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企業サイトを英語に翻訳する方法|社内対応・外注・ツールを徹底比較

日本企業が海外展開を加速するなかで、自社のWebサイトを英語に翻訳するニーズは年々高まっています。採用ページを海外人材に向けて開放したい、IR情報を投資家に届けたい、製品やサービスをグローバル市場に紹介したい。こうした状況に直面したとき、多くの担当者が最初に悩むのが「翻訳の方法をどう選ぶか」です。
翻訳には社内のバイリンガル人材を活用する方法、翻訳会社へ外注する方法、自動翻訳ツールを導入する方法、さらにはSaaS型多言語化サービスを利用する方法があります。それぞれコスト・品質・スピード・運用負荷のバランスが異なり、最適解は一律ではありません。本記事では、企業サイトを英語化する際の主要な選択肢を比較検討し、ケースに応じた最適な判断軸を提示します。翻訳精度だけでなく、ガバナンスやSEOまで考慮した戦略設計のヒントにしてください。

まず押さえるべき「Webサイト 翻訳 方法」の判断軸

品質とブランド再現性を最優先にする時の考え方

企業のWebサイト翻訳で最も重要なのは、品質の担保とブランドメッセージの再現性です。単に日本語を英語に置き換えるだけでは、正しく情報を伝えられないどころか、誤訳やニュアンスのずれが企業の信頼を損ねるリスクにつながります。特にコーポレートサイトやIR情報などでは、1つの単語の解釈が投資判断に影響を与える場合すらあります。

翻訳の品質には「正確さ」と「自然さ」の2軸があります。正確さは原文に忠実であること、自然さは現地のビジネス文化に即した表現になっているかどうかです。たとえば「強み」という言葉は直訳すると “strength”ですが、コンテキストによっては “competitive advantage” や “core competency”の方が適切です。単純な直訳では伝わらないニュアンスをどう表現するかが、翻訳手段の評価基準になります。

また、ブランドトーンを損なわないことも不可欠です。製品紹介文やトップメッセージは、単なる情報伝達以上に企業の姿勢を表すもの。ここを誤ると「グローバル企業としての印象」が弱まり、海外の見込み顧客や投資家に訴求できません。したがって翻訳方法を選ぶ際には、どこまでブランド再現性を重視するかを最初に考える必要があります。

更新頻度・緊急性・情報粒度で分ける

次の判断軸は、更新頻度や緊急性です。翻訳対象となるページが「毎月更新されるニュースリリース」なのか、「年1回の会社概要改訂」なのかで、最適な翻訳方法は変わります。

  • 更新頻度が高い場合:自動翻訳や簡易翻訳を組み込み、まずは速報性を優先。その後、重要ページのみ人手で精査。
  • 更新頻度が低い場合:翻訳会社や専門家に依頼して高品質を追求。
  • 緊急性が高い場合:速報性を確保する仕組みを持つことが重要。たとえばIR速報やニュースリリースは、即時英訳が求められるため、自動翻訳+社内チェック体制が有効。

さらに、情報の粒度も検討ポイントです。詳細な技術解説や契約条件など、誤訳が致命的なページは必ず人間による校閲が必要です。一方、ブログやイベント告知のように多少のニュアンスの差異が許容される領域では、効率重視の翻訳方法が適しています。

セキュリティ/ガバナンス/SEO(Google国際対応)基準

見落とされがちなのが、セキュリティとSEOの観点です。翻訳作業は外部サービスやクラウドを利用する場合が多く、顧客情報や未公開の経営情報が翻訳対象に含まれるリスクがあります。クラウド翻訳ツールを選ぶ際には、データ保持方針やセキュリティ認証(ISO27001、SOC2など)の有無を必ず確認すべきです。

また、グローバルSEOの観点では、hreflangタグやURL構造の設計が必須です。単に英語化したページを用意するだけでは検索に正しく評価されず、むしろ重複コンテンツとみなされるリスクもあります。翻訳方法を決める際には、SEO対応まで視野に入れることが重要です。

ガバナンス面では、翻訳プロセスを属人的にせず、用語集・スタイルガイドを整備して一貫性を保つことが求められます。これが不十分だと、ページごとに表現が異なり、海外ユーザーに違和感を与えてしまいます。

✅ まとめると、翻訳方法を決める判断軸は以下の3つです。

  1. 品質とブランド再現性をどこまで重視するか
  2. 更新頻度・緊急性・情報の粒度をどう捉えるか
  3. セキュリティ・ガバナンス・SEO対応まで考慮するか

これらを踏まえて初めて、内製・外注・自動翻訳・SaaSといった選択肢を比較できるのです。

社内対応(内製)の現実解—体制・工数・品質確保

メリット(スピード・社内知見・コミュニケーション)

社内にバイリンガル人材や海外拠点がある場合、社内対応で翻訳を行う方法は比較的取り組みやすい選択肢です。最大のメリットは、スピード感と情報の即時共有です。新製品リリースやIR発表の直前に翻訳が必要になるケースでは、社内スタッフが対応できれば外注のリードタイムを待たずに済みます。

さらに、社内で翻訳を行えば、自社特有の用語や業界背景を理解した状態で翻訳できるのも強みです。特に製造業やIT業界などでは、一般的な翻訳者が理解しにくい専門用語や社内独自の略語が多く存在します。こうした言葉を正しく扱える点は社内翻訳の大きなアドバンテージです。

また、社内担当者同士で直接やり取りできるため、コミュニケーションの摩擦が少ないこともメリットです。細かなニュアンスや表現の確認をすぐに相談でき、手戻りが減ります。

社内対応(内製)の現実解—体制・工数・品質確保

デメリット(品質ばらつき・稼働逼迫・属人化)

一方で、社内対応には明確な課題もあります。最も大きなリスクは品質のばらつきです。たとえバイリンガルの社員がいたとしても、翻訳を専門に訓練しているわけではなく、文章の読みやすさや自然さに差が出てしまうことが少なくありません。専門分野や法律文書などでは、誤訳や不正確なニュアンスがそのまま外部に露出するリスクもあります。

また、人的リソースの逼迫も避けられません。本来の業務に加えて翻訳作業を担当すると、社員の稼働が圧迫され、他の重要な仕事に影響が出ます。総務や広報担当者に突発的に翻訳依頼が集中すれば、業務の優先順位を調整せざるを得ず、結果的に品質や納期のバランスが崩れやすくなります。

さらに、属人化の問題も深刻です。特定の社員に翻訳作業が集中すると、その人が休職・退職した場合に対応不能となり、ナレッジが引き継がれないまま途絶えるリスクがあります。企業の翻訳業務を持続可能にするには、属人性を排除した仕組み作りが欠かせません。

成功の型(用語集/スタイルガイド/校閲と評価指標)

こうした課題を克服するには、「仕組み化」された翻訳体制を社内で構築することが重要です。具体的には、以下のような取り組みが効果的です。

  1. 用語集の整備
     会社名、サービス名、専門用語などを英語に統一するための用語集を作成します。これにより、担当者が変わっても表現が統一され、ブランドメッセージがブレません。
  2. スタイルガイドの策定
     言葉遣い、文体、フォーマル度合いを明示したスタイルガイドを整備します。例えば「当社」を “Our company” とするのか “We” とするのか、数字表記は半角か全角か、といったルールを決めておくことで品質を安定させられます。
  3. 校閲と評価指標の導入
     翻訳を担当した社員とは別の人がレビューを行う「二重チェック」を基本とし、誤訳率や修正率をKPIとして定期的にモニタリングします。これにより社内翻訳の改善サイクルを回すことができます。

これらを整備すれば、社内対応でも一定レベルの品質と持続可能性を実現できます。ただしリソースの確保や運用負荷を考えると、すべてを社内で担うのは中長期的には難しいケースが多いのも現実です。

翻訳会社への外注—“プロ品質”を引き出す要件定義

メリット(専門分野対応・ネイティブチェック・表現調整)

翻訳会社への外注は、品質重視のシナリオで最も有効な手段です。翻訳の専門家やネイティブスピーカーが関与するため、自然で読みやすく、かつ専門分野に適合した表現が得られます。特に技術資料、契約関連、IR資料など、誤訳が許されないコンテンツではプロ翻訳が不可欠です。

翻訳会社の多くはネイティブチェック体制を整えており、日本語から英語への直訳で生じがちな「不自然さ」を排除できます。また、単語レベルだけでなく、段落全体の文脈を踏まえた翻訳が可能で、現地の読者にとって違和感のない仕上がりが期待できます。

さらに、表現のトーンを調整する力も強みです。たとえば、BtoCのカジュアルな製品紹介と、BtoBのフォーマルなIR資料では文体を変える必要があります。翻訳会社はスタイルガイドを策定し、ブランドごとの最適な言語トーンを維持することができます。

デメリット(コスト・リードタイム・改訂対応)

外注の最大のハードルは、コストとリードタイムです。翻訳会社は通常「文字数単価」で料金を設定しており、専門性の高い分野では単価が上がります。長文の製品マニュアルや法的文書を一括で依頼すると、数十万円以上の費用になることも珍しくありません。

また、翻訳を依頼してから納品までには一定の時間がかかります。速報性が求められるニュースリリースや緊急のIR資料では、外注だけではスピード要件を満たせない可能性があります。

さらに、納品後に修正が必要になった場合、追加費用や対応の遅れが発生することがあります。特にWebサイトのように更新が頻繁な媒体では、外注と社内対応をどう組み合わせるかを事前に設計しておかないと、運用が非効率になりかねません。

選定の勘所(分野実績/体制/SEO・CMS適合)

翻訳会社を選ぶ際には、単に料金や納期だけでなく、以下の観点を確認することが重要です。

  1. 分野実績
     法務、金融、医療、ITなど、自社の業界に対応した実績があるかどうかを確認しましょう。業界特有の専門用語を誤解なく翻訳できるかは、信頼性を大きく左右します。
  2. 体制
     翻訳者・チェッカー・ネイティブレビュワーの三層チェックが整っているかどうか。単独翻訳者の体制では品質が不安定になりやすいです。
  3. SEO・CMS適合
     グローバルSEOを意識した翻訳(キーワード調整、metaタグ対応)や、CMSに組み込みやすい納品形式(Word、Excel、XLIFFなど)に対応しているかも見逃せません。これを意識しないと、納品後にWebチームが大きな修正工数を背負うことになります。

翻訳会社外注は、品質最優先のプロジェクトに最適ですが、コストやスピードの制約があるため、すべてのページを任せるのではなく、重要度の高いコンテンツに絞って依頼するのが現実的です。

自動翻訳ツールの活用—速度とコストの両立

特徴とメリット

自動翻訳ツールは、AIや機械学習を活用してテキストを瞬時に翻訳できる仕組みです。導入の最大のメリットはスピードとコストの両立です。ページを更新すればすぐに英語化できるため、速報性が重視される場面では非常に有効です。

また、初期費用が小さいため、小規模なサイトや試験的な英語対応にも適しています。さらに近年の自動翻訳は精度が大幅に向上しており、一般的なビジネス文書やブログ記事であれば一定の読みやすさを確保できます。

課題とリスク

しかし、自動翻訳には限界もあります。文脈理解の不十分さや、業界特有の専門用語への対応不足は依然として課題です。直訳的なニュアンスや不自然な表現が残るため、そのまま公開すると企業の信頼を損なう恐れがあります。

さらに、データセキュリティにも注意が必要です。翻訳対象に未公開情報を含めると、外部サーバーに送信される過程で情報漏えいリスクが発生する場合があります。利用する際には必ず利用規約とセキュリティポリシーを確認し、翻訳対象を選別することが重要です。

効果的な活用方法

自動翻訳は「単独利用」ではなく、人の手による後工程と組み合わせる運用が成功の鍵です。たとえば、速報的に公開するページはまず自動翻訳で生成し、後から担当者や外注により重要部分をブラッシュアップする、といった二段階運用です。

この方法を取れば、スピードを確保しながら品質リスクを抑えることができます。つまり自動翻訳は、速報性・大量更新に強い補助ツールとして位置づけ、ブランド表現や専門文書は人間が担う、という住み分けが現実的です。

SaaS型多言語化の役割—開発最小化と運用設計

自動検知・配信・翻訳管理の一体化

SaaS型の多言語化サービスは、近年急速に普及しています。その特徴は、自動検知・翻訳・配信までを一体化して提供できる点にあります。通常の自動翻訳ツールではテキスト単位の変換に留まりますが、SaaS型はWebサイト全体を対象にし、翻訳文をページ構造に即して配信可能です。

翻訳データはクラウド上で一元管理されるため、更新や修正も容易。管理画面から用語統一や編集も可能で、ガバナンスと効率性を両立できます。

CMS・既存サイト後付けの現実感

多くの企業サイトでは、既存のCMSに多言語化機能を追加するのが課題になります。SaaS型多言語化は、既存のサイトに後付けできる柔軟性が強みです。コードの一部を埋め込むだけで導入できるものが多く、既存のWordPressや独自CMSを全面改修する必要がありません。

特に運用リソースが限られている企業では、「ゼロから多言語サイトを構築する」よりも、SaaS型を利用して短期間で英語対応を整備する方が現実的です。また、複数の言語に拡張する場合もスケーラブルで、英語以外の言語を後から追加しやすいのも利点です。

ツール選定の比較観点(機能・導入難度・ガバナンス)

ただし、SaaS型にも向き不向きがあります。導入を検討する際には、以下の観点で比較検討するとよいでしょう。

  1. 機能の範囲
     翻訳精度に加えて、辞書登録や用語統一機能、翻訳メモリとの連携などが備わっているかを確認します。
  2. 導入の難易度
     コード埋め込みやドメイン設定が簡単かどうか、既存のサイト構造に影響しないかも重要です。
  3. ガバナンスの担保
     翻訳文を社内でレビュー・修正できるか、セキュリティ面で情報管理が適切かを確認する必要があります。

SaaS型は開発コストを抑えつつ短期導入できる反面、長期的には契約コストやサービス依存のリスクも伴います。そのため、スピード重視や多言語拡張を見据える企業には有効ですが、翻訳の完全コントロールを求める企業には必ずしも最適ではありません。

ケース別の最適解

翻訳方法は一律で決められるものではなく、サイトの目的や運用体制に応じた選択が必要です。ここでは代表的なケースを取り上げ、それぞれに適した手法を整理します。

ケース① IR速報を迅速に公開したい場合

IR資料やプレスリリースは速報性が最優先です。この場合は、自動翻訳+社内チェックの二段階運用が有効です。まず速報を自動翻訳で公開し、重要部分は後から人の手で修正。スピードと信頼性を両立できます。

ケース② ブランドメッセージを重視する場合

トップページや社長メッセージなど、企業の顔となる部分は翻訳会社への外注が最適です。ネイティブチェックや文体調整を通じて、ブランドの世界観を損なわずに伝えることができます。

ケース③ ECサイトで商品更新が多い場合

商品点数が多く更新頻度も高いECサイトでは、自動翻訳を基盤にしつつ、売上に直結するページのみプロが校正する方法が効率的です。大量の商品説明をすべて外注するとコストが膨大になるため、重要度に応じて翻訳精度を使い分けるのが現実的です。

ケース④ 小規模サイトや情報発信が限定的な場合

会社概要やサービス紹介のみの小規模サイトであれば、社内対応+部分的な外注で十分対応可能です。社内バイリンガルが一次翻訳を行い、重要部分だけ外部にチェックを依頼することで、コストを抑えつつ品質も確保できます。

このように、翻訳方法の選定は「何を優先するのか」によって最適解が変わります。スピード・品質・コストのバランスを見極めることが成功の鍵です。

翻訳プロジェクト成功の運用設計

用語集・スタイルガイド・翻訳メモリ

翻訳方法を決めた後に重要になるのが、運用の仕組み化です。特に有効なのが用語集・スタイルガイド・翻訳メモリの活用です。

  • 用語集:会社名、製品名、専門用語を統一。
  • スタイルガイド:トーンや文体を規定し、ブレを防ぐ。
  • 翻訳メモリ:過去の翻訳データを蓄積し、再利用することで効率化。

これらを組み合わせれば、社内外の翻訳者が誰であっても一貫性を保つことができます。

ワークフロー(翻訳→校閲→実装→QA→公開)

翻訳プロジェクトは「翻訳して終わり」ではなく、実装から公開までのワークフロー設計が不可欠です。

  1. 翻訳:内製・外注・ツールを使って原文を英語化
  2. 校閲:別の担当者がレビューし、誤訳や不自然さを修正
  3. 実装:CMSに反映し、デザイン崩れや文字化けを確認
  4. QA:動作確認、リンクチェック、SEOタグ確認
  5. 公開:スケジュール管理のもと公開

これらを明確に定義しておくことで、品質を保ちつつ効率的な公開が可能になります。

SEO・hreflang・URL設計と継続改善

最後に忘れてはならないのが、SEOと継続改善の仕組みです。

  • hreflangタグを正しく設定し、Googleに多言語ページを認識させる
  • URL構造を統一し、英語ページの評価が分散しないようにする
  • アクセス解析で英語ページの流入や直帰率を確認し、翻訳の改善につなげる

翻訳は一度作業して終わりではなく、継続的に改善していくプロセスです。用語集や翻訳メモリを更新し、運用サイクルを回すことで、時間が経つほど品質と効率が高まります。

まとめ

企業サイトを英語に翻訳する方法は、社内対応、外注、自動翻訳、SaaS型多言語化など多岐にわたります。それぞれに強みと弱みがあり、最適解は「翻訳の目的」と「運用リソース」によって変わります。速報性を求めるなら自動翻訳、ブランド再現性を重視するなら外注、大量更新にはハイブリッド型が有効です。

大切なのは、翻訳を単なる作業ではなく「企業戦略の一部」として設計することです。品質・スピード・コストのバランスを明確にし、運用フローを仕組み化すれば、グローバル展開の基盤として信頼できる英語サイトを構築できます。

もし自社で判断が難しい場合は、翻訳とWeb制作を一体で支援できるパートナーを活用するのも有効です。今すぐ最適な方法を検討し、英語サイトを企業成長の武器にしていきましょう。

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