Consulting / Information Architecture / Designing

このページの先頭へ

Insight

Web制作のさまざまな情報をご紹介

Webサイト制作にかかる工数と費用・見積もりの内訳を解説

Webサイトの制作やリニューアルを外部に委託する際に、特に気になるのは制作期間や費用でしょう。しかし、Web制作の見積もりの項目が分かりにくく、予算取りや業者選びを決めかねているケースもあるのではないでしょうか。
見積もりに記載されている項目がどのような費用なのかを把握しないまま依頼をすると、「想定するWebサイトが作成できない」「制作会社とのトラブルの元になる」などのリスクがあります。

そこで本記事では、Web制作にかかる工数・費用と、見積もりの内訳を紹介します。見積もりの金額を左右する要素や、Web制作を依頼する際の重要事項についてもみていきましょう。見積もりを依頼する前に、ぜひご確認ください。

1. Web制作とWeb開発の違いとは

Webサイトを立ち上げる際は、「Web制作」または「Web開発」を行うこととなります。似た用語ではあるものの、完成するサイトも費用も異なることから、自社にどちらが必要なのかをはっきりさせておく必要があります。

1-1.Web制作とは

Web制作とは、Webサイトの設計やデザイン、コーディングを行ってWebサイト(ホームページ)を作ることを指します。

Web制作で作られるのは、主に、ユーザーに情報を提供することを目的としている「静的なWebサイト」です。基本的に、静的なWebサイトでは、ユーザーが情報を入力したり、ユーザーの情報を利用してサイトが動いたりすることはありません。

以下はWeb制作で作成されるWebサイトの主な例です。

  • 企業公式の「コーポレートサイト」
  • 認知を広める「プロモーションサイト」
  • 製品・サービスの魅力を発信する「オウンドメディア」
  • 求職者の応募・採用につなげる「採用サイト」

上記のようなサイトを作成したい場合は、Web制作を依頼することとなります。

1-2.Web開発とは

一方、Web開発とは、Webアプリケーションのプログラミングやシステム・ソフトウェアの開発を行うことを指します。

Web開発で作られるのは、ユーザーが利用することを目的とした「動的なWebサイト」です。ブラウザで使用されるアプリケーションも、Webサイトの1つに含まれます。動的なWebサイトでは、ユーザー自身がテキストや画像を投稿したり、製品を購入できたりとアクティブにサイトを活用することができます。

以下はWeb開発で作成されるWebサイトの主な特徴です。

  • ユーザー登録・ログイン機能
  • ユーザーがテキストや画像を投稿
  • 製品・サービスの購入や比較
  • ユーザーの興味に合わせたコンテンツを表示

ECサイトのようにユーザーが個人情報を登録したり、マイページを持ったりできる高機能なWebサイトを制作したいという場合は、Web開発を依頼することとなります。目に見えないところでシステムが動くことになるため、Web制作よりも費用がかさむ傾向があります。

Web開発とは

2.【規模別】Web制作にかかる工数の目安

Web制作を依頼する場合、サイトの規模によって必要な工数が異なります。一般的に、WebサイトはWebページの集合体なので、ページ数でサイト規模を表します。

一般的には、小規模な10ページまでのWebサイトであれば、1〜3ヶ月程度で完成します。50ページ程度の中規模Webサイトなら3〜6ヶ月程度、数百ページ以上の比較的大規模なWebサイトなら半年以上となります。

ただし、同じページ数でも、コンテンツの量やデザイン、打ち合わせ・修正の回数などによって制作にかかる期間が大幅に変わるのが普通です。Web制作にかかる工数・期間はあくまでも目安として参考にしてください。

3.Web制作にかかる費用の内訳

Web制作にかかる費用は主に下記の9つの項目を合計したものとなることが一般的です。

  • 企画費
  • ディレクション費
  • 設計費
  • デザイン費
  • マーケティング・SEO対策費
  • コーディング費
  • コンテンツ作成費
  • 取材・撮影費
  • システム費

ここからは、各費用がなぜ必要なのか詳しく紹介します。ただし、サイト制作の費用も、ケースバイケースで変わるため、参考程度として認識しておくのがおすすめです。

3-1.企画費

企画費は、Webサイトの方向性やコンセプトを決定するのにかかる費用です。Webサイトを作成・運営する目的を達成するために、競合サイトの分析や、既存サイトの課題の洗い出しも行います。

「企画が強いWeb制作会社は、効果的なWebサイトを作成できる能力が高い」といわれるほど重要な工程です。サイト制作の基礎となる部分なので、企画費を削ろうとすると、Webサイトそのもののクオリティ低下を招くリスクがあるため注意してください。

3-2. ディレクション費

ディレクション費は、打ち合わせや資料作成、クライアントとの調整、チームの管理、トラブルの対応など、プロジェクトを進行するのにかかる費用です。制作会社によっては、「プロジェクト進行費」「進行管理費」などと記載されたり、企画費とまとめて提示されたりすることもあります。

ディレクション費は、プロジェクトを管理するプロジェクトマネージャーやディレクターが関わる業務に対して発生します。必要不可欠なポストにいる担当者の人件費なので、安易に値引きするとプロジェクトのクオリティが下がるリスクがあります。

3-3.設計費

設計費は、サイトマップ(サイト全体の階層図)やワイヤーフレーム(各Webページの完成イメージ)を設計するのにかかる費用です。ページ数が多いサイトであれば全てのページ毎の役割、相関性を計画化し、ページ間の導線設計やどのような情報を網羅するかなどのコンテンツ設計を実施していきます。

3-4.デザイン費

デザイン費用は、サイト上に表示される見た目の部分を制作する費用です。レイアウトはもちろん、具体的なデザインやカラースキーム、使用する画像などを決めていきます。

デザイン費用は、Web制作のなかでも費用を変更しやすい項目です。統一したデザインテンプレートを中心にすることで費用を抑えられる傾向にあります。一方、ページ毎にオリジナルデザインにしたり、図版やイラストを多く取り入れたりすることで費用は高くなっていく傾向にあります。近年はレスポンシブWebデザインにより、モバイル対応がマストですので、スマホ・タブレットなどモバイルレイアウト用のデザインも必要になります。

3-5.マーケティング・SEO対策費

マーケティング・SEO対策費は、既存Webサイトがある場合のアクセス解析や、新サイトのSEO対策に関する施策にかかる費用です。

SEOを意識していないと、検索エンジンで上位表示されず、Webサイトでの集客効果が薄れる可能性があります。また、サイト立ち上げる時点で、SEO対策をしていないと後々改善が必要になり、余計な費用と労力がかかることになります。SEO対策は、Webサイトを運営するにあたって継続的に取り組む必要があることに留意しておきましょう。

3-6.コーディング費

コーディング費は、Webページの各要素を動かすためのコードを書き出すのにかかる費用です。PCサイト・スマホサイトがある場合は、それぞれのレイアウトを勘案してコーディングする必要があります。

全てのWebページ分コーディングが必要なので、ページ数が多くなればなるほど費用は上がります。基本的にHTMLやCSSでコーディングされますが、JavaScriptを使った動きのあるサイトであれば、作り込みに応じて費用は大きく増加します。

ある程度のサイト規模や頻繁な更新が必要なWebサイトの場合は簡易更新を可能にするCMSを予め実装し、公開後の運用費を抑えることも検討する必要があります。

3-7.コンテンツ作成費

コンテンツ作成費は、サイト上の文章・画像を作成するのにかかる費用です。費用はページのコンテンツ量や内容によって異なります。

企業概要や社長あいさつ、実績など社内で作成できるコンテンツもありますが、サービス紹介やコラム記事では、セールスライティングやSEOの知識を用いた方が効果的なコンテンツを作れます。誰がどのようなコンテンツを用意するのかで費用が変わるため、見積もりを取る際は自社で用意する部分・依頼したい部分を明確にしておきましょう。

3-8.取材・撮影費

取材・撮影費は、Webサイトに使用する情報や写真、動画を用意するのにかかる費用です。

コーポレートサイトやプロモーションサイトでは、社員のインタビューや製品・サービスの写真・動画を使用することで、より魅力的かつ効果的なサイトに仕上げることができます。昨今では、自社ブランドムービーを会社軸、製品軸、採用軸など目的と用途に合わせて制作することも主流になってきました。

インタビュアー・カメラマンのスキルや撮影場所、撮影方法などによって金額は大幅に変動します。自社にある既存の素材を使う場合は省かれる項目です。

3-9.システム開発費

システム開発費は、自社製品システムと連携表示する場合や、各種フォームの設置、検索機能など実装が必要な機能を追加する場合にかかる費用です。問い合わせフォームのようなよくある機能なら、既存システムを利用できるため比較的安価に実装できることがあります。

ただし、オリジナルな機能やシステムの実装は、Web開発の領域になるため、まとまった予算が必要になることもあります。Web制作とWeb開発システムではメインとする業務が大きく異なるため、業者選びは想定しているWebサイトに合わせて行いましょう。

4.Web制作の見積りで金額が決まる5つの要素

Web制作を依頼する際は、複数の制作会社に相見積りを取って、費用や対応を確認したいところです。しかし、同じような依頼をしても制作会社によって提示される金額が異なることがよくあります。

これは、見積り金額に「サイトのボリューム」「システム」「工数」「納期」の5つの要素が影響しているためです。

4-1.サイトのボリューム

ページ数やコンテンツ量といったサイトのボリュームで、見積り金額は上下します。Webサイトの規模が大きいほど制作にかかる工数や携わる人材が多くなるため、費用も高くなるのが一般的です。

既存ページを移行する場合、本当に全ての移行が必要なのか、ほとんど見られていないページも対象とするべきなのか、などの情報整理も必要になります。

また、コンテンツの内容が金額に影響することもあります。例えば、ページ毎に既存のテキスト・画像・動画を使うのか制作し直すのか、サイトに動的な機能を付けるのかなどです。

4-2.システム

Web開発とまではいかなくても、フォーム機能や検索機能、CMSなどのシステムの実装があると費用が上がる傾向があります。動的なWebサイトをゼロから構築するとなるとWeb開発の領域ですが、既存システムの設置であればWeb制作として依頼できるのが一般的です。

システムの構築は専門的な知識が必要なので、依頼側が費用感を判断するのが特に難しい部分といえます。そのため、見積もりを取る時は、ベンチマークとなるサイトを提示するのがポイントです。

4-3.工数

制作に工数がかかる場合も、費用が上がる傾向があります。工数がかかる、つまり時間や人手、専門知識、またはその全てを要するということです。

「コンテンツ量が多い」「オリジナルなコンテンツを用意する」「システムの実装が必要」など、工数が増える要素が多くなるほど金額に影響が出てきます。

4-4.納期

製作期間も金額に影響することがあります。一般的に、短納期である方が費用は上がります。

納期については、制作会社と話し合って決めることができますが、制作会社が提示する納期よりも短納期を希望する場合は、制作側も通常よりも大人数のチーム体制やバックアップ体制などを用意する必要が出てくるので、費用に影響が出てきます。

また、納期が短すぎるとクオリティに影響することも考えられます。そのため、できるだけ余裕を持って期日を設定しましょう。

4-5.制作会社の実績・技術力

Web制作会社の実績や技術力も、金額を左右する要素の1つです。Web制作会社にもさまざまあり、テンプレに沿って制作するだけのところもあれば、リリース後の活用や費用効果を考慮して制作するところもあります。もちろん、後者の方が費用は高くなります。

また、制作会社によって、強みや得意な業界が異なります。同業他社の実績の有無や、得意分野を確認したうえで、自社のニーズにマッチしているか確認するようにしましょう。

Web制作の見積りで金額が決まる5つの要素

5.Web制作で工数や費用に関連して重要なポイント

最後は、Web制作の工数・費用を確認するうえで、覚えておきたい重要ポイントを確認します。見積もりを確認する際や、制作会社を選定する際の参考になるはずです。

5-1.長期的な費用対効果を考慮する

Web制作の費用は、予め完成形が明確な訳ではないので、一概に「安いから良い」「高いから悪い」とは言い切れません。そのため、業者を選定する際は、投下したコストに見合った効果が期待できるか否かという点を重視すべきです。

専門性の高い制作会社に依頼すれば、費用は高いものの、丁寧なコンサルティングやマーケティングの知見の活用、優れたデザインによって、上質なサイトに仕上がります。結果的に、ブランド価値や売上の向上につながり、Web制作にかかったコストを上回るリターンが期待できるでしょう。

5-2.Web制作の目的を整理する

Webサイト制作においては、目的と見合う規模や工数、予算を設定することが重要です。

例えば、ECサイトやサービスサイト、プロモーションサイトのような売上に直結するサイトと、基本的な情報の提示を目的とするコーポレートサイトを比較した場合、前者にリソースをかけた方が大きなリターンが期待できます。

いずれも重要なサイトではありますが、限られた予算のなかで最大限の効果を求めるのであれば、制作目的の優先度を整理して、相応のリソースを投下できるようにしましょう。

6.まとめ

今回は、Webサイト制作にかかる工数・費用と、見積もりの内訳を中心に解説しました。工数・費用は、サイトのボリュームや内容などにより大きく変動するものの、いずれにしても高額な制作費用がかかるため、できるだけ費用対効果が高いサイトに仕上げたいものです。

そこで、依頼の前には、Web制作の目的と優先順位を整理しておきましょう。制作会社には、どのようなWebサイトを制作したいのかを、ベンチマークとするサイトとともに提示することで、より精度の高い見積もりを受け取ることができます。

制作会社の選定では、これまでの実績や期待できるリターンを考慮し、総合的に判断するようにしましょう。

Web制作

大規模コーポレートサイトからサービスサイトやサテライトサイトまで、アートディレクションと情報アーキテクチャ設計を融合した、クリエイティブで訴求力の高いサイトを構築します。また、フロントエンドのみならずバックエンドのシステム構築、デジタルマーケティング支援までを総合的に提供しています。

調査/分析

Webサイトの戦略を策定するために、ユーザビリティ・アクセシビリティの観点から、アクセスログ解析やヒューリスティック調査、ユーザー調査などで現状のWebサイトを分析していきます。