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Webサイト制作における要件定義の方法と制作会社へ依頼する際のポイント

Webサイトを新規で制作するもしくはリニューアルする場合、漠然と制作するだけではその目標達成につながりません。効果につながるWebサイトを制作するために欠かせない工程が、「Webサイトに何をどのように掲載するか」「そのために開発すべきシステムは何か」などを決める要件定義です。

本記事ではWebサイト制作における要件定義の方法・手順や要件定義書に記載すべき内容について紹介します。また、要件定義の段階からWebサイト制作会社に依頼する際の主なポイントと流れについて解説します。

1.Webサイト制作における要件定義の基礎知識

ここでは、「Webサイトの制作やリニューアルにおける要件定義とは何か」「なぜWebサイト制作に要件定義が必要なのか」について解説します。

1-1.Webサイト制作における要件定義とは

Webサイトの制作やリニューアルにおける要件定義とは、プロジェクトの概要やWebサイトにどのような内容を盛り込む必要があるか、そのためにはどのようなシステム開発が必要かといった要件(必要な条件)をまとめることです。

広い意味の要件定義とは、発注企業の要望を受注企業が明確化・言語化し、リソースを考慮しながらどのような方法で実現していくかといった要件を細かく整理する工程を指します。一般的に受注企業が発注企業からヒアリングをしながら要検定義を行いますが、場合によっては発注企業が自ら要件定義を行うこともあります。

1-2.Webサイトの制作に要件定義が必要な理由

要件定義はWebサイト制作関係者の認識を統一する手段として必要です。自社とWebサイト制作会社との間に起こりがちな認識のズレ、および、自社内・Webサイト制作会社内で起こりかねない認識のズレを最小限にすることこそ、要件定義が担う最大の目的といえます。要件定義をしっかりと行って関係者全ての認識のズレを最小限にしなければ、各部署間の連携が取れず作業効率が下がるばかりか、結果的に自社がイメージし要望していたWebサイトにならないのです。

要件定義のために

2.Webサイト制作時に要件定義を行う手順

Webサイトを制作・リニューアルする際の要件定義で、検討すべき項目は多岐に渡るため、適切な手順を踏み、漏れなく行わなければなりません。ここでは、要件定義を行う手順と各手順で行う内容について解説します。

2-1.ヒアリング・課題整理

Webサイト制作における主な課題には、運用体制といった内部マターと、市場や競合他社の状況と言った外部マターがあります。

Web制作時の要件定義では、まず、現状のWebサイトの課題を把握する必要があります。そのために必要な作業は、社内の役職者や各関係部門、さらには可能であればエンドユーザーへのヒアリング、Webサイトのデータ分析・ログ分析、競合他社の状況との比較などです。そこから課題となる点を拾い出します。

次に行う作業は課題点のリスト化・カテゴリ分けです。カテゴリにはWebサイト制作に使用する「プラットフォーム」、管理・運用体制に関わる「ガバナンス」の他、掲載する「コンテンツ」やユーザビリティや印象を決める「UI/UX・デザイン」などがあります。

それから、WebサイトのKGI・KPIやターゲットの属性・傾向などにもとづき、各カテゴリ内の課題に優先順位を付けます

2-2.仮説立案

仮説立案は課題整理の仕上げであり、この段階で関係者間の意見交換や方向性を明確化するワークショップを行う場合もあります。

仮説立案では、Webサイトを訪れるユーザーのペルソナとWebサイトでの導線を想定し、コンバージョン(Webサイトの目的)達成につなげるシナリオを検討する作業が必要です。

ユーザー導線の想定をもとに、Webサイトをリニューアル・制作する際の方向性や、実施すべき内容の仮説を立てます。例としては「リードを獲得できるコンテンツや顧客接点の設置」「お問い合わせ・申し込み・購入・メンバー登録などへの導線を改善」「UI/UX改善」「内部SEO」などです。

次に、各施策における予算やスケジュール、利用プラットフォームや各種ツールの選定、各コンテンツのボリューム、スケジュールに余裕がない場合に段階的な公開運用も可能か、などの条件を検討します。予算やスケジュールの都合で全ての施策を実施するのが難しい場合は、それぞれの重要度や緊急度、難易度などにもとづき優先順位を決めましょう。

2-3.関係者間での合意形成

仮説立案ができたら、Webサイト制作関係者間ですり合わせを行い、合意を形成する必要があります。具体的には、Webサイトのコンセプトや方向性、内部SEOなど集客につなげる戦略、お問い合わせへの導線改善など具体的なUI/UX施策、インフラ環境やシステム機能要件などをWeb制作会社と相談しながら決定した後、社内の各部署・上長の承認を獲得する流れが一般的です。Webサイト制作に着手する前に制作に関わる全員の合意を形成する必要があります。

2-4.要件定義書の作成

Webサイト制作の要件定義の大枠をまとめたら、具体的な内容をWebサイト制作会社と相談しながら細かく決めていき、その内容で要件定義書を作成します。要件定義書はRDD(Requirement Definition Document)とも呼ばれ、自社で作成する場合と、Webサイト制作会社に作成を依頼する場合があります。

要件定義書の書式は一般的にWordやPowerPoint、Excelなどさまざまです。いずれにしても、以下の項目は網羅するようにしましょう。プロジェクト始動後の設計や制作工程で迷いが生じた場合に指針として見直せる内容にすることが重要です。

  • Webサイト制作・リニューアルの背景と目的
  • Webサイト制作・リニューアルプロジェクトの目的
  • Webサイトの目標・評価達成指標
  • Webサイトのターゲット・コンセプト
  • 目標達成に向けた施策や条件、各施策設計の方針
  • Webサイトをリリースする予定日
  • Webサイト制作スケジュール

3.Webサイト制作において要件定義書に記載すべき内容

Webサイト制作の要件定義書に記載すべき内容については上記でも簡単に触れましたが、主に「基本要件」「システム要件」「機能要件」の3つに分類できます。各要件について以下で解説します。

3-1.基本要件

基本要件にはWebサイト制作プロジェクトの概要を記載します。つまり、Webサイトを制作・リニューアルする目的や公開後の運用方法、プロジェクト体制とプロジェクト進行方法、制作から公開までのスケジュール、Webサイトに掲載するコンテンツマップ、ブラウザサポートなどを記載してください。

3-2.システム要件

システム要件では、WebサイトのURLやWebサイトにどのサーバーを使用するか、CMSやプログラム開発言語は何を使用するか、SSLの種類など、Webサイトのシステムに関連する要件を記載します。他には、Gitを使用するかどうかと設置場所、フロントエンドフレームワークを利用するかどうか、導入するテンプレートやプラグインは何か、データベースやライセンス、Googleアナリティクス・GoogleサーチコンソールのIDなども明確に記載しておきましょう。

3-3.機能要件

機能要件とは、UI/UX改善策にもとづき、Webサイト全体や各ページにどのような機能や画面デザインを持たせるか、その条件を指します。たとえば、ページのコンテンツをSNSにシェアする機能がある場合、シェアボタンやOGP機能(SNS上にページタイトルや本文・画像などのコンテンツを表示させる機能)の搭載、掲示板など投稿コンテンツがある場合は投稿ボタンが必要です。また、ページの表示速度やモバイル端末やOS・ブラウザへの対応、機能一覧や機能詳細についても機能要件に記載しておく必要があります。

3-4.タスク

Webサイト制作の工程で実施すべきタスクとスケジュールも要件定義書に記載しなければなりません。コンテンツ制作ではライター、編集者、デザイナーなど、システム開発にはエンジニアなどが担うタスクがそれぞれ存在し、それらを統括するWebディレクターのタスクもあります。プロジェクト進行が順調か、それとも遅れが生じているのかを把握するために、タスクとスケジュールの詳細を要件定義書に記載しておきましょう。

要件定義を外部委託

4.Webサイト制作時に要件定義段階から制作会社に依頼するメリット

上記では要件定義書を作成する流れや要件定義書に記載すべき内容について解説しました。要件定義には多くの手順や作業があり、そう容易なものではないことがお分かりでしょう。

しかし、要件定義は必ずしも自社内で全て作成しなければならないというものではありません。Webサイトの制作やリニューアルの場合は、Web制作会社に要件定義段階から依頼する方法が一般的です。

自社の貴重なリソースを割いて社内だけで要件定義を行うよりも、プロ集団であるWeb制作会社のヒアリングや提案を受けて相談しながら、細かい部分まで明確化・文章化していくことが望ましい方法といえます。

Web制作会社に要件定義から依頼してしまえば、その豊富な経験にもとづき、発注サイドには気が付きにくい解決策の提案や、漠然とした要望の明確化・言語化をしてもらえるのです。その点がWeb制作会社に要件定義段階から依頼するメリットといえます。

ただし、Web制作会社に要件定義から依頼する際に、自社で用意すべき準備もあるため、次でくわしくみていきましょう。

5.Web制作会社に要件定義から依頼する際のフロー

Web制作会社にWebサイト制作・リニューアルプロジェクトの初期から依頼すれば、要件定義をリードしてもらうことも可能です。ここではWeb制作会社にWebサイト制作・リニューアルを依頼する際のフロー、および、自社内で用意すべき提案依頼書の作り方について解説します。

5-1.Webサイト制作会社の選定

最初に、Webサイト制作会社を選ぶ必要があります。選定基準は「発注サイドの漠然とした課題や目標を汲み取り、実績や専門能力をもとに、悩み・要望を解決する施策をしっかりと行う会社か」です。

具体的には、まず、豊富な制作実績があることが欠かせません。次に、それにもとづいてWebプロデューサーやWebディレクターが、発注サイドの言語化できていない課題を明確化できるまで徹底的にヒアリングやディスカッションを重ね、成果に導いてくれるWeb制作会社を選ぶことが重要です。

かつ、WebデザイナーやUI/UXデザイナー、エンジニア、コピーライター・編集者など、Web制作における各部門のエキスパートが揃うWeb制作会社に依頼すればワンストップで制作でき、時間的・金銭的なコストパフォーマンスも高いでしょう。

5-2.提案依頼書の作成

Web制作会社に要件定義から依頼する場合、まずは発注サイドから提案依頼書を提出します。提案依頼書(RFP:Request for Proposal)とは、要件定義の前提となる資料です。

提案依頼書には以下の内容をまとめて記載します。

  • プロジェクトの概要:予算、スケジュール、追加・削除するページの量、サイトマップ(サイト構成図)
  • 対応デバイス、OS、ブラウザ
  • サーバー規格・ドメイン案
  • コンテンツ作成方針
  • アクセス解析結果の情報(Google Analytics/Google Search Consoleのアカウントなど)
  • 現状のページ一覧
  • 現状の各種設計書/インフラ構成/ネットワーク転送量
  • 現状のサーバー内ファイル一式・データベース

5-3.要件定義の実施

上記の提案依頼書にもとづき、Webサイト制作会社とプロジェクトの大枠をすり合わせた後、要件定義に着手します。発注サイドとWeb制作会社の双方で具体的な要件について詰めながら、要件定義書、戦略書、各種設計書などの成果物を作成していきます。

また、制作・動作テスト、リリース後の運用体制など、その後の工程に関するスケジュールや計画書についても相談し、具体的に決めていかなければなりません。

後から「期待していた内容と違うWebサイトになってしまった」「細かい点が伝わっておらず、修正が必要になった」といったトラブルを招かないように、要件定義はWeb制作会社とこまめに打ち合わせをしながら進めていきましょう。

6.まとめ

Webサイト制作やリニューアルに際し、課題を明確化して何をするべきかを細かく決める要件定義が欠かせません。要件定義には上司や関係部署へのヒアリングや市場・競合調査による課題の切り出しからWebサイトの基本要件・システム要件・機能要件、制作におけるタスクとスケジュール計画など、多岐に渡る工程が存在します。Web制作の経験が豊富なWeb制作会社に要件定義の初期段階からサポートを依頼すれば、パフォーマンスの高いWebサイトを効率的に制作・リニューアルできる可能性が上がります。その際は、過去の制作実績やサポート方法などをもとに制作会社を選定したうえで、双方にて密接な意思疎通を行うことがポイントです。

コーポレートサイト制作

ターゲットユーザーすべてを見据え、競合他社を圧倒する企業・サービスのブランディング確立を目的としたコーポレートサイトを制作します。

サービスサイト制作

Webマーケティングの視点で製品・サービスの訴求ポイントを抽出した上で可視化し、ブランド価値向上やCVにつなげる戦略的なサービスサイトを制作します。

調査/分析

Webサイトの戦略を策定するために、ユーザビリティ・アクセシビリティの観点から、アクセスログ解析やヒューリスティック調査、ユーザー調査などで現状のWebサイトを分析していきます。