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コラム

デザイン部 デザイナー KN

グラフィック出身のデザイナーが考える
グラフィックデザイン(広告デザイン)とWEBの違いとは?

昨今、業界問わずDXを進める企業が増加しています。一昔前まではグラフィッデザイン(広告デザイン)全盛期であったクリエイティブ業界でも、WEBを主流とするデジタル領域のクリエイティブ需要が年々高まっています。

そのため、私のようにグラフィックデザイナーからWEBデザイナーへキャリアチェンジした方は、多くいらっしゃると思います。そのキャリアチェンジの中で、私自身が感じたグラフィックデザインとWEBデザインの違いについてお話ししたいと思います。

ユーザーが媒体に接するときの興味・関心が異なる

興味・関心が異なる

目的を持って閲覧するパンフレットや雑誌、カタログなどのエディトリアルデザインは別として、ポスターや新聞広告、チラシ(スーパーのチラシなどは除く)、駅貼り広告などのグラフィック媒体を、ユーザーは基本的に偶然見ることが多いと思います。

そのためクリエイティブの手法としても、インパクトがあるイメージやコピーであったり、美しいビジュアルのデザインであったりと、ユーザーに目に留めてもらい関心を持ってもらうことを第一の目的とします。
さらに、全ての情報を掲載することは少なく、QRコードや検索窓などでコーポレートサイトやサービスサイトへの誘導するきっかけとなるものが多いと感じます。

それに対し、WEB媒体では、ユーザーが偶然目にすることはまれ。ワード検索やQRコード、バナー広告などから、情報をもっと閲覧したいと思って訪れることがほとんどです。

ファーストビュー(特にトップページなど)だけとるとグラフィックに近く、インパクトのあるものや美しいビジュアル、印象に残るコピー要素が求められますが、グラフィック媒体ほど強い表現は必要ないと考えます。
あくまで、サイト全体を通して多くの情報を分かりやすく伝える、その入り口として機能的な要素が求められます。

また、WEBデザインは、同じく目的を持って閲覧するパンフレットや雑誌、カタログなどのエディトリアルデザインに近いとよく耳にしますが、詳細な情報が記載されている点や各要素の機能(例えばファーストビューと表紙、下層トップページと扉ページ、パンくずと柱・ノンブルなど)が似ていると感じます。

グラフィックデザインは「ファーストインプレッション」、
WEBデザインは「ファーストインプレッション+使いやすさ」が求められる。

ファーストインプレッション+使いやすさ

前述の通りグラフィックデザインは関心のないユーザーを振り向かせるために、インパクトのあるイメージや美しいビジュアル、印象に残るコピー要素が求められます。一瞬で判断される媒体なので、その「ファーストインプレッション」が一番重要だと考えます。

そのためにグラフィックデザイナーは電車広告をジャックしたり、OOHやB1・B0広告など広い面積をとって印象付けたり、サイネージ動画(ここではグラフィックに含める)でストーリー展開で訴求したりさまざまな工夫をしています。

それに対し、WEBデザインはある程度コンテンツに関心があるユーザーが訪れます。
グラフィックデザインと同様に「ファーストインプレッション(特にファーストビュー)」は当然求められ、魅力的なものでないとユーザーはサイトから離脱してしまいますが(競合がいない特殊な情報サイトなどは例外)、「ファーストインプレッション」だけでは不十分です。WEB媒体には、「ファーストインプレッション+使いやすさ」が求められます。

それはUI(ユーザーインターフェイス)や心地よいアニメーションなどの見た目だけでなく、コンバージョンやUX(ユーザーエクスペリエンス)、カスタマージャーニーマップ、ペルソナ設定などユーザーを仮定して、サイトに訪れた後のストーリーまで想定することが求められます。

WEBデザインはプロジェクトに関わる人やミーティングの時間が多い

ミーティング多い

私自身、グラフィックデザイナーのころは少人数のデザイン事務所に所属していたため、社内で関わるメンバーは、アートディレクターやデザイナー、レタッチャー(社外のカメラマン、イラストレーター、コピーライターなどは除く)などでした。

WEB業界に入ってからはプロデューサーやディレクター、デザイナー、コーダー、システムエンジニア(特殊なシステムを使用する場合)など関わるスタッフが増え、その多さに驚きました。

また、グラフィック時代のミーティングは、大まかに言うとオリエン時、ブレスト時、デザイン確認時などで、先方からのOKが出ればすぐに印刷会社に入稿する流れでした。

しかし、WEBデザインではオリエン時、ブレスト時は同じでも、デザイン確認が数回(下層ページも含むため)、コーダーとのアニメーション指示などのミーティング、コーディング修正などのミーティング……などミーティングの回数も増えました。これにも驚いたことを覚えています。

WEBデザインはレイアウトの決め打ちができない。
しかし、いつでも直せるので入稿前のプレッシャーがなくなる。

レイアウト決め打ち

私のように、グラフィックデザイナーからWEBデザイナーへキャリアチェンジされた方はここが一番もどかしいかもしれません。グラフィックだとデザインをしてアウトラインをかけて入稿、印刷するわけですが、アウトラインをかけてしまえばレイアウトが崩れることはありません(印刷することで色校正という作業が発生しますが……)。

しかし、WEBデザインでは、ユーザーが閲覧するデバイス環境(OSやPC、スマートフォン、タブレットなど)によってフォントやレイアウトが異なり、そのことを考慮してデザインを進めていく必要があります。
今では多少慣れましたが、初めのころはかなり戸惑いがあったのを覚えています(ただ、いつでも直せるので入稿前のプレッシャーがなくなりますが……)。

WEBデザインはルールが多い。
しかし、アニメーション、動画、音楽などいろいろ盛り込める。

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前述のように、WEBデザインではユーザーが閲覧するデバイス環境(OSやPC、スマートフォン、タブレットなど)やフォント、その他にさまざまなルールがあります。

例えばMacとWindowsでは表示されるデフォルトのフォントが異なっていたり、SafariやFirefox、Internet Explorerなどのブラウザに対応するデザインデータを作成する必要があったり、PC、スマートフォン、タブレットと、それぞれの画面サイズに適したレイアウトがあったりします。

それらはグラフィックデザインのルール(特に媒体や印刷に関するもの)よりも、専門的で細かいものが多いと感じます。
さらに、そのルールに関しても日々変化しているため、最新の情報を常にキャッチしていく姿勢が求められます。

ルールやデザインのトレンドなどに関しても、最新の情報を求めていかなければなりませんが、その分、WEBデザインには大変魅力があると感じています。
それは、心地よいアニメーション、魅力的な動画、楽しい音楽などさまざまな要素を盛り込める点です。

グラフィックデザインにおける静止画での絵作りとは、その点が大きく異なります。
私がWEBデザイナーへキャリアチェンジした理由も(もちろんデジタル領域のクリエイティブ需要が年々高まっているためもありますが)、動きのあるデザインができることが一番の理由でした。

最後に

いかがでしたでしょうか?現在、私はWEBデザインをメインの仕事にしています。グラフィックデザインも大いに魅力があることは間違いないですし、どちらが良い悪いというわけでもありません。
ただ、今は変化の早いWEBデザインの領域で切磋琢磨していこうと思っています。

このコラムの内容はグラフィックとWEBの違いを完全に網羅したわけではありません。
両方を経験した私が、違うと感じたことだけを紹介していますが、これからWEBデザイナーを目指す方や、グラフィックデザイナーからWEBデザイナーへキャリアチェンジされる方の少しでも参考になれば幸いです。

Web制作

大規模コーポレートサイトからサービスサイトやサテライトサイトまで、アートディレクションと情報アーキテクチャ設計を融合した、クリエイティブで訴求力の高いサイトを構築します。また、フロントエンドのみならずバックエンドのシステム構築、デジタルマーケティング支援までを総合的に提供しています。

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