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サイト設計のやり方8ステップ|要件定義からワイヤーフレームまで“後戻りしない”進め方

「サイト設計、実際のところどう進めれば?」と手が止まっているあなたへ

サイト設計が大切なことは分かった。でも、いざ自分が進めるとなると「何から手をつけて、どの順番で、どこまでやれば次に進んでいいのか」が分からない。これからWebサイトの制作やリニューアルを進める担当者・ディレクター・制作者の多くが、ここで手を止めてしまいます。本記事では、サイト設計のやり方を要件定義からワイヤーフレームまでの8ステップに分解し、各ステップで作るべき成果物と、後戻りを防ぐ鍵となる関係者との合意形成ポイントをセットで解説します。手順どおりに進めるだけでなく、「誰と何を握ってから次へ進むか」まで押さえられるのが本記事の特長です。読み終えるころには、明日からの進め方が具体的な作業リストとして見えているはずです。

サイト設計のやり方の全体像|8ステップと“後戻り”が生まれる理由

まず8ステップの地図を頭に入れる

サイト設計の進め方は、大きく要件定義(ステップ1〜4)→情報設計(ステップ5)→構造設計(ステップ6)→ワイヤーフレーム(ステップ7)→引き継ぎ(ステップ8)という流れで整理できます。具体的には、①目的とゴールの言語化、②ターゲット設定、③現状分析・競合調査、④要件定義書での合意、⑤コンテンツの洗い出し、⑥サイトマップ作成、⑦導線設計とワイヤーフレーム、⑧デザイン・実装への引き継ぎと検証設計、の8つです。

サイト設計のやり方8ステップの全体図。要件定義、情報設計、構造設計、ワイヤーフレーム、引き継ぎの流れに沿って、各ステップの内容と成果物を整理した図

この順番には意味があります。抽象度の高い決定(何のために作るか)から、具体度の高い決定(どの画面に何を置くか)へと、段階的に解像度を上げていく構造になっているからです。先に画面の議論を始めてしまうと、あとから目的の議論が蒸し返され、積み上げたものが崩れます。まずこの地図を関係者全員で共有することが、実は最初の後戻り対策になります。

なお、この8ステップは、サイト設計の基本工程としてよく語られる「要件定義→情報設計→構造設計→ワイヤーフレーム」の4工程を、実務の作業単位に分解したものです。ステップ1〜4が要件定義、5が情報設計、6が構造設計、7がワイヤーフレームに対応し、8で次工程への受け渡しまでカバーします。

また、読者の立場によって力点は変わります。発注担当ならステップ1〜4を自社主導で固めることが最大の仕事になり、ディレクターなら全ステップの合意を設計する役回りに、制作者なら5〜7の成果物の質が腕の見せどころになります。立場が違っても同じ地図を共有できることが、この分解の狙いでもあります。自分の持ち場を意識しながら読み進めてください。

“後戻り”の正体は、作業ミスではなく「合意の飛ばし」

サイト設計の現場で恐れられる「後戻り」。その正体を先に明かしておくと、原因の大半は作業の失敗ではなく、合意の飛ばしです。担当者レベルでは固まっていたのに決裁者が終盤で初めて見て一言でひっくり返る。制作会社と発注者で「言った・言わない」が起こる。デザインまで進んでから「そもそもこのページ要る?」と根本に戻る。どれも、しかるべき段階でしかるべき相手と合意していれば防げたものです。

そして後戻りが痛いのは、工程が進むほど修正コストが跳ね上がるからです。要件定義段階の方針変更は打ち合わせ1回で済みますが、ワイヤーフレーム後なら設計のやり直し、デザイン後なら制作物の作り直し、公開後なら改修プロジェクトになります。だからこそ本記事では、各ステップの終わりに「誰と・何を・どんな形で合意するか」を必ず添えていきます。

サイト設計の後戻りコストの図。要件定義、ワイヤーフレーム、デザイン、実装、公開と工程が進むほど、同じ変更にかかる修正コストが跳ね上がることを示したグラフ

各ステップは「成果物を作り、合意して」締める

8ステップに共通する進め方の型も先に示しておきます。それは、どのステップも「成果物(ドキュメント)を作る→関係者と共有する→合意を記録する」で締めるという型です。成果物は立派な資料である必要はなく、A4一枚のメモや簡単な一覧表で十分。大切なのは、頭の中の合意を目に見える形にして残すことです。

口頭の合意は、時間がたつと人によって記憶が変わります。文字や図になった成果物があれば、後から議論が揺れたときも「ここで合意しましたね」と立ち返る基準点になります。面倒に見えるこのひと手間が、8ステップ全体を後戻りから守る保険になるのです。成果物の一覧は記事の後半にチェック表としてまとめてあるので、実際に進める際の確認用に使ってください。それでは、ステップを順に見ていきましょう。

ステップ1・2|目的とターゲットの言語化。サイト設計の土台を固めるやり方

ステップ1:目的とゴール(KPI)を一文にする

8ステップの最初にやるべきことは、「誰に・何を伝え・どう動いてほしいか」を一文の形で言語化することです。「かっこいいサイトにしたい」「そろそろリニューアルの時期だから」といった曖昧な出発点を、「初めて外注を検討する中小企業の担当者に、自社の対応力を伝え、問い合わせをしてもらう」という具体的な文に変換します。

あわせて、サイトのゴール(コンバージョン)と数値目標(KPI)も仮でよいので置きます。問い合わせ月10件、資料請求月30件、採用エントリー月5件。数値があると、後続のすべての判断に「その目標に効くかどうか」という基準が生まれます。

数値の根拠に迷ったら、既存サイトの実績(現状月3件なら、まず倍の6件)や、営業目標からの逆算(受注に月2件必要で、問い合わせからの受注率が2割なら問い合わせ10件)で仮置きすれば十分です。あとで検証しながら直せばよい数字です。大切なのは正確さより、判断基準として機能する具体性です。成果物は、目的・ゴール・KPIを書いた一枚のメモ。これが8ステップ全体の憲法になります。

よくあるつまずきが、「新規顧客も採用も企業ブランドも」と目的が複数並んでしまうケースです。すべてを主役にはできません。迷ったら「このサイトの成果を1年後に一つだけ報告するとしたら何か」と自分たちに問い、主目的を一つに絞ってください。副次的な目的は捨てるのではなく、優先順位をつけて要件定義書に記録しておけば十分です。

このステップの合意形成ポイントは、決裁者を必ず巻き込むことです。ここで社長や事業責任者の頭の中にある期待を聞き出して文字にしておかないと、終盤のちゃぶ台返しの種になります。キックオフの場で「この一文の方向で進めます。よろしいですか」という確認を取り、できれば議事録に残す。最初の合意がもっとも軽く、もっとも効きます。

ステップ2:ターゲットとペルソナを描く

次に、目的の一文に登場した「誰に」を掘り下げます。年齢・役職・抱えている課題・サイトに来る前に何を検索したか。象徴的な一人の人物像(ペルソナ)として具体的に描けると、以降のステップで「この人なら最初に何を見たいか」という視点で判断できるようになります。

ペルソナに含める項目は、基本情報(年齢・役職・業種)、抱えている課題、情報収集の仕方(何で検索するか、誰に相談するか)、そしてサイトに来る直前の状況の4点があれば実用に足ります。余裕があれば、その人が「サイトを知る→見る→比較する→行動する」までの流れを簡単にたどってみると、必要なコンテンツと導線のヒントが自然に見えてきます。

ペルソナ作りは精緻さより関係者の認識合わせが目的です。営業や現場のスタッフに「よくいるお客様はどんな人ですか」とヒアリングすれば、材料は十分集まります。実在の顧客数人を思い浮かべて共通点を抜き出すようにすると、机上の空論になりにくいでしょう。ターゲットが複数いる場合は主役を決め、優先順位をつけておくことも忘れずに。成果物はペルソナシート(簡単な箇条書きで可)、合意形成ポイントは「主役はこの人でいいか」を営業・現場・決裁者に確認することです。日々顧客と接している現場の納得感がないペルソナは、後で必ず異論が出ます。逆に、現場が「いる、こういうお客様」とうなずくペルソナは、以降のステップで迷いが生じるたびに立ち返れる、頼れる判断基準になってくれます。

ステップ3・4|現状分析から要件定義書へ。サイト設計の判断材料を揃えるやり方

ステップ3:現状分析と競合調査で“根拠”を集める

目的とターゲットが言語化できたら、判断の根拠になる事実を集めます。既存サイトがあるなら、アクセス解析でよく見られているページと離脱の多いページを確認し、「今のサイトの何が問題か」を具体化します。あわせて競合サイトを数社分観察し、どんな構成で何を訴求しているか、自社に足りない要素は何かを一覧にします。見る観点は、トップページで最初に何を伝えているか、メニューの項目、問い合わせまでの導線、事例や実績の見せ方の4つに絞ると、短時間でも密度のある比較ができます。気づきはその場で一覧表に書き込み、後から見返せる形にしておきましょう。

アクセス解析で見る指標は、難しく考えなくて構いません。よく見られているページ(入口になっているページ)、問い合わせ直前に見られているページ、そしてスマートフォンとパソコンの比率。この3つだけでも、「何が効いていて、何が埋もれているか」の輪郭はつかめます。

データに加えて、営業担当や顧客の生の声も貴重な材料です。「お客様からよく聞かれる質問」は、そのままサイトに必要なコンテンツの候補になります。

この調査は、凝り始めるといくらでも時間を吸われるため、期限を切って「決めるための材料集め」に徹するのがコツです。完璧な分析レポートではなく、「現状の課題トップ3」「競合と比べて足りないものトップ3」が言えれば十分。成果物は現状課題と競合比較の簡単なまとめ、合意形成ポイントは課題認識を関係者で揃えることです。「うちのサイトの問題はここ」という共通認識ができると、以降の議論が驚くほど速くなります。反対に、課題認識がずれたまま進むと、後のワイヤーフレーム段階で「そもそも何を直したかったんだっけ」という根本の議論が再燃します。地味なステップですが、飛ばさない価値があります。材料集めの丁寧さが、以降のすべての決定の説得力を支えます。

ステップ4:要件定義書にまとめて“プロジェクトの憲法”を作る

ステップ1〜3の材料を、要件定義書という一つの文書にまとめます。含める項目は、目的・ゴール・KPI、ターゲット、現状課題、必要な機能(問い合わせフォーム、CMS、多言語対応など)、予算、納期、そして体制と決裁ルート(誰が確認し、誰が最終OKを出すか)です。

機能の項目では、目に見える機能(フォーム、検索、会員機能など)だけでなく、目に見えにくい条件も忘れずに書き出してください。サーバーやドメインをどうするか、セキュリティの要件、既存システムとの連携、更新は誰がどのくらいの頻度で行うのか。こうした条件は後から発覚すると影響が大きく、見積もりの変動要因にもなります。

大げさな様式は不要で、A4数枚のドキュメントで構いません。重要なのは網羅性より、関係者の期待がすべて文字になっていること。「言われていない要望」が後から出てくるのが後戻りの典型パターンだからです。体制の項目には、定例会議の頻度や連絡手段(メールかチャットか)まで書いておくと、プロジェクトの運営そのものが滑らかになります。

合意形成ポイントは、この文書を決裁者を含む全関係者に配って、明示的に承認をもらうこと。Web制作会社へ依頼する場合は、この要件定義書がそのまま質の高い依頼資料(RFP)になり、見積もりの精度も提案の質も大きく上がります。ここまでがサイト設計の前半戦、いわば「何を作るか」を決める工程です。

ステップ5・6|情報設計とサイトマップ。コンテンツを構造に落とすやり方

サイトマップ

ステップ5:コンテンツを洗い出し、優先順位をつける

後半戦は「どう作るか」の設計です。まず、サイトに載せる情報をすべて書き出します。会社案内、サービス紹介、事例、よくある質問、お知らせ、採用情報。既存サイトのページ一覧と競合調査の結果を突き合わせると、抜け漏れを防げます。最初の段階では取捨選択せず、すべて書き出してから「ターゲットの行動につながるか」で絞り込むのが正しい手順です。

洗い出したコンテンツは、付箋やカードに1枚ずつ書いて並べ替えると、グループ分けの議論がしやすくなります。「これとこれは同じ仲間か」を関係者と手を動かしながら考えると、次のステップのサイトマップがほぼ半分できあがった状態になります。粒度の目安は「1ページ1目的」。1つのページに複数の目的を詰め込みたくなったら、分割のサインです。逆に内容の薄いページが並ぶなら、統合を検討します。

このとき、コンテンツごとに原稿や写真などの素材を誰がいつまでに用意するかまで割り振っておくと、後工程のスケジュール遅延を防げます。素材待ちは、Web制作の遅延原因の定番だからです。成果物はコンテンツ一覧表(コンテンツ名・優先度・素材の担当と期限)。合意形成ポイントは、「載せないと決めたもの」も含めて関係部署に確認することです。掲載見送りの合意を飛ばすと、公開直前に「うちの部署のページがない」と発覚する事態になりかねません。

ステップ6:サイトマップで階層構造を設計する

コンテンツ一覧を、サイトの構造に組み上げます。トップページを頂点に、カテゴリページ、詳細ページとぶら下げていくツリー構造の図(サイトマップ)を作りましょう。ポイントは、自社の組織図ではなくターゲットの探し方に合わせて分類すること、階層を深くしすぎずどの階層でも迷わず次へ進める構造にすること、そしてカテゴリ名にターゲットが検索で使う言葉を選ぶことです。

なお、古くから目安とされる「トップから3クリック以内」については、クリック数自体がユーザーの満足度や離脱率を左右するという根拠はUXの調査で否定されています。ただし浅い階層には検索エンジンのクローラーがページを発見しやすいという利点があるため、構造を整理する目安としては今も有効です。数値より「迷わせないこと」を優先してください。

あわせて、各ページのURLの付け方のルールもここで決めておきます。階層構造とURLをそろえ、内容がわかる英単語で命名する。ルールが一貫していれば、運用中にページが増えても迷いません。

リニューアルの場合は、もう一つ大事な作業があります。既存ページと新ページの対応表を作ることです。既存のURLが変わるページは、新しいURLへ転送(リダイレクト)する設定が必要で、これを漏らすと、せっかく積み上げた検索エンジンからの評価やブックマークからの流入を失いかねません。

このステップはSEOにも直結します。検索エンジンはサイトの階層構造を手がかりにページの関係を理解するため、ここで整理された構造を作れるかどうかが、公開後の集客力の土台になります。階層が深いページには、現在地を示す「パンくずリスト」を置く前提で設計しておくと、ユーザーにも検索エンジンにも親切です。

成果物はサイトマップ(ページ一覧と階層図)とURLルールのメモ。合意形成ポイントは、ナビゲーションメニューに載せる項目と名称をここで固めることです。メニュー名は全ページに影響するため、後から変えると影響範囲が大きく、ここで決め切る価値があります。サイトマップは1枚の図として関係者に見せられる、サイト全体を俯瞰できる唯一の成果物です。「この地図で全部ですね」という確認が取れれば、ページの抜け漏れという後戻りの火種はほぼ消せます。以降の工程は、この地図の上を歩くだけです。

ステップ7|導線設計とワイヤーフレーム。サイト設計最大の合意ポイントの進め方

導線を決めてから、画面の設計図を描く

ステップ7は、いよいよページ単位の設計です。ただし、ここでいきなり画面を描き始めてはいけません。先に導線、つまり「どのページから入ったユーザーを、どんな順でゴール(問い合わせ等)まで導くか」の道筋を決めます。検索で下層ページに直接着地する人も多いため、「どのページにも次へ進む道がある」「行き止まりを作らない」を原則に、ページ同士のつながりを線で結んでいきます。

導線の道筋が固まったら、主要ページのワイヤーフレーム(線と枠だけの画面設計図)を作っていきます。作る対象としてトップページ、主要カテゴリページ、問い合わせページなどレイアウトの型になる数ページ分は欲しいところです。各ページで一番伝えたいことは何か、どの順番で見せるか、ゴールへのボタンをどこに置くかを、色や写真のない状態で固めます。スマートフォンでの表示順も、この段階で必ず確認してください。

描き込みの粒度にも注意が必要です。作り込みすぎると時間を食ううえ、デザイナーの発想を縛ってしまいます。原則は「情報の順番と優先度が伝わる最低限」。ただし、ボタンやリンクの文言(ラベル)だけは仮置きにせず実物に近づけてください。「詳しくはこちら」なのか「無料で相談する」なのかで、導線の説得力はまったく変わるからです。文言の検討はデザインではなく、設計の仕事です。

ワイヤーフレームの合意が、後戻り防止の最大の山場

8ステップの中で、合意形成がもっとも重要なのがこのステップです。なぜなら、ワイヤーフレームはデザインという「後戻りの高くつく工程」に入る直前の、最後の安価な修正チャンスだからです。ここでの指摘は数分で直せますが、デザイン完成後の構成変更は数日がかりになります。後戻りコストの曲線が急勾配になる直前の、最後の平地だと考えてください。

ゴールへのボタン(CTA)の置き方には、ある程度定石があります。ページを開いてすぐ見える範囲(ファーストビュー)に1つ、各セクションの内容を読み終えた直後に1つ、そしてページ末尾に1つ。「行動したくなった瞬間に、ボタンが目の前にある」という状態を作るのが基本です。ワイヤーフレームの段階でこの配置を決めておけば、デザイン工程では迷いません。

レビューの回し方にもコツがあります。おすすめは2回に分けることです。1回目は「情報の順番と過不足」だけを見る構成レビュー、2回目は文言や細部の表現を見る詳細レビュー。一度にすべてを見てもらおうとすると、細部の指摘に議論が流れて、肝心の構成の合意が曖昧なまま進んでしまいます。

合意の取り方にはコツがあります。関係者にワイヤーフレームを見せると「地味ですね」という感想が返ってきがちですが、これはデザイン案だと誤解されている証拠です。「これは設計図で、色や写真はこれからです。確認してほしいのは情報の順番と過不足です」と、見る目的を先に伝えてください。そのうえで、「このページで一番伝えたいことはこれで合っていますか」「足りない情報はありませんか」と観点を絞って確認します。成果物は主要ページのワイヤーフレーム一式、合意形成ポイントは決裁者を含めた「構成のOK」を文書やメールで記録に残すことです。ここで得たOKの記録は、デザイン工程で構成変更の要望が出たときに「ワイヤーフレームで合意した構成からの変更になります」と冷静に影響を確認するための、全員を守る基準線になります。

サイト設計8ステップの成果物と合意形成ポイントの一覧表。各ステップで作る成果物、合意する相手、合意しておくべき内容を整理したチェック表

ステップ8|デザイン・実装への引き継ぎと、公開後の検証まで設計するやり方

設計の意図ごと引き継ぐのが、最後のステップ

ワイヤーフレームまで固まったら、いよいよデザイン・実装の工程へ引き継ぎます。このとき渡すのは、要件定義書、コンテンツ一覧、サイトマップ、ワイヤーフレームというこれまでの成果物一式です。ただし、資料を渡すだけでは足りません。大切なのは「なぜこの構成なのか」という設計の意図まで伝えることです。

引き継ぎとあわせて、変更管理のルールも決めておきましょう。以降に変更したくなったら、誰に伝え、影響範囲と追加費用・納期を確認したうえで判断する、という手順を関係者で共有しておくのです。変更を禁止するのではなく、変更のコストを見えるようにする。これだけで「ちょっとした思いつき」による混乱は大幅に減ります。

設計の意図が伝わっていないと、デザイナーは見た目の判断に迷い、良かれと思った変更が設計を崩してしまうことがあります。「このページの主役は問い合わせボタン。装飾がボタンより目立つのは避けたい」というように、判断基準ごと引き継ぐことで、デザイン工程での認識ズレを防げます。Web制作会社に外注している場合は、この引き継ぎの場に発注者も同席し、「設計はこれで確定。以降の変更は影響範囲を確認のうえで」という節目を全員で共有しておくと、以降の変更管理が格段に楽になります。

公開して終わりにしない。検証の仕組みまでが設計

また、引き継ぎ資料には、参考にしたいサイトやデザインのトーン(信頼感重視か、親しみやすさ重視か)といったデザインの方向性のヒントを一言添えておくと、デザイナーの初手が正確になります。設計とデザインの間の「翻訳ロス」を減らす、小さくて効きめのある工夫です。ここまで渡せば、引き継ぎは万全と言えます。

なお、公開前には、複数のブラウザとスマートフォンでの表示確認、フォームの送信テスト、リニューアルの場合は転送設定の確認といった公開前チェックの工程も待っています。設計段階からチェック項目の存在を頭に入れてスケジュールを組んでおきましょう。

そして意外と抜け落ちるのが、公開後の検証の設計です。ステップ1で決めたKPI(問い合わせ月10件など)を、公開後に誰が・どのツールで・どの頻度で確認するのかを決めておきます。アクセス解析の導入、計測タグの設置、月次で見る数字の一覧。ここまで設計に含めておけば、公開後に「で、成果は出てるの?」と聞かれて困ることがなくなります。

検証計画は、凝ったダッシュボードでなくてよいのです。「月初に、アクセス数・問い合わせ数・主要ページの閲覧数を、担当者が一覧表に記録する」程度の軽い仕組みが、続く仕組みです。最初の1〜3か月は想定とのズレを探す期間と割り切り、小さな改善を一つずつ積んでいきましょう。

サイト設計とは、公開日をゴールにする作業ではなく、公開後に成果を検証・改善できる状態を作る作業です。設計どおりにユーザーが動いているかをデータで確かめ、ズレていれば直す。このサイクルの起点まで用意して、8ステップは完了です。成果物は引き継ぎ資料一式と検証計画(見る数字・頻度・担当)、合意形成ポイントは「公開後、最初の振り返りをいつやるか」を日付で決めておくことです。日付まで決めるのは、公開の達成感でプロジェクトが解散し、検証が誰の仕事でもなくなる事態を防ぐためです。振り返りの予定が入っているだけで、サイトは「作って終わり」から「育てる資産」に変わります。

サイト設計のやり方で失敗しないコツ|時間配分・ツール・よくあるつまずき

時間配分のコツ:前半に厚く、ただしかけすぎない

最後に、実践のコツをまとめます。8ステップの時間配分にも目安があります。感覚的には、前半(ステップ1〜4)に全体の半分近くを割く価値があります。土台の合意が固いほど後半は速く進むからです。一方で、設計に時間をかけすぎて熱量が冷めるのも失敗パターンです。各成果物は6〜8割の完成度で早めに共有し、意見をもらいながら詰める進め方が、結果的に速く、質も上がります。

サイトの規模にもよりますが、サイトマップやワイヤーフレームの作成自体は数週間〜1か月程度が目安です。ただし要件定義や関係者との合意形成まで含めると、中規模以上では設計フェーズ全体で1〜2か月かかる場合もあります。スケジュールを引くときは、各ステップの合意にかかる時間(関係者の確認待ち)を忘れずに見込んでください。作業より合意待ちのほうが長い、というのが実務の現実です。確認依頼には「いつまでに・どの観点で見てほしいか」を必ず添えると、待ち時間は目に見えて短くなります。

ツールは身近なもので十分。凝るのは中身

サイト設計を進めるうえで、専用ツールは必須ではありません。目的やペルソナのメモは文書ソフト、コンテンツ一覧は表計算ソフト、サイトマップはスライドや作図ツール、ワイヤーフレームは手書きやスライドでも作れます。本格的に進めるなら、Web制作の現場で標準的に使われるFigmaのようなデザインツールを使うと、ワイヤーフレームからデザインへの引き継ぎが滑らかになります。

道具選びで迷ったら、「関係者が全員見られて、コメントできるもの」を基準にしてください。合意形成が本記事の背骨である以上、共有しやすさは機能の豊富さに勝ります。

もう一つ、合意形成にまつわる注意があります。合意が大切だからといって、すべての決定を全員の多数決にしないことです。全会一致を狙うと、提案はどんどん角が取れ、誰にも刺さらない「平均的なサイト」になっていきます。意見は広く聞き、決めるのは目的に照らして少人数で。「聞く人」と「決める人」を分けることが、合意形成を機能させるコツです。関係者を増やしすぎないことも同じ理由で重要です。

よくあるつまずき:一人で完璧に仕上げてから見せる

最後に、ありがちなつまずきを一つ。地域密着で店舗を展開するサービス業の担当者が、ステップ1〜4を一人で一気に仕上げ、良かれと思ってワイヤーフレームまで作り込んでから、初めて上司と制作会社に見せた場合を考えてみます。すると何が起こるでしょうか。上司からは目的への異論が出て、制作会社からは構造への専門的な指摘が入り、結局ステップ1からやり直し。進んだ距離ではなく、合意した距離だけがプロジェクトの前進なのです。一人で完璧を目指した1週間より、粗くても関係者と共有した1日のほうが、プロジェクトを確実に前へ運びます。うまく進んでいるか不安になったら、「直近で誰と何を合意したか」を思い出してみてください。答えに詰まるなら、それが共有のタイミングです。

また、リニューアル案件では、既存サイトの資産の棚卸しを忘れないでください。検索から安定して人を集めているページ、被リンクの多いページは、サイトの財産です。デザインを一新する場合でも、こうしたページの内容とURLはできる限り引き継ぐ判断が、公開後の集客の落ち込みを防ぎます。

各ステップの成果物は小さく、共有は早く。この記事の8ステップを「作業のリスト」としてだけでなく、「合意のリスト」として使ってください。それが、後戻りしないサイト設計のやり方の本質です。

まとめ

サイト設計のやり方は、①目的の言語化、②ターゲット設定、③現状分析・競合調査、④要件定義書、⑤コンテンツ洗い出し、⑥サイトマップ、⑦導線設計とワイヤーフレーム、⑧引き継ぎと検証設計、という8ステップで進みます。鍵は手順そのものよりも、各ステップで成果物を作り、しかるべき相手と合意してから次へ進むこと。後戻りの正体は作業ミスではなく合意の飛ばしであり、工程が進むほど修正コストは跳ね上がります。まずはステップ1の「誰に・何を伝え・どう動いてほしいか」の一文を書き、決裁者に見せるところから始めてみてください。もし進め方に不安があれば、設計段階から伴走するクライマークスに早めにご相談ください。早い段階での相談が、後戻りを防ぐ有効な一手になります。

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