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多言語サイト制作のポイント – 英語版サイトを作る前に知っておきたいこと

グローバル市場の拡大に伴い、多言語対応は企業サイトにおける必須条件となりつつあります。特に英語版の公開は、海外ユーザーとの接点拡大やブランド価値向上に大きく貢献します。しかし「とりあえず翻訳すれば良い」という安易なアプローチでは、むしろ信頼を損なうリスクも。文化背景や検索動向を無視した直訳、UIの不整合、SEO設定の欠如など、意外な落とし穴が多言語サイト制作には潜んでいます。本記事では、よくある失敗事例を交えながら、戦略設計・翻訳・デザイン・技術・SEO・運用までを網羅的に解説。多言語サイトを「単なる翻訳サイト」ではなく「成果を生むビジネス資産」へと昇華させるためのポイントを詳述します。

多言語サイトの必要性とビジネスインパクト

なぜ今、多言語対応が必要なのか?

デジタル化が加速するなか、企業サイトの役割は「情報提供」から「売上や信頼の獲得」へとシフトしています。そしてグローバル化が進む現在、日本語のみのウェブサイトでは取りこぼしてしまう機会があまりに多いのです。特に製造業や観光、越境ECなど、海外からの引き合いがある業種では、多言語対応が競合優位性を築くうえで必須となっています。

日本語しか対応していないサイトでは、潜在顧客が訪れても理解されずに離脱してしまうケースが後を絶ちません。Googleは言語別URLとhreflangなどの実装により、ユーザーの言語に合うページを適切に理解します。適切な構造化と伝達が検索パフォーマンスに寄与します。

国内外のニーズとマーケット機会

多言語対応のメリットは、単に海外市場への進出にとどまりません。近年では在日外国人や観光客、外国籍のビジネスマン向けに情報を発信する国内ニーズも高まっています。東京都の調査によると、都内に住む外国人は2024年時点で約70万人。その多くがスマートフォン経由で情報を得ており、英語や中国語でのサイト整備は、国内のビジネスでも効果的です。

また、ECサイトにおいては、越境EC市場が拡大を続けています。経済産業省の調査によれば、日本の消費者による米国・中国からの越境購入額は4,208億円(前年比約+6.4%)です。これを見ても、英語や中国語への対応が企業にとって「選択肢」ではなく「戦略」であることが明らかです。

ユーザー接点の拡大によるCV・ブランド効果

言語対応は単に「理解のため」だけでなく、ブランド価値向上やCV(コンバージョン)への直接的な影響をもたらします。ユーザーが母国語でサービス内容を把握できることで、安心感や信頼感が増し、購入や問い合わせにつながりやすくなります。

また、グローバルで通用するブランドづくりにも多言語サイトは寄与します。英語・中国語・韓国語など複数言語で情報を整備することで、「信頼できる企業」という印象を与え、採用や投資の観点でも有利に働くようになります。

戦略設計:ターゲット・KPI・市場分析

ペルソナ設計と国別ターゲット選定

多言語サイトを成功に導くには、まず「誰に向けて発信するのか」を明確に定義する必要があります。つまり、国・地域ごとのペルソナ設計が極めて重要です。英語といっても、アメリカ・イギリス・インド・シンガポールなどで使用される英語は微妙に異なり、文化背景もマーケティングの受け止め方もまったく違います。

たとえば、米国市場をターゲットにする場合、「成果主義」や「価格競争力」に関する訴求が効果的である一方、ドイツなどのヨーロッパ圏では「品質」や「歴史」といった文脈が強く響きます。つまり、翻訳する前にまず、「誰に対して、何を伝えるのか」を国別・言語別に設計することで、ローカライズの精度が大きく向上します。

このフェーズでは、以下のような情報が重要です:

  • 国別のユーザー層(BtoBかBtoCか、年齢・職業・デバイスの使用状況)
  • 現地の文化・商習慣
  • 想定される検索キーワード(例:英語圏では「Service」ではなく「Solution」など)

戦略を誤ると、せっかく翻訳しても全くコンバージョンにつながらないという結果になりかねません。

多言語化のKPIとは?(指名検索・CV率など)

多言語対応におけるKPI(重要業績評価指標)は、通常のWebマーケティングとは若干異なります。たとえば、「英語ページのPV数」だけでは不十分で、次のような指標を複合的に評価すべきです:

  • 各言語別のセッション数・平均滞在時間
  • 海外からの指名検索(例:ブランド名+location)の増加
  • 問い合わせ件数/CVR(言語別)
  • 国別の直帰率やコンバージョン到達率
  • 多言語ページ経由の目標完了率(e.g., カート投入率)

特に、英語圏で自社名が検索される回数の増加(=指名検索)は、ブランディングとマーケティングの成果指標として非常に有効です。

Google Analytics 4(GA4)では言語別・国別の流入状況をセグメントできます。あらかじめKPIを設定し、定期的に進捗確認をすることで、改善ポイントが見えてきます。

競合調査・検索ボリュームの活用法

戦略設計の段階では、「現地ユーザーはどんなキーワードで検索しているか」を把握することも不可欠です。これは英語だからといって、直訳でよいとは限りません。

たとえば「翻訳 サイト構築」を「translation site development」と直訳しても、英語圏のユーザーは「website localization」や「multilingual
CMS」といったキーワードで検索するのが一般的です。

ここでは、以下のようなツールが役立ちます:

  • Google Trends(地域・言語別の検索動向)
  • SEMrush/Ahrefs(競合の流入キーワード分析)
  • Ubersuggest(国別の検索ボリューム)

競合の英語ページを分析して、どのような構成・CTA・キーワードを使っているかを確認するのも効果的です。例えば「About Us」を「Who We Are」に変更するだけで、直帰率が改善したというケースもあります。

また、実際の検索ボリュームが少ない場合でも、BtoBビジネスにおいては指名検索や長期CVに貢献するキーワードの方が重要なことも多いため、単なる数値ではなく「質」の視点も併せて戦略に反映しましょう。

翻訳とローカライズの実践ポイント

直訳では通じない、文化的ニュアンスへの配慮

多言語対応における最大の落とし穴は、「翻訳=言葉の変換」と考えてしまうことです。言語は文化の写し鏡であり、直訳では本質が伝わらないケースが多々あります。

たとえば日本語の「安心・丁寧・まごころ」といった表現は、英語にそのまま訳しても意味がぼやけることがあります。米国市場では「fast・reliable・guaranteed」のような表現の方が信頼感を生みます傾向にありますし、フランス市場では「authenticité(本物らしさ)」が重視されることもあるなど、国によって価値観は大きく異なります。

文化的な配慮を怠ると、以下のような失敗が生じます:

  • 日本特有の言い回しが意味不明な英語になる
  • 礼儀的な表現が曖昧に訳されて冷たい印象を与える
  • ユーモアやキャッチコピーが通じない

したがって、単なる翻訳ではなく、「ローカライズ=文化的最適化」を意識することが不可欠です。

翻訳手法の選定(自動・人力・ハイブリッド)

翻訳の手法には大きく分けて次の3種類があります。

  1. 自動翻訳(機械翻訳)
      近年のAI翻訳(例:DeepL、Google翻訳)は高精度化が進んでいます。短納期・低コストで対応できる反面、微妙なニュアンスや業界用語の誤訳も少なくありません。
  2. 人力翻訳(プロ翻訳者)
      業界や商習慣を理解した専門翻訳者による翻訳は、ブランド表現や信頼性を担保できます。ただし、コストと納期が課題になることがあります。
  3. ハイブリッド型(機械+人のチェック)
      自動翻訳で初稿を作成し、ネイティブチェックで調整する方法。最近では多くの企業がこの形式を採用しており、コストと品質のバランスに優れています。

翻訳対象のコンテンツ量や種類(商品説明・ブログ・利用規約など)に応じて、最適な手法を組み合わせることが重要です。

特にBtoBビジネスにおいては、「翻訳されたWebサイトの品質=企業の信頼感」と捉えられるため、重要なページだけは必ず人の目によるチェックを通すべきです。

ローカライズでよくある失敗と回避策

多言語サイトの制作現場では、翻訳・ローカライズに起因する失敗が頻発しています。主な失敗例とその対処法は以下の通りです:

  • 失敗例1:用語の統一がされていない
     → 解決策:用語集(グロッサリー)とスタイルガイドを事前に策定する。たとえば「お客様」「クライアント」「カスタマー」などの呼称は統一すべき。
  • 失敗例2:HTMLの中に翻訳し忘れが残る
     → 解決策:CMSや構造的に分離された翻訳管理を行う。WordPressならWPMLやPolylangの使用が有効。
  • 失敗例3:画像内テキストやPDFが未対応
     → 解決策:画像のaltタグも翻訳し、PDF資料は多言語化済のものを用意する。また、可能であれば画像内文字はHTML+CSSで再構成する。
  • 失敗例4:コンバージョン導線が翻訳されていない
     → 解決策:フォーム・CTA・チャットボットも含めて言語別に整備する。英語圏では「Contact us」の位置やトーンも重要。

つまり、翻訳だけでなくWeb全体のユーザー体験(UX)を言語ごとに最適化することが成功のカギです。

デザイン/レイアウト調整とUX最適化

文字量・文法差によるレイアウト崩れの実例

多言語化によって最も見落とされがちなのが「レイアウト崩れ」です。特に英語・ドイツ語・フランス語などは日本語より文字数が多くなる傾向があり、翻訳しただけでボタンから文字がはみ出す、見出しが2行になる、カードの高さがズレるといった問題が頻発します。

たとえば日本語で「製品情報(4文字)」と表示されていたメニューが、英語では「Product
Information(18文字)」となり、スマホ画面では改行されて表示が崩れることがあります。また、フランス語やドイツ語では一語が非常に長くなるため、ボタンやナビゲーションの横幅設計が破綻する事例も少なくありません。

このような事態を防ぐには、翻訳前提のUI設計(Internationalization)を行う必要があります。FigmaやXDなどのデザインツール上で、文字数差を考慮したモックアップを事前に検証し、柔軟なレイアウトを導入することが重要です。具体的には以下のような対応が有効です:

  • ボタンやナビゲーションに可変幅のpaddingを使う
  • 行間や余白をあらかじめ多めに設計しておく
  • 見出しやキャッチコピーの「文字量上限」をデザイナーと共有

言語切替ナビの設計と配置パターン

多言語対応の成否は、言語切替ナビゲーションの設計にも大きく左右されます。ユーザーが言語を切り替える操作にストレスを感じると、ページからの離脱率が上昇します。

主なパターンは以下の3つ:

  1. グローバルナビに常時表示(推奨)
      例:「JP|EN」や国旗アイコン+言語名(英語で表示)
     メリット:常に視認でき、ユーザーが迷わない
     注意点:国旗は地域と紐づくため誤解を招くことがある(例:中国語に対して中国国旗では台湾ユーザーに配慮が必要)
  2. ドロップダウン式(スマホ向き)
      例:地球アイコンをクリックで多言語リストが表示される形式
     メリット:スペース効率が良い
     デメリット:UI的に隠れているため気づかれにくい
  3. フッター配置(補助的に)
      メリット:常時ではなくスクロール後に切替を許容
     デメリット:見つけにくい/CV直前に言語が切り替わるとUXが悪化

また、言語選択時に自動的にトップページへ戻すのではなく、現在閲覧中のページの対応言語へ遷移させることがUX上極めて重要です。これはCMSやスクリプトで制御可能です。

言語別ABテストでUXを検証する手法

英語や中国語版をリリースした後、「どの表現や構成が現地ユーザーに響くか」は実際にテストしないと分かりません。そこで活用したいのが言語別ABテストです。

ABテストのポイント:

  • CTA文言の違い(例:「Get started」vs「Request a quote」)
  • ボタン配置の最適化(上部vs下部、右寄せvs中央)
  • ヒーローバナー内のキャッチコピー検証

GA4やVWO、Optimizelyなどのツールを使えば、多言語ごとにページバージョンを出し分け、CVRやクリック率を計測できます。

技術実装:URL設計・CMS・言語切替

URL構造(サブドメイン・ディレクトリ・ccTLD)

多言語サイトの技術的な設計において、まず検討すべきはURL構造の方針です。これはSEOとユーザー認識の両面で極めて重要な要素です。代表的なパターンは以下の3つです:

  1. サブディレクトリ型(例:/en/, /fr/)
      – URL: example.com/en/
      – メリット:管理が容易、ドメインオーソリティの共有が可能
     – デメリット:国別ではなく言語別対応に向く、現地検索エンジンでの評価が若干弱い
  2. サブドメイン型(例:en.example.com)
      – メリット:サーバーやCMSごとに構成を分けられる、言語別UI変更が柔軟
     – デメリット:ドメインオーソリティが分散、Search Console登録が言語ごとに必要
  3. ccTLD型(例:example.fr、example.cn)
      – メリット:ccTLDは強い地理的シグナルとして機能します。ただし、体制・コストや運用性を踏まえ、サブディレクトリでも十分な成果を得られるケースがあります。

基本的には、スモールスタートを切るならサブディレクトリ型、現地法人があるならccTLD型が推奨されます。また、技術選定と並行して、Google Search Consoleで言語・地域ごとのプロパティ登録をしておくことも忘れてはなりません。

CMSの多言語対応機能(WordPress/Drupal/Wixなど)

現在の主流CMSは、多言語対応において多機能な拡張が可能です。とくに以下のようなCMSは多言語化に強く、要件に応じて選定可能です。

  • WordPress
      → プラグイン(WPML、Polylang、TranslatePress)により多言語化可能。UI切替やSEO設定も柔軟に対応できるが、構築者のスキルが求められる。
  • Drupal
      → 多言語対応がコア機能に組み込まれており、翻訳インターフェースが充実。大規模構築に適する。
  • Wix/Squarespace
      → GUIベースで言語追加可能だが、細かなSEO設定やURL構造の自由度に限界があるため、エントリーレベルの用途向き。

CMSを選定する際は、翻訳ワークフローや管理者権限、言語ごとのデザイン分岐がどこまで可能かを事前に確認しておくべきです。

スクリプトによる言語切替実装と注意点

技術的な言語切替には、CMSによる「自動切替機能」や「ユーザー選択UI」が使われますが、場合によってはJavaScriptで制御する場面も出てきます。

ただしこの手法には以下のリスクがあります:

  • SEO評価を受けづらくなる(GoogleはJavaScriptによる動的遷移に厳しい)
  • ユーザーの意図と異なる言語へ飛ばされることによる離脱
  • クローラーが正常に巡回できない場合がある

そのため、JavaScriptでの言語判別は「初回アクセス時の提案」程度に留め、サーバー側やCMSでの切替制御が理想です。また、ブラウザ言語をもとにした自動切替はCookieで記憶させ、再訪問時に不要なリダイレクトを防ぐ工夫も必要です。

国際SEO完全ガイド(hreflang 等)

国別/言語別SEOの考え方

多言語サイトにおいてSEOの最重要テーマは、「Googleや現地の検索エンジンに正しく認識されること」です。これは単なる翻訳済みページを設けるだけでは不十分で、「どの国・どの言語向けのページか」を検索エンジンに明示する必要があります。

たとえば、/en/と/fr/のページがある場合、それぞれが「英語圏」「フランス語圏」向けだとGoogleに認識されなければ、検索順位が上がらず、重複コンテンツと見なされるリスクもあります。

ここで活躍するのがhreflang属性です。これはHTMLヘッダーやXMLサイトマップに指定することで、「このURLはこの言語・地域向けです」と検索エンジンに伝える役割を果たします。

加えて、国によって使用される検索エンジンも異なります。たとえばロシアではYandex、中国ではBaiduがシェアを持っており、それぞれに適した対策(ページ速度・SSL・構造化データなど)も意識すべきです。

hreflangタグの正しい記述例

hreflangの記述にはルールがあります。基本構文は以下の通り:

  • <link rel="alternate" hreflang="en" href="https://example.com/en/" />
  • <link rel="alternate" hreflang="fr" href="https://example.com/fr/" />
  • <link rel="alternate" hreflang="ja" href="https://example.com/" />
  • <link rel="alternate" hreflang="x-default" href="https://example.com/" />

ここでのポイントは:

  • hreflang="en":言語のみ指定(英語)
  • hreflang="en-us":言語+地域(アメリカ英語)
  • x-default:言語未指定時のデフォルトページ(推奨)

hreflangは相互リンクである必要があるため、すべての言語ページに他言語ページのhreflangを記述する必要があります。片方だけだとGoogleに無視される可能性が高まります。

記述場所は:

  • HTMLの<head>内に記述
  • または、XMLサイトマップに含める(大規模サイトに向く)

WordPressを使っている場合、WPML/Polylang等の多言語プラグインと連携してhreflangを実装するのが一般的です。設定漏れが多発する部分なので、チェックリスト化しておくとよいでしょう。

運用フェーズ:更新・品質管理フロー

更新時の翻訳管理体制の構築方法

多言語サイトは公開したら終わりではありません。むしろ、リリース後の運用フェーズで「品質をいかに保ち続けられるか」が問われます。特に翻訳済みページの更新漏れは、ユーザーの信頼を損なう要因となります。

たとえば、キャンペーン情報を日本語で更新したにもかかわらず、英語版は旧情報のまま放置されていたとします。これがBtoBの製品情報やプライシングに関わる部分であれば、商談機会の損失やブランド毀損に直結するリスクがあります。

更新体制のポイントは次の通りです:

  • 日本語側で更新が発生したら即時「翻訳依頼リスト」を作成
  • 翻訳担当者・チェック担当者の役割を明確化
  • 翻訳内容とともに、該当ページのレイアウトやUIチェックも同時に実施
  • CMS上で「言語ごとの更新ステータス管理」が可能な仕組みを導入(例:WordPress+WPML)

更新頻度が高いページ(ニュース・ブログ・商品一覧など)は、自動通知+定型ワークフロー化によって管理ミスを防ぎます。

品質維持のチェックフローとツール

翻訳の質を保ち続けるには、チェック体制の継続運用が欠かせません。これは人手による校正に加えて、ツールを活用した品質管理が有効です。

推奨されるチェック手順:

  1. 翻訳初稿の納品
  2. ネイティブチェック:文法・語調・文化的違和感の確認
  3. 社内レビュー:事業用語の整合性・意図のズレがないか確認
  4. 公開前プレビュー:画面表示とUI崩れの最終確認
  5. ツールによる自動検出:スペルミス・リンク切れ・未翻訳箇所などを検知

使用ツール例:

  • Grammarly/Quillbot:英文チェック
  • Xbench/Verifika:翻訳QAツール
  • Screaming Frog/Ahrefs:多言語ページのSEO状態をクロール

翻訳ガイドラインや語彙統一ルール(Style Guide、Terminology Glossary)も定期的に更新し、ナレッジとして蓄積することが重要です。

運用フェーズで起こりやすいトラブルと解決策

多言語サイトの運用中によく起こるトラブルと、それに対する解決策をまとめます。

  • トラブル1:言語別のリンク切れ
      – 解決策:リンク先のURLも言語別に適切に更新し、週次でクロールチェックを実施
  • トラブル2:翻訳済みなのに公開されていない
      – 解決策:CMSの公開ステータス管理を多言語ごとに設定。レビュー者の承認ワークフロー導入
  • トラブル3:Google検索に新言語ページがインデックスされない
      – 解決策:Search Consoleでインデックスリクエストを手動送信し、sitemap.xmlに多言語ページを反映
  • トラブル4:更新時に旧翻訳と矛盾が出る
      – 解決策:日本語の更新内容の意図と文脈を翻訳者と共有する「コンテキストメモ」を運用

運用こそが多言語サイトの本質的な価値を左右します。特に「誤訳」「リンク切れ」「表示崩れ」などは、現地のユーザーからは“信用できない企業”という印象につながるため、ミスをゼロに近づけるプロセス設計がカギとなります。

失敗事例に学ぶ改善策

失敗事例に共通する3つの落とし穴

十分な設計なしに多言語対応を進めた企業の中には、期待した効果が得られなかったケースも多く見受けられます。失敗事例に共通するポイントは次の3点です。

  1. 文化的背景への理解不足
      例:日本語での「安心・信頼」をそのまま英訳しても響かず、訴求力を失う
  2. 翻訳の質が担保されていない
      例:自動翻訳だけで構成し、文法ミスや違和感のある表現でユーザーの信頼を損なう
  3. 運用体制が整備されていない
      例:日本語ページ更新後に英語版が放置され、情報の不整合が発生

これらの失敗はすべて、「計画・翻訳・運用」のどこかに穴があるケースがほとんどです。事前に体制を整え、運用設計まで含めた「本気の多言語化」が必要です。

段階的改善で成果を出すロードマップ

多言語対応は一度に完璧を目指す必要はありません。むしろ、段階的な改善(フェーズ展開)が現実的で効果的です。

Step 1:最重要ページのみを翻訳(トップ・サービス・お問い合わせ)

→ 早期にCV導線を構築し、効果測定

Step 2:SEO効果の高いページを追加翻訳(ブログ・事例・FAQ)

→ 流入拡大とロングテール強化を狙う

Step 3:運用体制の確立・翻訳ガイドラインの整備

→ 継続的に質を担保し、PDCAを回す

Step 4:現地特化のサブサイト・LP制作や広告連携

→ 現地SEOと広告運用を組み合わせてCVを最大化

このように、“まずやってみる”ことが成功への第一歩です。多言語対応は、準備・改善・運用の継続がカギを握ります。

まとめ

多言語サイト制作は、単なる翻訳作業ではなく、戦略設計から翻訳品質、デザイン適応、SEO最適化、運用体制に至るまで、総合的な取り組みが求められます。「英語版を作れば海外対応になる」という考えでは、期待する成果を得ることは難しく、逆に信頼を損ねるリスクもあります。

本記事で紹介した要点を踏まえ、段階的かつ実践的に多言語対応を進めることで、自社サイトを「成果につながるグローバル資産」へと育てていくことが可能です。

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