Consulting / Information Architecture / Designing

このページの先頭へ

Journal

クライマークス社員のノウハウを、コラム、ケーススタディ、インタビューなどでご紹介

コラム

プロデュース部 ストラテジスト A

CSR/サステナビリティのカテゴリートップって、どんな設計のページが多いの?

これまでの「CSR」カテゴリーというと、なんとなく脇役的な位置づけで、社会貢献や環境保護に関する情報を提供していた企業が多かったように思いますが、最近では「サステナビリティ」「ESG」「CSV」といったキーワードが注目され、マーケティングだけでなく、IRや採用の面でもかなり重要度が高まってきている印象があります。

そこで、CSR/サステナビリティ活動に積極的に取り組んでいる企業は、果たしてどのようなページ設計・訴求をしているのかについて、取り急ぎカテゴリートップページに限定して調べてみました。

今回調べたことと分かったこと

1. カテゴリートップページのタイプ

日本企業は誘導重視の目次型、海外企業は訴求重視のサマリー型が最も多い。

2. カテゴリータイトル(メニューラベル)

海外企業だけでなく、日本企業でも「サステナビリティ」がスタンダードになりつつある。

日本企業のCSR/サステナビリティ トップページ

調査の対象にしたのは、東洋経済新報社の「CSR企業ランキング上位2020年(第14回)」の上位30社。カテゴリートップページの傾向について紹介します。

■最も多かったのは誘導重視の「目次型」

今回調査した30社の約6割が目次型のページでした。どのようなページかというと、下層ページへのリンクを並べたリンク集のようなページです。サムネイル画像やリード文がある場合もありますが、コンテンツの内容まで踏み込んだものにはなっていません。サイトマップページに近いものとお考えください。

例えば、「社長メッセージ」「CSR方針」「マテリアリティ」のようなコンテンツタイトル(リンク)が並んでいるだけのカテゴリートップで、訴求要素といえば、せいぜいヒーローエリア(メインビジュアル)のメッセージくらいでしょうか。

貴社のCSR/サステナビリティ情報を隅から隅まで知りたい人がターゲットであるのなら問題はないと思いますが、数多くある企業の中から貴社のことを選ぼうとしている人をターゲットとするのであれば、少し見直しをしても良いかもしれません。なぜなら、1つ1つのコンテンツ(ページ)を見ないと取り組み内容などが分からず、理解のハードルが高いからです。全部のページを見てくれる人は少ないと思いますので、パッと見るだけで貴社の取り組み内容がある程度分かる工夫や各コンテンツの概要を伝えることで、興味を喚起した方が貴社の取り組みを理解してもらいやすいのではないでしょうか。

ここからは、パッと見で取り組みを理解してもらうためのページ設計・訴求方法について紹介していきます。

■手法1: トップメッセージや理念・想いをカテゴリートップで訴求

どのような想いでCSR/サステナビリティに取り組んでいるのかをカテゴリートップでしっかりと伝える方法です。当然ですが、各コンテンツへの導線も用意されています。
まずは想いを伝え、その上で具体的な取り組みなどについて知ってもらうという設計思想ですね。
※今回の調査では約1割の企業が該当しました。

【手法1の例】

東レ

東レ

Zホールディングス

Zホールディングス

■手法2: 重点取り組みや重点課題をカテゴリートップで訴求

基本的には目次型の設計ではありますが、具体的に何に取り組んでいるのかはカテゴリートップでも分かるようにした設計です。例えば、「重点取り組み」という見出しの下に「●●●への取り組み」「■■■への取り組み」「▲▲▲への取り組み」といった感じで、ひとつひとつの取り組みの紹介を兼ねた導線にしています。
目次型の場合だと、「重点取り組み」というリンクがあるだけで、何に取り組んでいるかはリンクをクリックしてみないと分からない、、、という難点があります。
※ 今回の調査では約2割の企業が該当しました。

【手法2の例】

セブン&アイ・ホールディングス

セブン&アイ・ホールディングス

ダイキン工業

ダイキン工業

■手法3: カテゴリートップをサマリー化

さらにパッと見で分かりやすいのが「サマリー型」です。各コンテンツの導線に概要説明を添えることで、カテゴリー全体のサマリーのようになっており、どのような想いで、どのようなことに取り組んでいるのか、概要が分かるようになっているページです。手法1と手法2の組み合わせと言ってもいいかもしれません。
要点のみを知りたいサイト訪問者にとっては有益なページになるでしょう。
※ 今回の調査では約1割の企業が該当しました。

【手法3の例】

富士通

富士通

オムロン

オムロン

■カテゴリータイトル(メニューラベル)は「サステナビリティ」が半分を占める

これまでは「CSR」が一般的でしたが、最近は「サステナビリティ」とする企業が増えてきているようで、今回調べた30社のうち半分を占めていました。

他には、「サステナビリティ・CSR」(三菱商事)、「CSR/ESG」(セブン&アイ・ホールディングス)といった組み合わせや、「社会との共有価値(CSV)」(キリンホールディングス)や「社会と共に生きるクボタ」といったタイトルもありました。

海外企業のCSR/サステナビリティ トップページ

海外企業については、カナダの出版社であるCorporate Knights社がサステナビリティの観点で企業を評価している「Global 100 Most Sustainable Corporations in the World」の上位30社を調べてみました。

ある程度予想していた通り、CSR/サステナビリティトップページのタイプはサマリー型が4割と最も多く、手法1や手法2のように、何らかの形である程度の内容を訴求している企業も含めると、約6割の企業が該当しました。「目次型」は日本企業の約6割に対し、海外企業では約4割。海外企業ではサマリー型が主流だという点は、CSR/サステナビリティカテゴリーに限らず、トップページや他のカテゴリートップでも同じような傾向だと思います。

Cisco

Cisco

Autodesk

Autodesk

カテゴリータイトル(メニューラベル)は、約6割の企業が「Sustainability」としており、その他には「CSR」「Responsibility」「Commitment」などがありました。

最後に

貴社のCSR/サステナビリティ情報を端から端までひととおり見てくれる人もいれば、ざっとしか見てくれない人もいますので、目次としての機能も併せ持つ「サマリー型」にすれば、多くのサイト訪問者に満足してももらえるカテゴリートップになるのではないでしょうか。

  • カテゴリートップで概要理解と興味喚起 → 下層のコンテンツページで詳細情報の理解!
  • 訴求要素を盛り込みすぎると目次としての機能が低下するため、訴求と誘導のバランスが大切!
  • サイトマップのようなものをページ下部に掲載したり、メガメニューで目次の機能を担保するのもあり!

サステナビリティサイト制作

さまざまなコーポレートサイトを構築することで培ったコーポレートコミュニケーションの知見に基づき、印象的にわかりやすくサステナビリティ情報を発信するサイトを制作します。

Keyword