Webサイト構築の要件定義チェックリスト – ヒアリングシートで抜け漏れ防止
Webサイトを新規に立ち上げる、あるいはリニューアルする際、最初に直面するのが「何をどう作るか」という定義づけです。
この要件定義が曖昧なまま制作を進めてしまうと、途中で仕様変更が頻発したり、関係者間で認識がズレたりして、結果的に「想定外のコスト増」や「スケジュール遅延」に陥るリスクがあります。
特に、発注側である企業担当者にとっては、制作会社との打ち合わせ前に自社の目的や条件を整理しておくことが極めて重要です。
本記事では、「サイト構築 要件定義」というキーワードで多くの担当者が悩む「何を決めればいいのか」「どこまで決めるべきか」を、実際に使えるヒアリングシート形式のチェックリストで体系的に解説します。
「なぜ要件定義が大切なのか」から、「どんな質問を用意すれば抜け漏れを防げるのか」、さらに「フェーズ設計」「運用を見据えた要件整理」まで、Web制作の現場で役立つ実践的な観点で整理しました。
これを読むことで、あなたの社内準備は格段にスムーズになり、制作会社とのやり取りでも主導的にプロジェクトを進められるようになるでしょう。
目次
要件定義がプロジェクト成功の鍵となる理由
要件定義とは何か/その役割
要件定義とは、「どんな目的で、どんな成果を、どんな条件で実現するか」を明文化する工程です。
Webサイト構築では、発注側と制作会社が共通認識を持つための設計図にあたります。
多くの担当者が誤解しがちなのは、「デザイン」や「ページ構成」から話を始めてしまうことです。
しかし本来は、「なぜこのサイトを作るのか」「どんなユーザーに何を伝えたいのか」という上位目的が先に定義されるべきです。
これを飛ばすと、制作フェーズで「思っていたサイトと違う」といったトラブルが生まれます。
また、要件定義は単なるドキュメントではなく、意思決定のプロセスそのものでもあります。
社内のマーケティング・営業・システム担当者など、複数の部署が関与する中で、方向性を合意するための「対話の道具」として機能します。
要件定義が甘いと起きる失敗パターン(仮定事例)
例えば、製造業の会社が新製品の販促サイトを立ち上げようとしたケースを考えてみましょう。
営業部は「カタログ的に商品を一覧で見せたい」と主張し、マーケティング部は「リード獲得に直結するLPを作りたい」と要望。
この段階で明確な「目的の優先順位」が定義されていなかったため、制作途中で「やはり問い合わせフォームを追加したい」「LPを増やしたい」と仕様変更が連発しました。
結果として、スケジュールは当初より2カ月延び、見積もりは120%増加。
最終的に完成したサイトは、どちらの要望も中途半端に反映され、成果も上がりませんでした。
このように、要件定義を軽視すると「意思決定の遅れ」「仕様変更の連鎖」「認識齟齬によるリワーク」が発生し、プロジェクト全体のコスト構造を崩してしまいます。
合意形成で重要なポイントと注意点
成功するプロジェクトでは、要件定義フェーズを“合意形成フェーズ”として設計しています。
つまり、ドキュメントを作る目的は「合意を記録すること」ではなく、「認識を揃えること」にあります。
特に重要なのが、「必須要件」と「要望要件」を明確に分けることです。
この線引きが曖昧なまま進むと、優先順位の低い要件が初期段階から盛り込まれ、スケジュールやコストを圧迫します。
合意形成をスムーズに進めるためには:
- 各要件に「目的」「理由」「期待効果」を添える
- 各ステークホルダーの合意サインを取る
- 変更履歴を残す
といった運用が効果的です。
制作会社との関係も「お願いする側」から「共に作るパートナー」へと変わり、以後の進行が格段に円滑になります。
発注側がまず整理すべき準備事項
社内ステークホルダー整理と目的設計
発注前にまず着手すべきは、「誰が何を求めているか」の洗い出しです。
Webサイト構築では、経営層・営業部・マーケティング部・人事部など、社内の目的が交錯します。
目的が複数ある場合は、最優先目的を1つに絞り、他を副次的目的として整理します。
たとえば:
- 採用サイト → 「応募増加」を主目的に、「企業ブランディング強化」を副目的に設定
- コーポレートサイト → 「信頼性向上」を主目的に、「問い合わせ導線強化」を副目的に設定
このようにKGI/KPIに紐づけて目的を定義することが、以後の構成・デザイン・機能すべての判断基準になります。
現状分析と課題抽出(データ活用方法含む)
現行サイトがある場合は、Google Analytics や Search Console のデータから課題を定量的に洗い出します。
例えば、「平均滞在時間が短い」「CVR が低い」「モバイル比率が高い」などの情報を分析することで、改善すべきポイントが明確になります。
仮に不動産業の会社がリニューアルを検討していたとします。
アクセスデータを分析すると、物件検索ページの離脱率が高い一方、スマートフォンユーザーの比率が70%以上だった。
この場合、「モバイルUIの見直し」「検索フィルタの簡略化」「電話問い合わせの強化」といった改善方向が導けます。
要件定義の前段階でこうした分析をしておくことで、「感覚的な要望」ではなく「データに基づく要件設定」が可能になります。
KPI/成功指標の仮設設計と優先順位付け
目的を定義したら、次は「数値で測定できる成功指標(KPI)」を設定します。
例えば:
- 問い合わせ数を3か月で30%増加
- 採用エントリーを半年で1.5倍
- SEO流入を前年比150%
こうした数値目標を仮設として置くことで、サイト構成・機能・コンテンツの優先順位が決まります。
ここで重要なのは「理想値」ではなく「現実的な改善幅」を設定すること。
さらに、KPIを担当者単位にブレークダウンしておくと、社内合意が得やすくなります。
このフェーズを省略すると、サイト完成後に「結局、成果が見えない」という事態を招きがちです。
ヒアリングシート形式:要件定義チェックリスト
ここからは、実際に制作会社との打ち合わせ時に活用できる「ヒアリングシート形式」で要件を整理します。
項目を1つずつ確認していくことで、抜け漏れを防ぎ、チーム全体で共通認識を持つための基盤を作ることができます。
背景・目的・事業戦略に関する質問項目
最初に確認すべきは「なぜこのサイトを作るのか」という背景です。
ここを明確にできていないと、どんなに優れたデザインや機能を実装しても、成果につながりません。
ヒアリング時に必ず聞くべき質問として、以下のようなものがあります。
- このサイトのビジネス上の目的は何か?(例:売上拡大・採用強化・ブランディング)
- 現状の課題は何か?(例:問い合わせが少ない・情報更新が遅い・スマホ対応が不十分)
- 対象ユーザーは誰か?(年齢層・職種・地域など)
- 競合と比べた自社の強み・差別化要素は何か?
- サイトの最終的な成功状態をどう定義するか?
この質問群を通じて、「プロジェクトの意義」と「ビジネスゴール」を明文化します。
仮にとある人材紹介業の会社が採用支援サイトを新設する場合、「応募数の増加」だけでなく「企業への信頼感向上」も目的に含めると、デザインやコピーの方向性が変わってきます。
サイト構成・情報設計に関する質問項目
次に、サイトの全体構成と情報設計について整理します。
ヒアリングでは次のような観点が重要です。
- どんなページ構成が必要か?(例:トップ・サービス・導入事例・採用・お問い合わせ)
- コンテンツの更新頻度は?(例:ニュース・ブログを月何本更新するか)
- コンテンツ制作は誰が担当するか?(社内・制作会社・外部ライターなど)
- SEOやアクセス解析を考慮したURL設計・階層設計は?
- 画像・動画・PDFなど、どんな種類のファイルを使う予定か?
この段階で情報構造を整理しておくと、デザインフェーズ以降の修正工数を大幅に削減できます。
特に、「SEOを意識した情報設計(IA)」は早期に決めておくべきです。
コンテンツマーケティングを見据えるなら、「カテゴリ構成」「タグ設計」「記事テンプレート構造」まで具体化しておくと良いでしょう。
機能要件・非機能要件に関する質問項目
Webサイト構築における要件定義では、機能要件(実際に動作する仕組み)と非機能要件(品質や運用の条件)を明確に分けて整理します。
ヒアリングで確認すべき主な機能要件は以下の通りです。
- 問い合わせフォームの項目内容や送信先メールアドレス
- 会員登録・ログイン・マイページなどの要否
- 多言語対応(英語・中国語など)は必要か?
- 商品データやブログ記事など、CMSで更新する範囲
- 外部APIとの連携(例:CRM、MAツール、予約システムなど)
一方、非機能要件としては:
- 表示速度・セキュリティ要件
- バックアップ・冗長化の仕組み
- 管理画面の使いやすさや権限管理
- アクセシビリティ・ブラウザ対応範囲
仮に、医療機関のサイトを構築する場合、患者情報を扱うためSSL/TLS通信はもちろん、サーバーの物理的なセキュリティ対策まで要件に含める必要があります。
こうした非機能要件は「見えない品質」ですが、プロジェクト全体の安定稼働を支える重要な要素です。
技術要件・インフラ要件に関する質問項目
Webサイトを構築する際、システム基盤やホスティング環境の選定も要件定義に含まれます。
ヒアリング時には次のような質問を行うと良いでしょう。
- サーバー環境は自社保有か、クラウド(AWS・GCP・さくら等)か?
- CMSは何を利用するか?(WordPress、Movable Type、独自CMSなど)
- サイトの規模やトラフィック想定はどの程度か?
- バックアップ体制や障害時の復旧手順は?
- 社内ネットワークや他システムとの接続要件はあるか?
これらを明確にしておくことで、構築費用と保守費用の見通しを正確に立てられます。
特に最近ではクラウド利用が増加しているため、「どこまで自社管理するか」「どこから外部に委託するか」の線引きが重要です。
運用体制・改善設計に関する質問項目
最後に、運用フェーズの要件を定義します。
サイトは公開がゴールではなく、運用開始がスタートラインです。
ヒアリングで確認すべき運用要件は次のとおりです。
- 更新担当者は誰か?更新権限はどこまで必要か?
- 定期的なアクセス分析や改善提案の体制は?
- コンテンツ追加やバナー更新などの運用ルールは?
- 問い合わせ対応フロー(担当部署・返信期限)は?
- 改修リクエストの優先度決定プロセスは?
これらを事前に定義しておくと、運用初期の混乱を防げます。
とある小売業の会社では、運用ルールが曖昧だったために、複数部署から同時に修正依頼が入り、CMSデータが競合してしまう問題が発生しました。
このような事態を防ぐためにも、運用フローを要件定義書に明記しておくことが重要です。
フェーズ設計と優先順位付けの考え方
段階導入設計(MVP の定義と考え方)
すべての機能を最初から詰め込むと、リスクもコストも跳ね上がります。
そのため、Webサイト構築でも「MVP(Minimum Viable Product:最小実行可能製品)」の考え方が有効です。
つまり、まずは「最小限の目的を果たせる構成」で公開し、運用しながら改善を重ねていくアプローチです。
例えば、採用サイトならまず募集要項と応募フォームを公開し、後から社員インタビューや動画コンテンツを追加していく形が考えられます。
仮に、IT企業が採用サイトを作る場合、初期段階では「求人情報と応募フォーム」のみでリリースし、反応を見ながら「社員紹介コンテンツ」を後から実装することで、初期投資を最適化できます。
機能の優先度決定基準と意思決定プロセス
優先順位を決める際は、次の3軸で整理するのがおすすめです。
- ユーザー価値(UX):ユーザー体験に直接影響するか
- ビジネス効果(ROI):売上・リード・採用成果に貢献するか
- 実装コスト(工数・予算):開発や運用の負荷がどの程度か
これらをマトリクスで整理し、「優先度高・中・低」で分類します。
特に、「すぐに成果に直結しないが将来的に必要になる機能」は、将来フェーズに回すことで、現フェーズのリスクを抑えられます。
制作会社と優先度を共有することで、見積もりやスケジュール調整の精度も高まります。
将来拡張性や余白設計の視点
要件定義では、未来の拡張を見越した余白設計も欠かせません。
Webサイトは数年単位で運用されるため、組織体制や事業内容の変化に耐えられる構造が必要です。
例えば、今後多言語展開を予定しているなら、初期から「多言語対応を想定したURL構造」「翻訳管理の仕組み」を備えておく。
これにより、後から構築し直す手間を大幅に省けます。
また、CMS設計でも「テンプレートを使い回せる設計」にしておくと、更新担当者が増えても柔軟に対応できます。
余白のある設計思想こそ、長期運用の鍵です。
手戻り・抜け漏れを防ぐ仕組みとチェック手法
相互レビューと差分チェックの実践方法
Webサイト構築の現場では、仕様のすり合わせミスや伝達漏れが最も多い失敗要因の一つです。
特に、複数の担当者が関与する場合や、外注を含む体制では「誰が、どの要件を、いつ承認したか」が不明確になりがちです。
このリスクを防ぐには、相互レビューと差分チェックの仕組みを設けることが効果的です。
実践的には、次のような運用が考えられます。
- 要件定義書を「Google スプレッドシート」や「Notion」などの共同編集ツールで管理し、変更履歴を自動記録
- 章ごとに「レビュー担当者」を設定して、内容の確認・コメントを明確化
- 変更があった場合は、履歴と改定理由を必ず記入し、SlackやTeamsなどで通知
仮に、教育業の会社が多拠点でサイト制作を進めた場合、各拠点の意見を要件に反映する際に、変更点が追いきれず齟齬が生じたケースがありました。
その際、「バージョン管理付きドキュメント運用」を導入することで、責任所在が明確化し、仕様確認のスピードが飛躍的に向上したという実例があります。
このように、ドキュメントを共有・比較できる仕組みを整えておくことは、プロジェクトの透明性を高め、手戻りを防ぐ最もシンプルかつ強力な手段です。
要件レビュー会議の設計とチェックリスト運用
要件定義フェーズでは、レビュー会議(承認会議)を定期的に設け、要件の「凍結点」を決めることが重要です。
この凍結点を明確にしないと、後から延々と修正が続き、開発フェーズに入っても終わりが見えない状態に陥ります。
レビュー会議の設計ポイントは以下の通りです。
- 会議の目的を明確化する
→ 「要件の追加・削除を判断する会」なのか、「合意済み要件を最終承認する会」なのかを明示。 - 議題ごとに「決定 or 保留」の判断を残す
→ 決まらない項目を放置せず、保留理由と次回アクションを明記。 - レビューシートで進捗を可視化する
→ 「決定済」「確認中」「要追加情報」といったステータスを付ける。
チェックリストには次のような項目を設けると効果的です:
- 背景・目的は明文化されているか
- 各要件に優先度が設定されているか
- KPIが定量化されているか
- 必須・任意の区別が明確か
- 合意サイン(承認者名・日付)があるか
このチェックリストを都度更新することで、会議ごとの「決定の積み上げ」を可視化できます。
結果的に、関係者全員が「どの要件が確定し、どこが保留なのか」を把握できる状態が作られ、コミュニケーションの齟齬を防げます。
制作会社とのすり合わせで失敗しやすいポイント
制作会社との打ち合わせで最も注意すべきは、「用語と解釈のズレ」です。
同じ言葉でも、立場によって意味が異なることが少なくありません。
例えば:
- 「フォームを設置する」=発注側:デザイン込みで1ページ、制作側:問い合わせ項目を追加するだけ
- 「CMSで更新可能にする」=発注側:すべてのページを自由に編集可能、制作側:指定箇所のみ編集可能
こうした認識の違いが後から発覚すると、再見積もりや追加工数の原因になります。
これを防ぐためには、要件定義書内に「用語定義セクション」を設けることを推奨します。
また、打ち合わせ時には「これは誰がどう操作する機能なのか」「どの範囲まで対応するのか」を必ず明文化するようにしましょう。
さらに、ワイヤーフレームやプロトタイプを使って目線合わせを行うのも有効です。
言葉よりも画面構造で確認することで、誤解を最小限にできます。
とある飲食業の会社では、「予約機能」を実装する際、発注側は「日時指定・人数指定・支払いまで完結する機能」を想定していましたが、制作会社は「予約フォームを送信するだけ」と解釈していました。
その結果、追加費用が発生し、納期も2週間遅延。
このようなケースは、「要件の粒度」を合わせる確認プロセスを設けることで防げます。
公開後の改善設計と運用戦略を見据えた要件
KPI設定・モニタリング要件
Webサイトの要件定義は「完成時点」で終わりではなく、運用段階で成果を測定・改善する仕組みを組み込むことが必要です。
そのため、KPIのモニタリング要件も要件定義の段階で設定しておきましょう。
具体的には次のような項目です:
- 計測ツールの導入(GA4、Search Console、ヒートマップなど)
- KPIダッシュボードの設計(問い合わせ数・滞在時間・離脱率など)
- 定期レポートの発行サイクル(例:月次・四半期)
- 改善PDCAの担当者・報告経路
仮に、製造業の企業がBtoBサイトをリニューアルする場合、
「資料ダウンロード数」や「問い合わせコンバージョン率」をKPIに設定し、四半期ごとに成果をレビューする仕組みを要件化しておくと、運用フェーズでの改善がスムーズになります。
このように、数値計測と改善サイクルを要件に含めることで、Webサイトを「作って終わり」にしない体制が整います。
改善導線設計・A/Bテスト導入要件
成果を継続的に高めるためには、A/Bテストやユーザーテストを想定した導線設計も初期要件に含めるべきです。
この要件があるかないかで、後からの改善スピードが大きく変わります。
例えば、CTAボタンの文言や配置を変更したり、フォーム項目を減らすなどのA/Bテストを定期的に行うことで、コンバージョン率を継続的に改善できます。
そのためには以下のような要件を明記します。
- A/Bテストツール(Google Optimize、Optimizelyなど)の導入可否
- テスト用のトラッキングコード設置範囲
- テスト計画と承認フロー
- 改善提案の反映サイクル
また、テスト結果を分析するための「改善ログ」も必ず残すようにします。
これにより、「どの施策がどれだけ効果を出したか」を定量的に蓄積でき、次期リニューアルにも活かせます。
拡張性・将来機能追加を見据えた構造要件
多くの企業がリニューアルを繰り返す理由の一つに、「システムやデザインが固すぎて変更できない」という問題があります。
そのため、拡張性を前提とした要件定義が不可欠です。
ポイントは次の3つです:
- モジュール化されたテンプレート設計
→ 各コンポーネントを再利用可能にする。 - CMSの柔軟性確保
→ ページ追加・更新が担当者レベルでできるように権限設計を行う。 - データ構造の汎用性
→ 製品情報・記事情報などをAPI化して、他システムと連携しやすくする。
仮に、EC業の会社が新商品カテゴリを追加する際、テンプレートが固定化されていると1ページ追加に数日かかることがあります。
しかし、初期段階で「再利用可能なデザインブロック設計」を採用していれば、1時間で追加が可能になります。
このように、“将来の変化に強いサイト”を設計するための要件定義が、長期的な運用コスト削減につながるのです。
まとめ
Webサイト構築における要件定義は、単なる前準備ではなく、プロジェクトの成否を決める中核工程です。
本記事で紹介したヒアリングシート形式のチェックリストを活用すれば、社内整理から制作会社との打ち合わせまで、一貫して抜け漏れを防ぐことができます。
特に、以下の5つの視点を押さえることが重要です。
- 背景・目的を明確にしてビジネスゴールを定義する
- 社内関係者の意見を整理し、合意形成を図る
- 機能・非機能要件を区別して優先順位を付ける
- フェーズ設計でリスクを抑え、拡張性を確保する
- 運用・改善サイクルを見据えた要件を定義する
これらを実践することで、「作って終わり」ではなく「育てるサイト」へと進化させることができます。
もしあなたの会社で「要件定義をどうまとめればいいかわからない」「制作会社との打ち合わせが噛み合わない」と感じているなら、まずは本記事のチェックリストを使って社内整理から始めてみてください。
確実な合意形成と抜け漏れ防止が、プロジェクト成功の第一歩になると思います。
Web制作
大規模コーポレートサイトからサービスサイトやサテライトサイトまで、アートディレクションと情報アーキテクチャ設計を融合した、クリエイティブで訴求力の高いサイトを構築します。また、フロントエンドのみならずバックエンドのシステム構築、デジタルマーケティング支援までを総合的に提供しています。