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Journal

クライマークス社員のノウハウを、コラム、ケーススタディ、インタビューなどでご紹介

コラム

デザイン部 デザイナー IW

働く意義に向き合う時代のパーパスドリブンなクリエイティブ

はじめに

従来の働き方や仕事に対する価値観が変化し、働きやすい環境づくりに取り組むことは、大企業から中小企業までどの企業にとっても重要な課題となってきました。

2000年以降に成人となったミレニアル世代が仕事選びにおいて優先することは、29の国と地域の大半で「ワークライフバランス」が1位(報酬やその他の経済的恩恵を除く)。次いで日本では「仕事に意義を感じること」が挙げられています。若い世代を中心に金銭的な報酬だけではなく、仕事をする価値や目的を見出せるかを重視する傾向が広がっています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000006446.html
ミレニアル世代とその雇用主~関係性は維持できるか(デロイト ミレニアル年次調査)

また、コロナ禍でテレワークを導入する企業も多くなり、働き方の多様化も進んでいます。これまで人が集まる場所として機能していたオフィスがなくなることで、物理的に顔を合わせる機会が減り、社員の帰属意識をどのように担保するのかという懸念も出てくるようになりました。

企業の社会的役割も変化しています。企業理念や共通の価値観を表す言葉として、「ミッション、ビジョン、バリュー」がありますが、最近では企業の存在目的や社会的意義を表す「パーパス」に注目が集まっています。関連する書籍や特集も多く見られるようになりました。SDGsの取り組みなど企業に社会課題解決が求められるようになったことを背景に、IBMやナイキなど多くのグローバル企業がパーパスを掲げています。日本では2019年1月にはソニー、2020年5月には富士通がパーパスを発表しました。

働き方の多様化や企業の社会的な役割に変化が起きている中で、企業は「自分たちは何のために存在するのか」「社員は何のために働いているのか」について、真摯に向き合う必要性が高まってきました。
今回のコラムでは、パーパスを軸として(パーパスドリブン)、企業が自社の方向性をどのように示し、伝えているのか、クリエイティブ事例を見ていきたいと思います。

1.富士通

富士通は2020年に会社の新理念となるパーパスを発表し、「Purpose Carving」という、自分自身のパーパスを彫りだし、言葉にするというプログラムを取り入れています。

富士通

わたしたちのパーパスは、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、
世界をより持続可能にしていくことです。

https://fujitsu.recruiting.jp.fujitsu.com/purpose/

富士通
Purpose Carving(Purpose Movie 社員の声)
https://fujitsu.recruiting.jp.fujitsu.com/purpose/

「Purpose Carving」では、個人の多様なパーパスを彫りだす様子をムービーで訴求しています。
所属する組織の規模にもよりますが、組織が掲げるパーパスは視野が大きくなりがちで、それが自分の人生におけるパーパスと必ずしも完全に一致するわけではありません。まずは個人が自分の働く意味を明確にすることで、直結しづらい組織と個人を接続しようとする姿勢が伺えます。

2.パナソニック

パナソニックホールディングスは、2022年4月にパーパスを表すブランドスローガン「幸せの、チカラに。」を発表しました。

パナソニック

幸せの、チカラに。
私たちは、変化する世界の中で、
皆さまの幸せを生み出す「チカラ」であり続けたいと思います。

https://holdings.panasonic/jp/corporate/brand/live-your-best.html

パナソニック

家電、エンターテインメント、ハウジング、車載事業、エネルギー、デバイス領域、B2Bソリューションと事業の範囲が広く、複数の子会社を抱えるホールディングスカンパニーということもあり、抽象度の高いスローガンではありますが、パーパスの世界観をビジュアル化することで、具体性を補っています。多様性にも配慮し、老若男女が花や植物の飾り付けを行うことで7つの事業を表現。彩り豊かで美しいビジュアルが印象的で、「 幸せの、チカラに。」が思い描く、明るくポジティブな雰囲気が伝わってきます。
抽象度の高いスローガンというのは、解釈に幅を持たせることができる反面、読み取りの振れ幅も大きくなるので、このように具体的なビジュアルを提示することで、言葉のもつ意味がより明確になり、共有しやすくなります。

3.住友ゴム

住友ゴム工業は、ダンロップに代表されるタイヤ事業をはじめとし、スポーツ事業、産業品事業をグローバルに展開する総合ゴムメーカーです。2020年12月に新企業理念体系として、パーパスを起点とした「Our Philosophy」を発表しました。

住友ゴム

未来をひらくイノベーションで
最高の安心とヨロコビをつくる。

https://www.srigroup.co.jp/corporate/principles.html

住友ゴム

同社は、社内のエンゲージメントのスコアがよくないことや、2020年に向けて作成した「VISION 2020」の次の長期ビジョンが明確になっていないことなどの課題を抱えていました。この解決に向け、若手社員中心のプロジェクトが立ち上がり、現行の企業理念体系を再整理、新しい理念体系を構築しました。このプロジェクトの詳しい過程については、「パーパスブランディング」(斉藤美希子 著)で紹介されていますので、宜しければご一読ください。

パーパス・ブランディング
「何をやるか?」ではなく、「なぜやるか?」から考える

https://www.amazon.co.jp/dp/B0B1MLHQW5/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

パーパスの策定とともに、Purpose Movieも作成しています。原材料となるゴムの木から滴るゴムの樹液が、ゴムが利用されるさまざまなシーンに展開し、「ゴムの先へ。はずむ未来へ。」という企業理念のスローガンを表現。ゴムという表現の難しい素材ですが、文字通りゴムが「はずむ」アニメーションと手書き風のシンプルなイラストでパーパスの世界観を描きます。

4.タケダ

武田薬品工業 は創業240周年を機に、企業ブランディングキャンペーンを実施。職場の多様性や働き方、環境への取り組み、コーポレートガバナンスのあり方など、さまざまな活動を特設サイトで公開しています。

タケダ

世界に尽くせ、タケダ。
革新的に。誠実に。

https://www.240.takeda.com/

タケダ

プロジェクトメンバーが同社ビジネスの最前線を語るトークセッション、研究パートナーとのクロストーク、薬や革新的な取り組みについて伝える動画番組など、多彩なコンテンツをオウンドメディアとして発信。潜在的な顧客へのPRや求職者への採用効果も期待できる充実したコンテンツとなっています。数々の取り組みから、パーパスを単なる掛け声に終わらせず、具体的に実践していく同社の姿勢が垣間見れます。
ダイバーシティやiPS細胞など社会的な問題にフォーカスしたCMシリーズでは、テーマに合わせたメタファーを使い、シンプルながらも印象的なビジュアルで、タケダの企業姿勢を伝えています。

最後に

各社の事例を通して、それぞれ特徴を踏まえつつ、企業の存在目的や社会的意義を表現していることが見えてきました。
働き方の多様化や仕事における価値観の変化がある時代において、働く意義を明確にし、働く人のモチベーションを引き出す手段のひとつとして、パーパスを軸としたクリエイティブは、今後より注目を集めそうです。

Web制作

大規模コーポレートサイトからサービスサイトやサテライトサイトまで、アートディレクションと情報アーキテクチャ設計を融合した、クリエイティブで訴求力の高いサイトを構築します。また、フロントエンドのみならずバックエンドのシステム構築、デジタルマーケティング支援までを総合的に提供しています。

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