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コラム

ディレクション部 ディレクターM

「運用」を見据えて考える、Web多言語化の3つのポイント

ある日、あなたがWebサイトのリニューアル担当者に任命されたとします。日本語版の準備を進めるだけでも大変なのに、最近は、コンテンツを日本語だけでなく複数の言語で同時につくりたい、という要望が出ることも多くなりました。日本語版を準備する中で、平行して他の言語版も展開するのは大仕事です。両方が間に合うのか、スケジュールを考えるだけで精一杯になるかもしれません。

だからといって、多言語化するコンテンツの運用体制を何も検討せず、翻訳する原稿を翻訳業者などに渡そうとしていませんか?コンテンツの多言語化は翻訳し、公開すれば終わりではありません。公開した後の運用する体制作りをしっかり想定することで、多言語化する目的の達成に近づくことができます。

今回は、コンテンツを多言語化する前に明確にする必要がある、Webサイトの運用を見据えた3つのポイントを紹介します。

(1)どのような運用体制を組めるか?

一つ目のポイントは、多言語でコンテンツを運用するために、誰が、どのように、どうやって運用を行うかです。Webサイトで達成したい目的を果たすためには、公開した後に多言語化したコンテンツを運用し、情報発信の媒体として育てて活用することが欠かせません。それを支える体制の組み立ても必須となっていきます。

例えば、組織内で運用を完結する体制や仕組み作りができるか、あるいは外部の制作会社や翻訳会社に更新を依頼するのか?また、それらを実現するために必要な予算、人員、環境が用意できるか?こういうことをしっかりと検討することで、どういう運用体制が組めるかが見えてきます。

日本語版のWebサイトを運用するための予算や人員は確保できるけれど、他の言語の場合は難しいということもあるでしょう。そのときも、最低限、更新が必要なページはどこか、どれくらいの頻度で更新が必要なのかなどを見極めておくことで、多言語化したコンテンツの運用に最低限必要な予算や人員が明確になってきます。

(2)更新する前提か?更新しない前提か?

更新が前提かが、二つ目のポイントです。更新が可能か、そうでないかによって、どのようなコンテンツを作っていくのがよいかが決まってきます。日々の更新を行う体制が組み立てられる場合は、日本語版と同一の内容を掲載したミラーコンテンツ(複数の言語で同じデザイン・ページ構成)を作り、一緒に運用・更新できることが想定できます。逆に、充分な運用ができないと想定される場合は、掲載するコンテンツを基礎的な情報だけに絞るなど、更新しない前提で多言語化することも視野に入れることが必要でしょう。

もちろん、多言語でコンテンツを立ち上げる目的に合わせて、予算や人員をしっかり確保できるのがベストですが、難しい場合もあるかと思います。その中でも、運用体制に合わせた最善のWebサイトの形を検討することで、多言語化したコンテンツの効果的な運用が可能になってきます。

(3)それぞれの言語ごとに問い合わせを受けられるか?

ユーザーからの問い合わせ対応が、三つ目のポイントです。Webサイトを立ち上げる際には、問い合わせ窓口を設けることが多いと思います。多言語化したコンテンツにおいても、どの言語で問い合わせを受けられるかは、運用体制によって変わってきます。

例えば、言語別に問い合わせを受けるパターンとして、下記の3つが考えられます。

  • Webサイトのコンテンツと同じ言語で、問い合わせを受ける(中国語サイトなら、中国語で)
  • Webサイトのコンテンツがどの言語であっても、英語で問い合わせを受ける
  • 日本語での問い合わせに限る

それぞれの場合において、誰が、どのように、どうやって対応するのか、Webサイトを立ち上げる前に検討、シミュレーションすることで、迅速に対応できます。

問い合わせは、どのようなユーザーから、いつ、どんな内容のものが寄せられるか、想定しにくいものもあります。また、迅速に対応しないと、クレームや機会損失につながる可能性もあります。そのため、Webサイトを立ち上げる前に運用体制を検討したうえで、問い合わせ窓口のページで、対応できる言語を明示することが必要です。

また、ユーザーとやりとりを行った結果、企業の場合は商談、教育機関の場合は入学や留学などにつながることもあると思います。その場合にも組織内でどう対応できるか、事前に想定しておくだけで、多言語化の目的達成に近づくことができます。

最後に

Webサイトは、立ち上げた後に、どのように情報発信の媒体として活用していくかで、目的を達成できる度合いが変わってきます。上記の3つのポイントはWebサイトを多言語化する場合に限らず、日本語のみでのリニューアルや立ち上げでも検討が必要です。他の言語版では、さらにその検討が忘れがちになるため、特に留意しなければなりません。

英語サイトや中国語サイトなどを用意して情報発信することは、最近のビジネスや教育業界で必須となってきました。海外からのビジネスチャンスをつかみたい。海外からの留学生を増やしたい。そんな目的を達成するためにも、この3つのポイントを明確にした上で、コンテンツを多言語化することをご提案します。

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