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コラム

ディレクション部 ディレクター Y

Web制作ディレクターを続けて分かった情報設計の真の魅力

「情報設計」と聞くと皆さんは何を思い浮かべますか?
私はディレクターになった当初、この言葉が理解できていませんでした。
個人的には、地味で面倒くさいことと考えていて、早くデザインで見たい、Web上で動かしたいという気持ちが前に出ていました。
自分で設計したものが実際に動く状態になったときの高揚感と充実感は、どの業種でも同じことだろうと思います。

特に最近では、「モバイルファースト」という言葉を良く聞きます。
少し前まではまだまだPCを優先として考えていたのですが、スマートフォンユーザを意識し、PC・スマートフォンの2つ(またはタブレット含め3つ)のサイトを作るのですから完成した楽しみも倍以上になります。(その工数も増えたわけですが・・・)
地味な構成などにそんなに魅力を感じていなかったのです。

これまでの私は、「ディレクターの仕事とは?」と聞かれた時に、あまりに多くのことに関わりすぎていて自信を持ってこうですと回答ができていませんでした。
以前、答えていたのは「なんでも屋」。これが一番的を射ている表現でした。
これじゃダメですね。

そこで今回は、自信を持ってディレクターとは何かを回答できるきっかけとなった、「情報設計」の魅力について少し語ろうと思います。

ターゲット、目標、課題、調査結果を明確にする

ディレクターになった当初は、とにかく自分の経験から画面設計をひたすら書き続けていました。
とにかくUIにこだわった画面設計を作り、Webサイトを作ることをゴールとして向かっていたわけです。
情報設計を経験だけで決めつけていたのです。

現在では、情報設計する際にはお客様と“とことん”話し合うことを常に心掛けています。
そして、経験や情報を整理した上で、「ユーザー視点の見かた」をすることが大切だと考えています。
お客様の業種・業態によって、そのWebサイトに訪れるユーザーはまったく異なります。お客様の当初の情報だけでは少なからず目標がブレてきたり、課題が抜けている箇所が出てくる場合が多くなります。

先日、BtoBのお客様からリニューアルのご相談がありました。

  • トップページにパララックスを使って自社製品の動きを見せたい
  • 下層ページも縦長にして図などを全部見せたい
  • スペック情報などをシステムによって自動生成させたい

上記のような要望の場合、トレンドに乗ったパララックスなど使って格好良く作りたくなります。
しかし、調査や目標設定や要件定義をしていくと以下の疑問が出てきました。

  • トレンドのUI、デザインがターゲットにとって最適解なのか?
  • 一般消費者向けの商材ではなく、企業向けの商材が多いので、スマートフォンファーストよりタブレットファーストで考えるべきではないか?
  • 製品を知ってもらうのはもちろん重要だが、会社としての強みを訴求するコンテンツがなく、競合との優位性を示せていないのでは?
  • 想定しているターゲットユーザーのみで本当に良いのだろうか?

調査結果として、お客様のWebサイトを訪れるユーザーは同種の企業だったり年齢が高い層が多いことがわかりました。
パララックスという表現方法は魅力的ですが、Webサイトのインタフェースや操作において、目的のコンテンツに素早く到達できないのではないかという不安もあり、結果的にしっかりと情報を伝え商品へ素早くアクセスでき、お問い合わせへ繋がるUIへと変更となりました。
トレンドや格好良いデザインだけが最適解ではないのです。

また、取材・ヒアリングを通じて、企業としてどんなバックボーンや実績があり、何が競合との差別化ポイントになっているかなども明らかになり、それを訴求する強みコンテンツも導入することになりました。

丁寧にヒアリングを行い、混在している情報を整理し紐解いていくと見えてくるものがあり、それが情報設計の楽しみの1つです。

コミュニケーションの大切さ

コミュニケーションが情報設計とどう関係あるのか疑問に思うかもしれません。情報設計云々以前にコミュニケーションは生きていく上で大切なことだ思うのですが、特にディレクターとしては何よりも重要なことだ思っています。
個人的な考えですが、担当者も私たちも人間対人間なので、合う・合わないは必ず生じます。コミュニケーション上の問題があるのであれば、リソースに余裕があるなら制作側の担当が変わるくらいしても良いと思うくらい重要なことだと思います。

お客様の情報をどれくらい引き出せるか。会話のキャッチボールがしっかりできてこそ、最適な情報設計に結びついてくると思います。
質問を送って、回答をもらうだけの行動なのですが、お互いに向かい合って、話し合いをするからこそ、ゴールへ一緒に向かっていけるのだと思います。

社内でも同じです。
私の場合は、一人ではすべてのアイデア、企画など出せません。
プロジェクトメンバーとここまでやるかというくらい情報出しのミーティングを重ねます。
全員が同じゴールを向いてこそ本当の意味での情報設計ができるのです。
お客様とゴールを共有し、共に達成することが情報設計の魅力であると考えています。
ビジネスなので駆け引きもあるとは思います。
ただ私は、お客様に対して誠実に謙虚に向かっていく、そんな姿勢を大切にしています。
技術やデザインなどの前に、どんな関係を築いていけるかが重要な心構えなのだと思います。

ディレクターと情報設計

私は情報設計はディレクターだけの仕事だとは思っていません。
情報設計を成功に導くには、デザイナーやプロデューサー、システムエンジニアも含めて、全員がUIのみならずUXをとことん考え尽くしてプロジェクトに向かい合う体制、つまり、「チーム」を作りあげていくことが重要だと思います。
デザイナーやプログラマーからディレクター職になる人も沢山います。時にはマルチな作業が求められるなんでも屋なのかもしれません。
ただ確実に言えることは、チームの各々のトッププレイヤーに的確なパスを出せるWeb制作の司令塔!それがディレクターなのだと思います。

情報設計とは?について簡単に説明しましたが、お客様の立場に立って考え、ユーザーの目線に立って考え、経験や調査結果から考え、すべてを合わせてはじめて情報設計がスタートできます。
Webディレクターとはそんな情報設計を担う、一番重要で魅力的なパートであると言えます。

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