コラム
プロデュース部 プロデューサー N
採用サイトだけじゃない!新たな手法で厳しい採用状況に立ち向かう、企業の取り組み事例
近年の採用市場の動向や、採用活動のスケジュールの見通しを調査してみた前編コラムを受け、本コラムはその続編として、超売り手市場で、多様化も進む厳しい採用市場において、これに立ち向かう、企業の取り組み事例を紹介します。
近年特に広がっている、マッチング率や定着率の高いリファラル採用や、難易度の高い採用ターゲットをスカウトするダイレクトリクルーティング、そして、就職・転職活動中の顕在層だけではなく、将来的な潜在層の応募意欲を高めることを狙った「採用オウンドメディア」の取り組み例など、これまで、ナビサイトや採用サイトが主軸だった手法を変えた取り組みを中心に取り上げてみたいと思います。
【前編コラムはこちら】
自社にマッチした人材を採用したい!変化する新卒採用と学生の意識を確認。採用サイトを充実させて、採用活動を成功させる。
目次
リファラル採用、ダイレクトリクルーティングが広がっている
まず、近年、新たな採用手法として取り上げられる代表格は、「リファラル採用」「ダイレクトリクルーティング」が挙げられるかと思います。
リファラル採用は、「企業をよく理解した従業員による紹介」による採用手法です。紹介者が事前に企業の説明を行うため、マッチング率・定着率が高くなるなどのメリットがあります。
一方、ダイレクトリクルーティングは、企業が自ら求める人材を探し出して、直接アプローチを行うという採用手法です。優秀層や理系学生など、採用難易度の高いターゲットを獲得する戦略として特に用いられます。
ただ、これらの採用手法を用いても、企業としての魅力を正しく、幅広く伝えていかなければ、入社意欲の向上にはつながりません。そこでさらに注目を集めるのが、採用オウンドメディアの活用です。
採用オウンドメディアとは
オウンドメディアは、本来は自社で保有するメディアの総称ですが、実際には、ブログやコラムのような「読み物としてのメディア」を意味する場合が多いようです。
ここでは、さらに採用を目的としたオウンドメディア(以降、採用オウンドメディアと記す)に着目します。
採用オウンドメディアの特徴としては、「就職・転職活動中の顕在層だけではなく、将来的な潜在層へ情報を届ける役割が強いこと」が挙げられます。つまり、継続的に情報発信し、自社のファンをつくることで、潜在層の応募意欲を高められるということ。この点は、顕在層のエントリーや直接応募につながる可能性の高い採用サイトと異なります。
また、届ける内容をターゲットに合わせられる、さらには、社風やカルチャー、世の中に浸透できていない新たな一面を、カジュアルに知ってもらうことも可能という特徴もあります。例えば、リファラル採用の場で、具体的な社内の環境や風土を取り上げた記事を使いながら、紹介者が自身の経験も含めて企業や仕事を紹介する―そんな風に活用すれば、求職者の理解度や入社意欲は格段に向上するでしょう。また、理系学生出身者が執筆した記事コンテンツを、理系学生への直接スカウトに活用すれば、ダイレクトリクルーティングのアプローチの質は大きく向上するはずです。
直接採用オウンドメディアに訪れて情報を得るだけでも企業理解には十分有効ですが、関連性の高いコンテンツを、その企業をよく知る人から直接受け取れることで、理想と現実のギャップが起きにくくなり、記事コンテンツ一つひとつの価値や活用方法も広がると考えます。
他社はすでにやっている!採用オウンドメディアの取り組み事例
社風や働き方、仕事内容など、さまざまなコンテンツを発信できるのが採用オウンドメディアの特徴です。届けたい、特徴あるコンテンツを展開する各社の取り組み事例を紹介します。
社員や人の魅力が感じ取れる採用オウンドメディア
サイト名:dip people
企業名:ディップ株式会社
https://dippeople.dip-net.jp/
社員が自身の働き方や仕事への想い、同社の魅力について語る採用オウンドメディアです。
「新卒/中途で探す」「部門別で探す」「職種別で探す」「待遇・働き方で探す」「特集別で探す」といった記事のカテゴリで分け、自分自身が描く働き方を体現している社員(記事)とのマッチングができる仕組みとなっています。
サイト名:フルスイング
企業名:株式会社ディー・エヌ・エー
https://fullswing.dena.com/
「DeNAの「人」と「働き方」の”今”を届ける。」採用オウンドメディアです。
上記キャッチコピーが示す通り、最新の「人の活躍」や「プロジェクトを通じての働き方」を紹介。
当事者だから語れる裏話やそれらのタスクを超えた先に得た経験など、具体的かつ同社の「らしさ」も合わさった内容で圧巻の読み応えです。
採用活動という枠を超え、「働き方・生き方」というレイヤーで情報発信する採用オウンドメディア
サイト名:サイボウズ式
企業名:株式会社サイボウズ
https://cybozushiki.cybozu.co.jp/
仕事の内容や進め方といった情報ではなく、働く人のライフスタイルそのものをテーマとした内容が秀逸。「働き方・生き方」「家族と仕事」といった印象的なカテゴリに代表されるように、同社が人材について、より深く、より重く受け止めていることも想像できるメディアと言えます。
その他の採用手法について
talentbookの活用事例
「将来の潜在層に向けて、時間がかかるのは理解しているが、結局、すでに当社に興味のある方しか訪問してこない……」採用オウンドメディアを立ち上げ、実際に運用している企業から、こんなお悩みを耳にすることがあります。
志望意欲の高い顕在層は「社名 採用」などといった検索ワードで、採用オウンドメディアを見つけることができるのに対し、まだ会社に興味がない潜在層は、当然そのような検索や情報収集の仕方をしないため、なかなか採用オウンドメディアを見てもらうのが難しいわけです。
そんな課題に対する打開策の一つとして注目されるのが「talentbook」です。
talentbookはNewsPicksやBusiness Insider Japanといった30以上のメディアと提携しており、talentbookに掲載した記事がさまざまな媒体に転載されることで、潜在層の候補者への偶然の出会いを創出することができます。
【代表的な取り組み事例】
トヨタがtalentbookと始めた「社員主体の採用ブランディング」の効果とは

(引用:https://www.businessinsider.jp/post-248040)
note の活用事例
「そもそもどういう記事を書けばいいのか分からない」。これも、よく耳にするお悩みです。この課題に対する取り組み例としては、noteの活用が挙げられます。noteはメディアプラットフォームを運営する会社が立ち上げたサービスですが、同社には社員自ら情報発信する文化があります。
そのため、「コンテンツをつくるだけでなく、伝えるところまでやりきる」といった姿勢があり、契約した企業に向けて運用のコツをカウンセリングと共にレクチャーするなど、中長期的な運用を視野に共に取り組むといった姿勢が強く感じさせられます。
また、「カルチャー」を浸透させるうえでの工夫や、そのためのコンテンツの使い方も秀逸。マッチング率を高めるための使い方はもちろん、その他、母集団形成や選考中の求職者へのアプローチに向けた活用方法、内定承諾後の求職者に向けた活用など、それぞれのフェーズごとにテーマの設定や使い方にもこまかな配慮が見て取れます。
もちろん、一つの活用事例ですが、他メディアとの融合により、多角的な課題へアプローチすることが可能だと考えます。
【代表的な取り組み事例】
note法人利用が10,000件突破!採用広報やブランディング、プロモーションなど法人サクセスが続々と誕生
(引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000093.000017890.html)
上記記事中に掲載されている noteの活用事例_NECネッツエスアイ社
(引用:https://note.nesic.co.jp/)
絶対的な成功手法はない。重要なのは、アップデートと組み合わせ。
これまで見てきた取り組み事例は、いずれも熾烈な人材獲得競争を勝ち抜くためには、ナビサイトや採用サイトを主軸とした採用手法のみでは難しいと認識し、それらを打開するための動きであるといえます。
少子化が要因となる人材不足は、今後も中長期的に続いていくことでしょう。こうした変わらない採用課題がある一方、社会的なニーズや環境の変化に応じて、新たに生じる課題も増えていくと想像されます。
そのため、従来は上手くいっていた採用手法でも、環境の変化によってアップデートが必要でしょう。
例えば、従来は一つの採用サイトの中で、複数の職種の働き方や募集情報を掲載する網羅性の高い、総合的な情報の持ち方が主流といえますが、昨今はダイレクトリクルーティングに代表されるように、ピンポイントで自社の条件に合ったターゲット人材にアプローチしたいといったニーズを受け、専門性の高い、ターゲット人材に関連する情報に特化した採用サイトも多くなってきています。
【特化型採用サイト事例】
エンジニア向け採用サイト
企業名:エン・ジャパン株式会社
https://corp.en-japan.com/company/recruit_midcareer/engineer/
マーケティング職採用サイト
企業名:レバレジーズ株式会社
https://recruit.leverages.jp/recruit/marketer/
その一方、採用手法も次々と新しいものが登場していますが、あらゆる課題をいっぺんに解決する万能薬というものはありません。
例えば、採用オウンドメディアは先述の通り、将来に向けての潜在的なファン層の獲得、認知度の向上といったことが大きな目的となるため、気軽に参加できて、ストレスを感じさせない、カジュアルな情報訴求には最適です。しかし、「この会社で間違いない」と背中を押し、エントリー(申し込み)させるのは難しいと考えます。
この点では、志望意欲の高い顕在層が訪問者の中心であり、オフィシャルな情報とエントリー機能が充実した採用サイトが、引き続き求められるでしょう。
大切なのは、「アップデートと組み合わせ」と、私たちは考えます。
世の中や採用市場の動きを常に把握することはもちろんですが、それによって、(たとえこれまで成功していても)従来の採用手法を絶えず見直し、アップデートすること。そして、新しい手法に闇雲に飛びつくのでなく、特性を見極め、従来の手法との最適な組み合わせを考えていくこと。これが、変わり続ける採用で効果をあげる唯一の解決策だと考えます。
ちなみに、弊社は設立以来、常に情報をキャッチし、さまざまな採用課題を解決してきました。その結果得た、多くの知識や経験を活かし、従来の手法を刷新、新しい手法との効果的な組み合わせもご提案できます。
自社の課題に対して、最適なアプローチ方法は何か。ぜひ弊社と共に、見直してみませんか。
採用サイト制作
採用活動で必須となる採用サイト制作をHR領域に精通した制作スタッフ(ライター・デザイナー含む)が本質的な採用成功を実現する為にトータルでご支援します。
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