webサイトを作りたいが、ターゲットをどう決めればよいか分からない」「リニューアルの要件定義を前に、誰に向けたサイトなのかを整理できていない」と悩んでいませんか。

Webサイトのターゲット設定は、サイト構成・デザイン・コンテンツ・導線というすべての判断の土台であり、ここが曖昧なまま進めると「誰にも刺さらないサイト」になってしまいます。

本記事では、Webサイトを発注する担当者の方に向けて、ターゲットの洗い出しから分類・優先順位付け・ペルソナ設計までの進め方を、弊社クライマークスの制作実績を交えて解説します。

読み終える頃には、Web制作会社との要件定義に自信を持って臨めるようになるはずです。

Webサイトのターゲット設定がサイトの成否を決める理由

Webサイトの成否は、制作に着手する前のターゲット設定の段階でほぼ決まります

ターゲット設定は、デザインやコンテンツと並ぶ「作業のひとつ」ではありません。サイトに関わるあらゆる意思決定の判断基準になるものです。

ここでは、ターゲット設定がなぜそれほど重要なのか、その理由を掘り下げます。

「全員向け」のWebサイトは誰にも届かない

Webサイトの企画段階でよく起こるのが、「お客様にも、求職者にも、取引先にも、株主にも見てほしい」と、すべての相手に等しく向けたサイトを目指してしまうことです。

気持ちは自然なものですが、全員に向けて作られたメッセージは、結果として誰の心にも引っかからない抽象的な言葉になりがちです。

たとえば、ある食品メーカーが、ターゲットを決めないままリニューアルを進めたとしましょう。

トップページのキャッチコピーは「豊かな未来を、ともに」のような誰にでも当てはまる言葉になり、メニューには会社案内・製品情報・採用情報・IR情報が同じ重みで並びます。

一見整ったサイトに見えますが、製品を探しに来た顧客にも、社風を知りたい求職者にも、「自分のための情報がある」とは感じられません

その結果、滞在時間は伸びず、問い合わせにも応募にもつながらない、ということが起こり得ます。

逆に、ターゲットが明確なサイトは、訪れた瞬間に「これは自分に向けられた情報だ」と伝わります。

検索エンジンの評価という観点でも、Googleは検索意図への合致を重視するため、想定読者が明確なページほど上位表示されやすい傾向があります。

ターゲット設定は、ユーザー体験とSEOの両面で、Webサイトの成果を左右する出発点なのです。

ターゲット設定が決めるWebサイトの4つの要素

ターゲット設定が影響する範囲を具体的に見てみましょう。

大きく分けて、Webサイトの4つの要素がターゲットによって決まります。

ターゲット設定がWebサイトの4つの要素を決める図解

1つめはサイト構成です。何を載せ、何を載せないか、どの情報をどの階層に置くかは、ターゲットが誰かによって変わります。

2つめはデザインです。信頼感を重視するのか、親しみやすさを打ち出すのか、先進性で驚かせるのか。トーン&マナーの方向性はターゲットの感性から逆算するものです。

3つめはコンテンツです。専門用語をどこまで使えるか、どの深さまで説明するか、どんな写真を見せるかは、読み手の知識レベルと関心によって決まります。

4つめは導線とCTA(行動喚起)です。問い合わせへ誘導するのか、資料請求なのか、エントリーなのか。ゴールへの道筋はターゲットの行動パターンに合わせて設計します。

ターゲット設定が曖昧なままでは、この4つすべてに判断の基準がない状態で制作が進むことになります。

デザイン案を見ても「なんとなく好きか嫌いか」でしか評価できず、社内の声の大きい人の好みで決まってしまう。そんなプロジェクトの多くは、ターゲット不在に原因があります。

発注前にターゲット設定へ取り組むべき理由

「ターゲットはWeb制作会社が考えてくれるのでは」と思われるかもしれません。

たしかに、経験豊富なWeb制作会社は現状調査や競合調査を通じてターゲット設定を支援してくれます。

しかし、自社の顧客や求職者を日々見ているのは発注側であり、その一次情報なしに精度の高いターゲット設定はできません。

発注前にターゲットの仮説を持っておくと、多くのメリットがあります。

まず、RFP(提案依頼書)や要件定義の質が上がり、制作会社からの提案が具体的になります。「誰に何を伝えたいか」が書かれた依頼と、「かっこいいサイトにしたい」という依頼では、返ってくる提案の精度がまったく違います。

また、見積もりのブレも小さくなります。ターゲットが決まればページ構成や必要なコンテンツ量の想定が立つため、後から要件が膨らんで予算超過する事態を防ぎやすくなるのです。

ターゲット設定は、発注担当者が最初に取り組むべき、最も費用対効果の高い準備だと言えます。

ターゲットの洗い出しと分類の進め方

では、実際にターゲット設定をどう進めればよいのでしょうか。

いきなり「メインターゲットは30代の女性」のように決め打ちするのではなく、洗い出し→分類→優先順位→解像度アップという4つのステップを順番に踏むことが重要です。

この章では前半の「洗い出し」と「分類」を解説します。

Webサイトのターゲット設定・ペルソナ設計の4ステップ

サイトを訪れる可能性のある人をすべて書き出す

最初のステップは、サイトを訪れる可能性のある人を、漏れなく書き出すことです。

ここで大切なのは、「来てほしい人」だけでなく「実際に来ている人・来る可能性のある人」まで含めて洗い出すことです。

洗い出しの材料は社内に眠っています。

営業部門には「商談前にサイトを見たと言われた」という顧客の声が、人事部門には「面接で志望動機とともにサイトの印象を話す学生」の記憶が、カスタマーサポートには「サイトを見ても分からなかった」という問い合わせの記録があります。

こうした現場へのヒアリングは、机上の想像よりはるかに確かなターゲットの証拠になります。

既存サイトがある場合は、アクセス解析も有力な材料です。どんな検索語で流入し、どのページが読まれているかを見れば、いま誰が何を求めて訪れているかが分かります。

この段階では、顧客・見込み客、販売店や代理店、求職者、株主・金融機関、メディア、地域社会、そして自社の社員まで、思いつく限り幅広く挙げてください。

後のステップで絞り込むので、ここで漏れがあるほうが問題です。

洗い出しを飛ばしてペルソナ作成に進むと、「理想の顧客像」だけを見た偏ったサイトになる危険が高まります。

ターゲットは属性ではなく「情報ニーズ」で分類する

洗い出しができたら、次は分類です。

ここでのポイントは、年齢や性別といった属性ではなく、「その人がサイトで何を知りたいか」という情報ニーズでまとめることです。

たとえば「20代」とひとくくりにしても、製品を探している20代の購買担当者と、社風を知りたい20代の就活生では、必要な情報がまったく異なります。

逆に、30代の中途求職者と20代の新卒学生は、属性は違っても「働く環境や人を知りたい」という情報ニーズは共通しています。

Webサイトの構成や導線は情報ニーズに沿って作られるため、分類の軸も情報ニーズに合わせるのが合理的なのです。

多くのコーポレートサイトでは、「製品・サービスを知りたい層」「会社そのものを知りたい層」「働く場として知りたい層」という3つ前後のグループに集約されることが一般的です。

自社の場合はどんなグループに分かれるのか、洗い出したリストを眺めながら、同じ情報を求める人同士をまとめてみてください。

この分類が、後のサイト構成づくりでそのままナビゲーション設計の骨格になります。

なお、分類の際にやりがちなのが、自社の組織図に沿って分けてしまうことです。

「営業部のお客様」「人事部が対応する学生」のように社内の担当部署で分類すると、サイトの構成も部署の縦割りをなぞったものになり、訪問者にとっては分かりにくい構造になります。

分類の主語はあくまでサイトを訪れる相手であり、社内の都合ではありません。

この視点の転換こそが、ユーザー中心のWebサイトへの第一歩です。

【事例で見る】ターゲットの3分類を導線設計の軸にした実例

弊社クライマークスが担当した、全農チキンフーズグループのコーポレートサイト・採用情報サイトのリニューアルでは、まずターゲットを「消費者」「販売店・小売店」「求職者」などに分類・明確化しました。

そのうえで、それぞれが必要な情報へ迷わずアクセスできるサイト構成・導線設計を重視し、グループ全体を包括するグループサイトを新たな基盤として構築しています。

リニューアル後は、採用活動の現場からもわかりやすさや企業の魅力訴求に貢献しているという声が挙がっています。

全農チキンフーズグループの制作実績

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ペルソナ設計でターゲットの解像度を上げる方法

分類まで進んだら、次は優先順位付けペルソナ設計です。

分類したターゲットすべてに同じ力を注ぐのではなく、主役を決めて解像度を上げることが、成果につながるWebサイトの条件です。

主役ターゲットを決める勇気が優先順位設計の第一歩

ターゲットを分類すると、「どれも大事だから全部主役で」と考えたくなります。

しかし、トップページのファーストビューはひとつしかなく、キャッチコピーもひとつしか置けません。

すべてを主役にすることは、事実上、主役を決めないことと同じです。

優先順位を決める基準は、サイトの目的(ゴール)への貢献度です。

今回のサイトで最も達成したいことが「問い合わせの増加」なら見込み客が、「応募数の増加」なら求職者が主役になります。

主役以外のターゲットを切り捨てるわけではありません。主役にはファーストビューと主要導線を割き、それ以外の層には専用の入口と必要十分なコンテンツを用意する、という力の配分を設計するのです。

この「主役は誰か」という合意を社内で取っておくことが、後のデザイン評価や構成の議論でぶれない判断軸になります。

ペルソナ設計に盛り込む項目と作り方

主役ターゲットが決まったら、ペルソナとして具体化します。

ペルソナとは、ターゲット層を代表する架空の1人を、実在するかのように詳細化した人物像のことです。

「30代・製造業勤務」といった粗い括りでは、コンテンツの言葉選びやデザインの判断には使えません。

ペルソナに盛り込みたい項目は、基本属性(年齢・職種・役職)に加えて、抱えている課題、情報収集の方法、よく使う検索語、比較しそうな他社、意思決定への関わり方などです。

BtoBサイトであれば、本人が決裁者なのか、上司に説明するための情報を集めている担当者なのかで、用意すべきコンテンツが変わります。

担当者が上司を説得するための「比較表や導入事例」が必要なのか、決裁者に響く「経営視点のメリット」が必要なのか、ペルソナがそれを教えてくれます。

注意したいのは、ペルソナを想像だけで作らないことです。

前の章で集めた営業・人事へのヒアリングやアクセス解析、可能であれば既存顧客へのインタビューなど、実際のデータや証言をもとに組み立ててください。

想像で作ったペルソナは「社内の願望を映した鏡」になりがちで、実際の訪問者とズレた設計を導いてしまいます。

ペルソナの解像度は「職種・状況」のレベルまで上げる

ペルソナ設計で差がつくのは、解像度をどこまで上げるかです。

特に採用サイトや専門性の高いBtoBサイトでは、「求職者」「顧客」という粒度では足りず、職種や置かれた状況のレベルまで踏み込む必要があります。

たとえば同じ「求職者」でも、営業職志望の学生とエンジニア志望の転職者では、見たい情報も、響く表現も、比較している企業すら異なります。

エンジニア採用であれば、競合は同業他社ではなくIT企業やメガベンチャーになっているかもしれません。

ターゲットの解像度を上げると、こうした「戦う土俵」の見え方まで変わり、サイトのコンセプトそのものを考え直すきっかけになります。

【事例で見る】ターゲットをIT・デジタル人財に特定し、その特化型サイトを構築した実例

弊社が担当した横浜銀行で、IT・デジタル人財向け採用サイトを構築しました。そもそもは採用サイト内に限定的な情報しかなかったため、IT・デジタル専⾨職の採用活動は、他業界と⽐べても認知が進んでおらず、採⽤は困難でした。そこで、従来の採用サイトとは独立させ、IT・デジタル人財に特化した採用サイト構築を行うことにしました。

様々な調査・分析を踏まえて「想像を覆す。未来を変える。自分の武器が生かせる『横浜銀行だからこそ』の舞台がここにはある」といった、IT・デジタル人財に向けたストレートなメッセージを設定し、3Dアニメーションや大きなタイポグラフィを活用したデザインで、意外性・本気度・具体性を訴求しています。

ターゲットを職種レベルまで具体化したことが、銀行・金融業界の採用サイトの常識を超えるクリエイティブの根拠になった実例です。

横浜銀行の制作実績

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見落とされやすいステークホルダーまで想定するターゲット設定

主役ターゲットの解像度を上げる一方で、もうひとつ大切な視点があります。

それは、コーポレートサイトが想定外に幅広い人たちに見られているという事実です。

主役への訴求を尖らせながら、見落とされやすいステークホルダーにも目配りする。この両立がターゲット設定の仕上げになります。

コーポレートサイトは「顧客以外」も見ている

コーポレートサイトのターゲットというと、顧客・求職者・取引先の3つが定番です。

しかし実際のアクセスには、株主や金融機関、メディアの記者、行政の担当者、そして自社の社員まで、多様な人たちが含まれています。

コーポレートサイトを訪れるステークホルダーの広がりを示すマップ

これらの層は、問い合わせや応募のような分かりやすい成果には直結しないため、ターゲット設定から漏れがちです。

しかし、融資の審査前に企業サイトを確認する金融機関や、取材前に情報を集める記者にとって、サイトの情報が古かったり不足していたりすれば、企業の信頼性そのものが疑われることになります。

すべての層に手厚いコンテンツを作る必要はありませんが、「この層が見たときに困らないか、不安を与えないか」という最低ラインの点検は、ターゲット設定の一部として行っておくべきです。

保護者・地域社会・インナーという3つの盲点

見落とされやすいステークホルダーの中でも、特に盲点になりやすいのが求職者の保護者・家族地域社会社員や内定者(インナー)の3つです。

新卒採用の現場では、内定者の家族が企業サイトを見て安心できるかどうかが、入社の意思決定に影響することがあります。

知名度が高くない企業ほど、保護者は「聞いたことのない会社」をWebサイトで判断するため、事業の安定性や働く環境が伝わるコンテンツが効いてきます。

また、工場やインフラ設備を持つ企業にとっては、地域社会との関係も重要です。地域の人が社名を検索したときに、事業内容と地域への貢献が分かりやすく伝われば、それは長期的な信頼の土台になり、地域採用や自治体との連携にも良い影響を及ぼします。

さらに忘れてはならないのが自社の社員です。サイトはインナーブランディングの装置でもあり、自分の会社が誇らしく紹介されているサイトは、社員のエンゲージメントや採用のリファラル(紹介)にも良い影響を与えます。

こうした層を「ついで」ではなく設計段階から想定ターゲットに含めることで、コーポレートサイトは企業活動の全方位を支える資産になります。

とはいえ、すべての層に専用コンテンツを新設する必要はありません。

考え方の目安は、主役ターゲットには専用のコンテンツと導線を用意し、見落とされやすい層には既存コンテンツの点検で応えることです。

会社概要の情報は最新か、ニュースリリースは更新が止まっていないか、事業内容は業界外の人にも理解できる言葉で書かれているか。

この点検だけでも、保護者や金融機関が見たときの印象は大きく変わります。

限られた予算の中で、どの層にどこまで応えるかの線引きを決めておくことも、Web制作会社との要件定義で重要な論点になります。

【事例で見る】保護者や地域社会まで想定した実例

弊社が担当したJ-POWERハイテックのコーポレートサイト・採用サイトリニューアルでは、多方面でJ-POWERハイテックの事業や社会的貢献性の高い活動を認知してもらうことを目的に、求職者だけでなく、保護者層・地域社会・パートナー企業まで、各ターゲット層への訴求内容を明確化しました。

メインビジュアルには動画を用いて事業のスケール感を表現し、採用サイトでは3分割の画面構成で「事業のスケール感」「仕事の作業の様子」「社員の表情」を同時に伝えています。

トップ画面の演出は求職者に強い印象を与えるとともに、公開後は情報発信の頻度も高まるなど、幅広いステークホルダーを想定した設計が成果につながっている実例です。

J-POWERハイテックの制作実績

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ターゲット設定をサイト構成・導線・デザインに落とし込む方法

ターゲット設定とペルソナ設計は、作ること自体が目的ではありません。

設定したターゲットは、サイト構成・導線・デザインという具体的なアウトプットに翻訳されて初めて意味を持ちます

この章では、その翻訳の方法を解説します。

ターゲットと情報を掛け合わせてサイト構成を設計する

最も実践的な方法は、縦軸にターゲット、横軸に情報(コンテンツ)を並べたマトリクスを作ることです。

分類したターゲットごとに「知りたい情報」「見せたい情報」「行動してほしいこと」を書き出していくと、必要なページとその優先度が一覧できます。

このマトリクスを埋めていくと、複数のターゲットが共通して必要とする情報(会社概要や事業内容など)と、特定のターゲット専用の情報(製品仕様、採用情報、IR資料など)が自然に仕分けられます。

共通情報はサイトの幹として上位階層に、専用情報はターゲット別の入口からたどれる枝として配置する。これがターゲット起点のサイト構成設計の基本です。

ページを作る根拠がマトリクスに残るため、社内で「このページは必要なのか」という議論になったときも、誰のためのページかという基準で判断できます。

さらに、マトリクスの各マスに優先度をつけておくと、制作のフェーズ分けにも使えます。

公開時に必須のコンテンツと、公開後に追加していくコンテンツを分ければ、初期予算を抑えながら段階的にサイトを育てる計画が立てられます。

Web制作会社に依頼する際も、このマトリクスがあれば要件が明確に伝わり、サイトマップやワイヤーフレームの提案精度が大きく上がります。

トップページの入口とCTAをターゲット別に設計する

サイト構成が決まったら、次は導線です。

トップページの役割は、訪れた人をそれぞれの目的地へ最短で案内することです。

ターゲット分類がしっかりできていれば、「お客様はこちら」「採用情報はこちら」といったターゲット別の入口を、迷いようがない形で配置できます。

あわせて設計したいのが、CTA(行動喚起)の出し分けです。

製品ページを読み終えた見込み客には問い合わせや資料請求を、採用コンテンツを読み終えた求職者にはエントリーや説明会予約を。

ページごとに「このページを読むのは主にどのターゲットか」を意識すれば、置くべきCTAはおのずと決まります。

すべてのページに同じ「お問い合わせ」ボタンを置くだけでは、それぞれのターゲットの温度感に合った次の一歩を提示できません。

たとえば、機械部品を扱う専門商社が、ターゲット設定をもとにサイトを再設計するとしましょう。

主役である技術者・購買担当者のために製品を条件で絞り込める検索機能を用意し、検索結果から見積もり依頼へ直結する導線を敷く。

一方で求職者向けには、トップの専用入口から働く人や環境が分かるコンテンツへ誘導し、最後にエントリーへつなげる。

このように、ターゲットごとに「入口→情報→行動」の一本道を描くことが導線設計の本質です。

デザインのトーン&マナーもペルソナから導く

デザインの方向性も、好みではなくペルソナから導くものです。

同じ企業でも、金融機関や株主が主役なら信頼感と誠実さを軸にしたデザインに、若手求職者が主役なら躍動感や先進性を打ち出したデザインになります。

ペルソナが日常的に見ているWebサイトやSNS、雑誌を想像してみてください。

その視覚言語に寄せることで、「自分向けのサイトだ」という直感的な安心感を生み出せます。

また、デザイン案を評価する場面でも、ペルソナは強力な判断軸になります。

「私はこの色が好きではない」ではなく、「このペルソナが見たときに、伝えたい印象が伝わるか」という基準で議論すれば、好みの応酬にならず、建設的な意思決定ができます。

経営層への説明でも、ターゲットとペルソナに紐づいたデザインの根拠は説得力を持ちます。

ターゲット設定・ペルソナ設計でよくある失敗とWeb制作会社との進め方

最後に、ターゲット設定・ペルソナ設計のよくある失敗パターンと、それを防ぐためのWeb制作会社との進め方を整理します。

ターゲット設定は一度作って終わりではなく、制作会社と検証しながら育て、公開後も見直し続けるものです。

「理想の顧客像」と「実際の訪問者」のズレという失敗

最も多い失敗は、会社が来てほしい人実際にサイトを訪れている人のズレに気づかないまま設計してしまうことです。

経営層の描く理想の顧客像だけをもとにペルソナを作ると、現実のアクセスの大半を占める層への配慮が抜け落ちます。

このズレを防ぐ方法は、データによる検証です。

アクセス解析で流入キーワードや閲覧ページを確認し、営業やサポートの現場に「実際にどんな人からどんな反応があるか」を聞く。

理想と現実の両方を見たうえで、「現実を受け止めつつ、理想の層を増やすには何が必要か」を考えるのが健全なターゲット設定です。

また、関係部署の意見をすべて取り込んで八方美人なペルソナにしてしまうのも同じ構造の失敗です。意見は広く集めつつ、最後は「サイトの目的に最も貢献する層は誰か」で線を引いてください。

ペルソナを作って満足してしまう失敗

もうひとつの典型は、立派なペルソナシートを作ったものの、制作の判断に使われないまま終わるケースです。

ペルソナは飾るものではなく、構成・原稿・デザイン・写真選定など、制作中の何百という判断のたびに立ち返る現役の道具です。

これを防ぐには、プロジェクトの節目ごとに「ペルソナならどう感じるか」を確認する運用を、最初に決めておくことが有効です。

ワイヤーフレームのレビューで、原稿のチェックで、デザイン案の比較で、毎回同じ問いを繰り返す。

それだけで、ペルソナは書類からプロジェクトの共通言語に変わります。

また、細かく作り込みすぎて更新できなくなるのも本末転倒です。趣味や家族構成まで詳細に設定しても、サイトの判断に使われなければ意味がありません。

サイトの判断に影響する項目だけに絞ったコンパクトなペルソナのほうが、実務では長く使われ、事業の変化に合わせた見直しも容易になります。

Web制作会社とターゲット設定をすり合わせる進め方

ターゲット設定は発注側だけで完結させる必要はありません。

むしろ、発注側の一次情報と、Web制作会社の設計知見を掛け合わせることで精度が上がります。

進め方としては、まず発注側が本記事のステップで仮説を用意します。完璧である必要はなく、「主役はこの層だと考えている。理由はこうだ」と語れれば十分です。

それを受けたWeb制作会社は、現状調査・競合調査・アクセス解析などで仮説を検証し、時には「実はこの層が抜けています」「競合はこの層にこう訴求しています」という発見を返してくれます。

提案依頼の段階でターゲット仮説を共有しておけば、各社の提案が同じ土俵で比較でき、制作会社の実力の見極めにもつながります。

プロジェクトが始まったら、キックオフの場でペルソナを制作チーム全員の共通認識にしておきましょう。

ディレクターだけでなく、デザイナーやライターまでペルソナを理解しているチームは、細部のアウトプットの精度が違います。

発注側でも、社内レビューに参加する関係者へペルソナを共有しておくと、フィードバックが個人の好みではなくターゲット基準に揃い、修正の手戻りが減ります。

ターゲット設定は、発注側と制作側をつなぐプロジェクト全体の羅針盤なのです。

そして公開後は、アクセス解析でターゲット設定の答え合わせをしましょう。

想定した層が実際に訪れているか、想定した導線を通っているか。

ズレが見つかれば、それは失敗ではなく次の改善の材料です。ターゲット設定を起点にした改善サイクルを回せる体制まで含めて、Web制作会社と設計しておくことをおすすめします。

まとめ:ターゲット設定はWebサイトづくりの最初の分岐点

Webサイトのターゲット設定・ペルソナ設計は、洗い出し→分類→優先順位→解像度アップの4ステップで進め、その結果をサイト構成・導線・デザインに翻訳することで初めて成果につながります。

主役を決める勇気と、保護者や地域社会まで見渡す視野。この両方を持ってターゲットを定義できれば、リニューアルの要件定義は見違えるほど明確になります。

これからサイト制作・リニューアルを検討される方は、まず自社のターゲットの洗い出しから始めてみてください。

クライマークスでは、現状調査からターゲット設定・ペルソナ設計、サイト構成・デザインへの落とし込みまで一貫してご支援しています。「誰に向けたサイトにすべきか」の段階からのご相談も歓迎です。お気軽にお問い合わせください。

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