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Web制作会社の実績・ポートフォリオの見方|“見た目の良さ”ではなく成果で見抜くチェック観点

実績ページ、「なんとなくおしゃれ」で判断していませんか?

Web制作会社を探し始めると、必ず目にするのが各社の実績・ポートフォリオページです。ところが、いざ見比べようとすると「どの会社もきれいなサイトが並んでいて、違いがわからない」と手が止まってしまう。そんな経験はないでしょうか。実は、実績ページは見た目の良し悪しを眺めるものではなく、その会社の実力と得意分野を読み解くための資料です。読み方さえ知っていれば、デザインの印象に流されずに「自社の成果につながる会社かどうか」を見抜けるようになります。本記事では、Web制作の発注初心者に向けて、実績・ポートフォリオを成果ベースで読むためのチェック観点を順番に解説します。読み終えるころには、どの実績ページを開いても、見るべき場所が迷わず定まるはずです。

Web制作会社の実績・ポートフォリオは“何を見るためのもの”か

実績は“作品集”ではなく“仕事の記録”として読む

Web制作会社の実績・ポートフォリオは、「作品集」ではなく「仕事の記録」として読むべきものです。掲載されているサイトの美しさは、その会社のアウトプットの一側面にすぎません。本当に読み取るべきは、どんな客の、どんな課題を、どんな体制で、どう解決してきたかという仕事の中身です。

あなたがこれから買うのは「きれいなサイト」そのものではなく、自社の目的を達成するための課題解決です。問い合わせを増やしたい、採用応募を増やしたい、ブランドの信頼感を高めたい。目的が何であれ、その達成を任せられる相手かどうかは、過去にどんな課題をどう解決してきたかという記録からしか判断できません。実績ページを開いたら、まず「この会社は何の記録を見せようとしているのか」という視点に切り替えてみてください。視点が変わるだけで、同じページから読み取れる情報量は何倍にもなります。

なぜ“見た目の良さ”で選ぶと失敗しやすいのか

とはいえ、多くの発注者は実績を見た目で判断してしまいます。これは自然なことで、デザインの印象は誰でも一瞬で受け取れる一方、仕事の中身を読み取るには少しの知識が必要だからです。しかし、見た目だけで選ぶことには構造的な落とし穴があります。

第一に、デザインの印象と成果は必ずしも一致しないからです。ビジュアルが華やかでも、問い合わせへの導線が弱く成果の出ないサイトはいくらでもあります。逆に、一見地味でも、ユーザーが迷わず目的を達成でき、着実に成果を積み上げるサイトもあります。第二に、見た目の好みは自社の業種・顧客に合うかどうかとは別問題だからです。アパレルブランドで映える表現が、製造業の技術力を伝える場面で機能するとは限りません。

たとえば、地元客が中心の飲食店が、実績ページの写真の美しさだけでWeb制作会社を選んだとしましょう。できあがったサイトは確かに美しいものの、肝心の「近所のお客様がメニューと営業時間をすぐ確認できて、予約までつながる」という目的には応えられず、集客は変わらない。そんな結果になりがちです。見た目は判断材料の一つであって、判断基準そのものではない。この前提を持つだけで、実績の見方は大きく変わります。

見方を変えるとWeb制作会社選びの精度が変わる

実績を成果ベースで読めるようになると、得られるものは会社選びの精度だけではありません。実績ページには、その会社の得意分野、仕事の進め方、価値観までにじみ出ています。デザイン表現を延々と語る会社なのか、クライアントの課題と成果を語る会社なのか。掲載の仕方そのものが、その会社が何を大切にしているかを物語っているのです。

なお、実績の「数」についても触れておきます。掲載数が多いことは経験の豊富さの一つの目安にはなりますが、多い=良い、ではありません。数百件の実績が並んでいても一件ごとの記述が薄ければ読み取れる情報は少なく、逆に十数件でも課題と成果が丁寧に記録されていれば、判断材料としての価値ははるかに高くなります。量より質、そして質の中身をどう読むか。それがこれからお伝えする内容です。

本記事では、このあと「自社との近さ」「課題と成果の記述」「担当範囲」という3つのチェック観点を軸に、実績ページの読み解き方を解説していきます。この3つは、企画会社や広告代理店を含めたどんな依頼先の実績にも使える、汎用性の高い物差しです。

Web制作会社の実績を成果で見抜く3つのチェック観点。自社との近さ、課題と成果の記述、担当範囲の3つを軸にした概念図

チェック観点1:自社と近い業種・目的のWeb制作事例があるか

“近さ”は業種・目的・規模の3つで測る

最初のチェック観点は、自社と近い事例があるかです。ここで言う「近さ」は、単に同じ業界かどうかだけではありません。業種(どんな業界か)、目的(何のためのサイトか)、規模(どのくらいの大きさ・予算感か)の3つの軸で測ります。

たとえば自社が「中堅の製造業で、技術力を伝えて新規の引き合いを増やしたい」なら、探すべきは「製造業(業種)×問い合わせ獲得(目的)×中規模コーポレートサイト(規模)」に近い実績です。3つすべてが一致する必要はありませんが、目的の一致はもっとも重要です。同じ製造業の実績でも、それが採用サイトばかりなら、集客の課題解決を任せる根拠としては弱くなります。逆に業種が違っても、「BtoBで問い合わせを増やした」事例が多い会社なら、期待は持てます。

規模の近さも軽視できません。大企業の大型案件ばかりを手がける会社に小規模な案件を頼むと、進め方や費用感が合わず、優先度も上がりにくいことがあります。逆に小規模案件中心の会社に大型案件を任せると、体制面で無理が出ます。

実績に並ぶサイトのページ数や作り込みの度合いから、その会社の“ホームグラウンド”となる案件規模を推し量り、自社の案件がそこに収まっているかを見てください。多くの制作会社の実績ページには業種やサイト種別の絞り込み機能があるので、まず自社の条件で絞り込んでから読み始めると効率的です。絞り込み機能がない場合でも、掲載順には意味があることが多く、上位に並ぶ実績はその会社が「今、一番見せたい仕事」、つまり現在の注力分野を表していると読めます。冒頭の数件にどんな業種・目的の案件が並んでいるかは、その会社の得意分野を推し量る手がかりになります。

同業種のWeb制作実績が意味すること

同業種の実績がある会社は、その業界の顧客心理や商習慣、業界特有の制約をすでに理解しています。医療なら広告表現の規制、不動産なら物件情報の見せ方、BtoB製造業なら技術者と決裁者の両方に伝える構成。こうした業界知識をゼロから説明しなくてよいことは、打ち合わせの効率にも提案の質にも直結します。

ただし、同業種の実績には裏の顔もあります。競合他社と同じ会社に頼むことになる可能性です。深刻な利益相反になるケースは多くありませんが、気になる場合は「同業の案件を並行して受ける場合のルール」を確認しておくとよいでしょう。また、同業実績が多い会社の提案は、良くも悪くも業界の定石に寄りやすい傾向があります。差別化を強く狙うなら、あえて他業界の発想を持ち込める会社を選ぶという考え方もあります。

近い実績が見つからないときの考え方

「うちの業界の実績がどこにもない」という場合もあります。ニッチな業種では珍しくありません。そのときは、業種の一致にこだわるより、目的と構造の近さで探してください。「専門的で説明の難しい商材を、初心者にもわかるよう整理して伝えた実績」「検討期間の長い高額商材で、資料請求につなげた実績」というように、課題の構造が似ている事例があれば、業種が違っても実力の根拠になります。

そして、近い実績が見当たらないまま候補に残したい会社については、後述する商談での質問で補うのが正解です。実績ページはあくまで公開されている範囲の記録であり、載っていない=経験がない、ではないことも覚えておきましょう。候補から外す判断は、聞いてからでも遅くありません。

チェック観点2:課題と成果まで書かれているか。Web制作の事例の読み解き方

“課題→施策→成果”の3点セットを探す

2つめのチェック観点は、実績の記述の中身です。信頼できる実績紹介には、共通する型があります。それが「課題→施策→成果」の3点セットです。制作前にクライアントがどんな課題を抱えていたか。それに対してどんな方針・工夫で設計したか。その結果、何がどう変わったか。この3点が書かれている実績は、その会社が成果から逆算して仕事をしていることの証拠になります。

施策の記述は、具体性に注目してください。「デザインを一新しました」では何も語っていないのと同じです。「技術者向けと決裁者向けで読む順序が違うため、トップページを二層構成にした」のように、何を・なぜ・どう変えたかまで書かれていれば、その会社の設計力を信頼する根拠になります。

一方、サイトのスクリーンショットと「コーポレートサイトを制作しました」の一行だけの実績からは、デザインの傾向しか読み取れません。もちろん守秘義務で書けない事情もありますが、全実績が画像だけの会社と、課題と成果を語る実績が並ぶ会社とでは、仕事への姿勢の違いがはっきり表れていると考えてよいでしょう。

Web制作会社の実績紹介の読み解き方。課題、施策、成果の3点セットが書かれた実績例と、画像だけの実績例を比較した図

成果の数値を読むときの注意点

「問い合わせが2倍に」「アクセス数が3倍に」。実績に並ぶ景気のいい数値は、たしかに魅力的です。ただし、成果の数値はそのまま鵜呑みにせず、条件を添えて読む習慣をつけてください。見るべきは3つ、期間・母数・比較対象です。

成果として掲載される事例は、当然ながらうまくいった案件から選ばれています。並んでいる数値がその会社の平均的な実力とは限らない、という前提も忘れないようにしましょう。

「問い合わせ2倍」が、月2件が4件になった話なのか、月100件が200件になった話なのかで意味はまったく違います。リニューアル直後の一時的な数字なのか、1年後も続いている数字なのかでも評価は変わります。また、広告出稿と同時のリニューアルなら、成果のどこまでがサイトの力なのかは切り分けが必要です。誠実な会社ほど、数値に期間や条件を添えて書いています。条件つきの控えめな数値は、むしろ信頼の証と読むのが、実績リテラシーの要です。

数値の成果が書かれていない場合の代替シグナルもあります。クライアントの担当者の声(コメント)が具体的か、取引が何年も継続しているか、同じクライアントから2案件目、3案件目を任されているか。成果に満足していなければリピートは起こりません。数値がなくても、継続とリピートの記録は実力の間接的な証拠として十分に機能します。

「きれいな画像だけ」の実績が語っていること

記述の乏しい実績が続くページにも、読み取れる情報はあります。掲載の力点がビジュアルに寄っているなら、その会社の関心や得意分野も表現寄りである可能性が高い。それ自体は悪いことではなく、ブランドイメージ刷新のような「見せ方」が主目的の案件なら、むしろ頼もしい相手かもしれません。

大切なのは、実績の見せ方と自社の目的が噛み合っているかです。成果を求める案件なら成果を語る会社を、表現を求める案件なら表現で魅せる会社を。実績ページの「語り口」から会社の重心を読み取り、自社の目的と照らし合わせる。これができれば、実績チェックの半分は完了したようなものです。逆にどれだけ実績が立派でも、語られている価値と自社の求める価値がずれているなら、その会社は「良い会社だが、今回の相手ではない」と判断できます。

チェック観点3:担当範囲はどこまでか。制作だけか、改善まで担ったか

実績の“担当領域”表記を読む

3つめのチェック観点は、その実績で会社がどこまでを担当したのかです。丁寧な実績紹介には「戦略設計/情報設計/デザイン/開発/運用支援」のように担当領域が明記されています。同じ1件の実績でも、戦略から運用まで担ったのか、デザインだけを請け負ったのかで、その会社に任せられる範囲の証拠としての意味が変わります。

これを確認しないと、「実績ページのサイトが素晴らしかったから頼んだのに、実はその会社が担当したのは一部分だけだった」というすれ違いが起こります。特に大きな案件では複数の会社が関わることが多く、見えている成果物のどこがその会社の仕事なのかは、外からは意外とわかりません。写真やコピーライティングが外部のプロの仕事で、サイトの印象の大部分をそれが支えている、ということも実際にあります。デザインに惹かれたときほど、その魅力の源泉がどの工程にあり、誰の仕事なのかを一段と深く確かめる価値があります。表記がない場合は、商談で「この実績ではどの範囲を担当されたのですか」と率直に聞いてしまってよいポイントです。

公開後の運用・改善まで書かれている会社の強み

担当領域の中でも注目したいのが、公開後の運用・改善に関する記述です。「公開後もアクセス解析にもとづく改善を継続し、半年かけてフォームの完了率を高めた」といった記録がある会社は、サイトを作って終わりではなく、成果が出るまで育てる仕事をしていると読めます。

Webサイトの成果は、公開した瞬間ではなく運用の中で作られていきます。公開後の話が実績に一切登場しない会社は、納品までが仕事という割り切ったスタイルかもしれません。それが悪いわけではありませんが、公開後も伴走してほしい発注者にとっては、改善の記録の有無が会社選びの決定打になり得ます。

また、実績の中に「更新しやすいCMS(コンテンツ管理システム)を導入し、クライアント自身で運用できる体制を整えた」といった記述があれば、それは納品後のクライアントの日常まで想像して設計している証拠です。発注者の手に渡ったあとのことまで考えられた実績は、読めば必ずその痕跡があります。運用フェーズを見据える会社かどうかは、こうした細部の記述からも判断できます。

リニューアル実績はBefore/Afterと“理由”を見る

実績の中でも情報量が多いのがリニューアル案件です。ゼロから作る新規案件と違い、リニューアルには必ず「変えた理由」があります。何が課題で、どこをどう変え、その結果どうなったのか。Before/Afterの見た目の変化だけでなく、変更の理由が語られているかを見てください。

「古くなったので刷新しました」だけなら表層の話ですが、「問い合わせ導線が深すぎたため構造から見直した」とあれば、課題分析力のある会社だとわかります。リニューアルの実績紹介は、その会社の思考の過程がもっとも表れる場所。時間をかけて読む価値があります。

念のため付け加えると、担当範囲が「制作のみ」の会社が劣っているわけではありません。戦略は自社やコンサルティング会社で固め、制作だけを切り出して発注する体制なら、制作特化の会社は最適な相手です。

重要なのはここでも、自社が任せたい範囲と、その会社が実績で証明している範囲が一致しているかという噛み合わせです。範囲のズレは、金額のズレよりも深刻なミスマッチを生みます。確認の一手間を惜しまないでください。

チェック

実績ページの“外”も見る。実際のサイトで確かめるWeb制作会社の実力

掲載サイトを実際に訪れて触ってみる

実績ページのスクリーンショットは、いわば宣材写真です。本当の姿を知るには、掲載されているサイトを実際に訪れて操作してみるのが一番です。スマートフォンで開いて表示は速いか、文字は読みやすいか、問い合わせページまで迷わずたどり着けるか。発注者に専門知識がなくても、一人のユーザーとして使いやすいかどうかは必ず感じ取れます。できれば通勤中の電車内など、実際のユーザーに近い環境で開いてみると、オフィスの大画面では気づけない読みづらさや操作のしにくさが見えてきます。

このとき、トップページの印象だけでなく、下層ページやフォームまで進んでみてください。トップは力を入れて作り込まれていても、下層の作りが雑なサイトは、細部への意識がそのまま表れています。数分の操作で得られる情報は、スクリーンショット100枚分に匹敵します。

あわせて、そのサイトの名前で検索してみるのも簡単で有効な確認方法です。検索結果にきちんと表示され、目的のページへたどり着けるか。集客を意識した作りになっているかどうかの、手軽な試金石になります。

そのサイトは“今も生きている”か

もう一つの確認は、掲載サイトが現在どうなっているかです。実績として掲載された当時は立派でも、今アクセスすると閉鎖されていたり、何年も更新が止まっていたりすることがあります。もちろんクライアント側の事情も大きいので一概に制作会社の責任とは言えませんが、今も更新され、育っているサイトが多いなら、長く使える設計と良好な関係の証拠と読めます。

また、公開年の記載があれば確認しましょう。実績が数年前のもので止まっている会社より、直近の実績が継続的に追加されている会社のほうが、現在の体制と実力を反映していると判断できます。Web制作の技術やトレンドの移り変わりは速く、実績の鮮度は思った以上に重要な情報です。

ひとつ公平のために付け加えると、数年前に公開されたサイトのデザインが今見ると古く感じられるのは、ある程度当然のことです。実際のサイトを評価するときは、公開された時期を考慮して見るという視点を忘れないでください。当時としてどうだったかと、今の自社案件に何を期待できるかは、分けて考えるのがフェアな読み方です。気になる場合は、直近の実績で最新の実力を確かめれば十分です。

Web制作会社自身のサイトも“実績”のうち

見落とされがちですが、その制作会社自身のWebサイトも重要な判断材料です。自社サイトは、クライアントの制約なしに自分たちの思想を表現できる、いわば一番自由な実績。そこが読みにくく、情報が古く、スマートフォンで崩れるようなら、クライアントワークの品質にも疑問符がつきます。

さらに、その会社のサイトにお役立ち記事やノウハウ発信があれば、内容を少し読んでみてください。発注者にとって有益な情報を噛み砕いて発信できている会社は、知識の深さとコミュニケーション力を併せ持っている可能性が高い。実績ページと自社サイト全体をセットで見ることで、会社の輪郭はかなり立体的になります。

なお、実績ページには受賞歴やデザインアワードの掲載もよく見られます。受賞歴は表現力・技術力の客観的な裏づけとして参考になりますが、賞の評価軸は必ずしも「発注者のビジネス成果」ではないことは頭に入れておきましょう。アワードの多い会社=成果を出す会社、と短絡させず、あくまで判断材料の一つとして扱うのが適切です。

実績だけでは分からないことは商談で確かめる。質問リストつき

“載せられない実績”があることを理解しておく

ここまで実績ページの読み方を解説してきましたが、最後に押さえておきたいのは、実績ページがその会社のすべてではないという事実です。Web制作の業界では、守秘義務(NDA)や広告代理店経由の案件などの事情で、実力を示す優れた仕事ほど公開できないことが珍しくありません。大手企業の案件ほど掲載許可のハードルは高くなります。

実績ページは、あくまで「公開できた仕事のサンプル」にすぎません。だからこそ、実績ページで候補を絞ったら、商談の場で非公開の実績や詳しい経緯を聞くことが、見極めの仕上げになります。「同業種の実績は他にありますか」「この場で見せられる範囲で構いません」と聞けば、多くの会社は口頭やその場限りの資料で紹介してくれます。

商談で使える質問リスト

商談で実績の裏側を確かめる質問を、いくつか用意しておきましょう。まず「この実績では、どの範囲を御社が担当されましたか」。担当領域の実態がわかります。次に「この案件の当初の課題と、成果はどうでしたか」。成果ベースで仕事を語れる会社かどうかが、回答の具体性に表れます。さらに「今回の弊社の案件に一番近い実績はどれですか。その理由も教えてください」。この質問への答えは、あなたの課題をどれだけ理解しているかのリトマス試験紙になります。

そして可能なら「その案件を担当したメンバーは、今回も担当されますか」まで踏み込んでください。実績は会社のものであると同時に、作ったチームのものでもあります。素晴らしい実績があっても、担当者が別なら再現性は下がります。質問の目的は会社を試すことではなく、実績と自社の案件との距離を正確に測ることです。

質問リストを使うときは、尋問のように一方的に浴びせないことも大切です。こちらの課題や背景を先に共有したうえで聞けば、相手も具体的に答えやすくなり、商談そのものが課題整理の場として機能し始めます。良い質問には良い質問が返ってくるもので、こちらの事業について深く聞き返してくれる会社は、それだけで有力候補と言えます。

複数社を比較する場合は、同じ質問を各社に投げて、回答をメモで並べることをおすすめします。記憶や印象での比較は最初の1社と最後の1社で基準がぶれがちですが、同じ質問への回答を横に並べれば、具体性の差は一目瞭然です。

Web制作会社の実績確認チェックリスト。実績ページで見る項目と商談で確かめる質問を一覧にした表

提案の中に“自社の課題への翻訳”があるか

質問への回答とあわせて見たいのが、実績の語り方が「自社ごと」に翻訳されているかです。実力のある会社は、実績を自慢話として語りません。「御社の課題は、以前手がけたこの案件と構造が似ています。そのときはこう解決したので、御社の場合はこう応用できます」というように、過去の実績を目の前の課題の解決策として差し出してくれます

実績はあくまで過去の記録であり、あなたが買うのは未来の成果です。過去と未来をつなぐ翻訳力こそ、実績チェックの最終確認項目だと言えます。

最終的な依頼先の決定は、実績(過去の証拠)、提案(未来の計画)、担当者との相性(一緒に走れるか)の3点をそろえて判断してください。実績はこのうちの一つの柱にすぎませんが、読み方を知らなければ柱として機能しません。ここまで確認できれば、見た目の印象に頼らない、根拠のあるWeb制作会社選びができているはずです。実績を読み解く力は、そのまま提案を見極める力にもつながっていきます。

まとめ

Web制作会社の実績・ポートフォリオは、見た目を鑑賞するものではなく、仕事の記録を読み解くものです。自社と近い業種・目的・規模の事例があるか。課題→施策→成果の3点セットが語られ、数値は条件つきで誠実に書かれているか。担当範囲はどこまでで、公開後の改善まで担ったか。そして実際のサイトを触り、載せられない実績は商談の質問で確かめる。この流れを踏めば、デザインの印象に流されない、成果につながる会社選びができます。これからWeb制作会社の実績ページを見る方は、まず本記事の3つのチェック観点をメモして、候補となる会社の実績を読み比べるところから始めてみてください。自社に合う依頼先の見極めに迷いが出たら、実績の読み解きから一緒に考えるクライマークスにお気軽にご相談ください。読み方を知ったあなたの目は、もう「なんとなくおしゃれ」では止まらないはずです。

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