コラム
プロデュース部 コピーライター/クリエイティブディレクター A
コーポレートサイト制作でよくある課題と、私たちの解決アプローチ
私たちクライマークスは、日々さまざまなお客さまからコーポレートサイト制作(新規構築、リニューアル)のお問い合わせをいただいています。
いわゆるナショナルクライアントから準大手、中堅・中小企業まで、創業100年以上の老舗企業も新進気鋭のベンチャーもお客さま。業種も、メーカー、商社、小売・販売、金融、サービス、IT、マスコミ、教育機関、官公庁と多彩です。
私はクリエイティブディレクター兼コピーライターとして、主にコーポレートブランディング、コンテンツ企画の観点からコーポレートサイト制作に関わっています。その立場から見ると、お客さまの課題は千差万別ながら、代表的なものが4つ挙げられると感じています。
本コラムでは、それら4つの課題に私たちクライマークスがどんなアプローチで解決を目指しているかを、実績も合わせてご紹介します。
※それぞれのアプローチは網羅的に示しており、常にすべてを実施するわけではありません。提案内容も、あくまでお客さまの課題や要望によって異なります。また、ご紹介する実績も、本コラムで取り上げた課題とその解決アプローチに加え、さまざまな要望、課題に応えたものです。ご了承ください。
目次
よくある課題1:サイトからの問い合わせが増えない
例えばこんなお客さま:企業認知<製品・サービスへの問い合わせ
企業認知より、製品・サービスへの問い合わせをコーポレートサイトの主目的とする企業では、サイトからの問い合わせ増は永遠の課題です。コロナ禍の昨今では対面営業や展示会等での集客が難しくなったため、サイトの集客力アップを望む企業はより多くなっている印象です。
いずれにしても、コーポレートサイトが製品・サービスサイトを兼ねた、業種を問わずB2B領域を手掛ける企業に多い課題と言えるでしょう。
私たちのアプローチ:今一度ユーザー視点でサイトを見直す
サイトからの問い合わせを増やすための「即効薬」「特効薬」は、なかなか見つかりません。だからこそ、改めてユーザー視点に立ち、現サイトの課題を一つひとつ検証、ていねいに改善し、製品・サービスをアピールしていくことこそ近道ではないかと考えます。
私たちクライマークスでは、以下のようなアプローチを行っています。
現状把握と分析:SEO・SNS対策、広告施策からサイト上での問い合わせに至る現状フローの把握/分析ツールを活用した直帰率、離脱率、コンバージョン率などの分析/ペルソナ、カスタマージャーニーマップなどを活用したユーザー特性の検証/競合他社サイトの調査、分析/以上に基づいた、理想的なユーザー行動と問い合わせに至る導線の検討、提案など
施策:「現状把握と分析」に基づいた、トップページ、下層ページなど各階層でユーザーに提供すべき情報、喚起する感情と行動の洗い出し/それを実現するデザイン、コンテンツ、ワーディング、ページ構成などの施策提案、実施など
ここもポイント:多様化するユーザーへはツールの活用も検討
タッチポイントの多様化やパーソナライズへの対応、データ活用などが急務な場合、Webマーケティングツールの導入も検討すべきと考えます。
この場合、クライマークスではツール・サービス提供会社と業務提携し、プロジェクトを進めます。例えば、コーポレートサイトへの流入施策を含めたツールの設計、実施、分析をパートナー企業が行い、私たちがコーポレートブランディングの観点から、サイトの全体構造とデザイン、コンテンツ企画制作などを行うなど、お互いの専門知識、知見を掛け合わせたサイト構築を推進しています。
実績
医学書院 コーポレートサイト
https://www.igaku-shoin.co.jp/
医学書院のWebサイトリニューアル。決済方法の追加、別管理・運用している「医学書院ID」を用いたログイン・マイページ機能の実装、CXツール「KARTE」の導入など。レスポンシブデザインによりマルチデバイスに対応。
日本コンピュータービジョン コーポレートサービスサイト
AI画像認識ソリューションのリーディングカンパニーのサイト制作。MAのコンサル企業とPardotでの運用設計を軸に、KPIやターゲット設定を共有しながら要件定義を進行することで、アジャイルな開発と高いコストパフォーマンスを実現。
よくある課題2:「自分たちは何者か」を伝られていない
例えばこんなお客さま:これまで本格的にCIに取り組んでこなかった企業
具体的な課題としては、企業理念やビジョンはあるが形骸化し、「私たちとは何者か」を示すコンテンツがないというものや、これまでは既存顧客との取引中心だったが、ビジネス領域を拡大するにあたり「自己紹介」の必要性が生じてきたなどが挙げられます。
こうした課題は、規模や業種を問わず、これまで本格的にCI(corporate identity)活動に取り組んでこなかった企業に多く見受けられます。つまり、企業・事業価値や競合優位性、あるいは企業風土・文化が培った「その企業らしさ」などを定義、明文化したり、それをもとにブランディング・マーケティング施策を展開してこなかった企業が当てはまります。
私たちのアプローチ:まずは企業像の把握から
こうした課題の場合、私たちはサイト構築に取り掛かる前に、ビジネスモデル、競合優位性、企業風土・文化などの把握に努めます。広報・宣伝資料やビジネス現場で活用しているツール類などからの理解に加え、事業部門や経営層へのインタビューなども適宜行います。そして、コーポレートブランディングの観点から、サイトで訴求すべき企業像とそれを表現する情報、印象などを導き、全体構造やデザイン、コンテンツなどを決定していきます。
ここもポイント:現場へのアンケート、ワークショップなども実施
事業部門や経営層へのインタビューなどでは把握しきれない「現場の声」に、その企業らしさが隠れていることもあります。クライマークスでは日々ビジネスの現場に立つ社員へのアンケートや、事業部門ごとのワークショップを実施、企業像を明確化していくこともあります。
実績
JA全農たまご コーポレートサイト
国内の鶏卵取扱量シェア1位を誇る鶏卵販売会社のリブランディングに貢献するコーポレートサイトを企画・制作。事業部門、現場で活躍する社員、人事などにインタビューを行い、多面的に企業理解を行ったうえでプロジェクトを推進。
よくある課題3:「企業ファン」を形成できていない
例えばこんなお客さま:企業像を伝えたい&ブランドリフト効果につなげたい
製品・サービスのファンにとどまらない「企業のファン」を形成したいという企業には、まず、「よくある課題2」をさらに発展させ、「自分たちは何者か」をより広く深く伝えていきたいという企業が挙げられます。昨今では、採用、IRの観点からパーパスブランディング(※1)に注力するためという意図もあるようです。
また、製品・サービスのコモディティ化が進む現在、製品・サービス自体での差別化は難しいため、企業姿勢、製品・サービス哲学、顧客へのコミットメント(責任、約束)などを示すことでブランドリフト効果(※2)につなげたいという企業にも見受けられる課題です。
※1:企業が自社の存在意義を社内外に示し、ユーザーからの認知、共感を狙うブランディング活動
※2:ブランディング広告に接触したユーザーと接触していないユーザーを比較し、接触ユーザーのブランドの認知や購買意欲などが向上したかを測る指標
アプローチ:更新コンテンツでサイトの発信力を強化
競合優位性を示した「私たちの強み」などのコンテンツは、ある程度不変的なビジネス上の強みを示したものであるため、常設コンテンツがふさわしいでしょう。その反面、情報が集約的になりがちで、その企業が持つさまざまな側面をアピールしづらいとも言えます。
そのため私たちは強みなどの常設コンテンツに加え、定期的に更新していく「企業広報誌」のようなコンテンツを提案しています。例えば、研究・開発部門が新製品開発ストーリーを語る、経営層がビジネス環境の変化に即したビジョンを語るなど、タイムリーかつ多面的に企業像を訴求し、企業ファン形成を狙うコンテンツです。
ここもポイント:「編集部」であるお客さまの負担軽減を心掛ける
更新コンテンツは、ある程度の期間にわたってコンテンツを制作、掲載していくため、お客さまも取材や撮影の立会い、原稿チェックなどいわば「編集部」としてコンテンツづくりに長期的に関わっていくことになります。
私たちは、お客さまの負担をできるだけ軽減することを心掛けます。コーポレートサイト制作で培ったリレーションや企業理解をもとに、打ち出すテーマを決定、また、コンテンツを制作するための既存資料の整理やインタビュー対象の決定などを、お客さまと一緒に行っていきます。
実績
日本紙パルプ商事 コーポレートサイト
『2019Webグランプリ 企業サイト賞』優秀賞獲得。世界を代表する紙流通企業コーポサイトの企画・制作。サイトリニューアル後に、企業イメージを明確にするための動画制作、「業界内での企業価値」や「共創」といったテーマを訴求するパーパスコンテンツなど、企業像を多角的に訴求できるコンテンツ拡充を順次行う
よくある課題4:複数あるサイトがバラバラ
例えばこんなお客さま:複数の事業やグループ企業を抱えている企業
事業や国、地域ごとによってサイトがバラバラに運営され統一感がなく、企業グループとしてのアイデンティティやイメージを訴求できていないといった課題です。当然、領域の異なる複数の事業を展開していたり、国内外にグループ企業を持つ企業に多い課題と言えます。
私たちのアプローチ:Webガイドライン・レギュレーションの作成
サイトがバラバラという企業の中には、ロゴなどのCI規定はあってもWebガイドライン・レギュレーション(規則、規定)がない、あるいは未整備という企業があります。また、Webガイドライン・レギュレーションはあっても、それに則ってページを作成するアセット(モジュール集、画像集など)がないということもあります。
こうした場合、私たちはWebガイドライン・レギュレーション、アセットの作成を行います。企業グループ全体の統一感、企業文化との親和性、技術革新が生じた場合に対応できる柔軟性、また、事業部門や、各国・地域のWeb担当部門のブランディングに対する理解レベルなどを考え、さらにアクセシビリティにおける国際的なルールなども考慮しながら作成していきます。
ここもポイント:Web統括部門をサポート、コミュニケーション不足解消を目指す
Web統括部門と、事業部門、各国・地域のWeb担当部門とのコミュニケーション不足により、サイトがバラバラになってしまう場合もあります。対面、オンライン問わず効果的なコミュニケーションができていないため、Webガイドライン・レギュレーションが浸透していないといったものです。
これを軽減するため、私たちはさまざまな取り組みでWeb統括部門をサポートします。狭義のコーポレート制作の範疇にとどまらず、事業部門や各国・地域のWeb担当部門に説明するための資料作成や会議ファシリテーションなども行っています。
実績
三菱電機 大規模サイト ガイドライン
https://www.mitsubishielectric.co.jp/
同社のハウスエージェンシーであるアイプラネット社とともに、Webガイドラインの改訂支援、浸透のための各種施策を実施。また、“三菱電機の知らない一面を知ってもらう”ことを目的に、トップページにおける企画を具現化するための調査・設計・デザイン支援も行う。
いかがだったでしょうか。
繰り返しになりますが、この4つの課題とそのアプローチは代表的な例であり、実際はお客さまそれぞれによって異なります。私たちは、案件ごとにお客さまとその課題に向き合い、ベストソリューションを提供することを目指しています。
Web制作
大規模コーポレートサイトからサービスサイトやサテライトサイトまで、アートディレクションと情報アーキテクチャ設計を融合した、クリエイティブで訴求力の高いサイトを構築します。また、フロントエンドのみならずバックエンドのシステム構築、デジタルマーケティング支援までを総合的に提供しています。
コーポレートサイト制作
ターゲットユーザーすべてを見据え、競合他社を圧倒する企業・サービスのブランディング確立を目的としたコーポレートサイトを制作します。
ブランディング
Webサイト制作・構築を通じて、さまざまな領域のブランディングを手掛けてきた実績を活かし、お客さまのブランディングを推進します。
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